音楽

3KINGS「王様のノイズ」全曲レビュー!鮎川誠・友部正人・三宅伸治

鮎川誠と友部正人と三宅伸治、3人のユニットによる「3KINGS」。ロックの王様の鮎川さんとフォークの王様の友部さん、ブギーの王様・三宅さんという3人のキングがスタジオ録音したアルバム「王様のノイズ」を完全レビュー。

3KINGS ブギー

1曲目は3KINGSのテーマソング「3KINGS ブギー」。ブラックなブルースサウンドが渋すぎる。3人がそれぞれ自分のボーカル部分の歌詞を書いているが、友部さんが歌う「三宅君のおかげで王様気分だ、鮎川君のおかげで飛び出す気分だ」のフレーズは、まるで忌野清志郎が歌っているかのよう。三宅さんの曲も完璧だけど、鮎川さんのギターがまたしびれる。

ブルース歌えば王様気分だ
ほっぺった震わせマディの気分だ
スリーキングス ブギ

サクランボ

2曲目は一転して軽快なフォークサウンド「サクランボ」。作詞作曲とも友部正人で文学的な歌詞はさすが。

君は会いに来なかった
がっかりして死にたくなった
君がいない世界へ行こう
がっかりすることばかりなら

ガソリンタンク

3曲目は激しいロックンロール「ガソリンタンク」。作詞作曲とも三宅伸治。三宅サウンド全開、鮎川さんのギターも冴えまくる。

酒ならいらない ガソリンタンク
煙草とコーヒー ガソリンタンク
寝てられやしない ガソリンタンク
お前が頼りだ ガソリンタンク

彼女

4曲目はソウルバラード「彼女」。作詞が友部さんで作曲が三宅さん。このソウルなリズムはまさしくキヨシローサウンドと言っていいだろう。そして「彼女 星を見上げてる、彼女 いかしたロケット」は、やはりシーナ&ロケッツ、シーナさんのことだろう。鮎川さんボーカル部分の「彼女 ぼくのもう一人の人、彼女 ぼくのたった一人の人」のフレーズは胸にジンとくる。

彼女 誰もが憧れる
彼女 素敵な人
公園で水を飲むその唇に
蝶のようにとまりたい

こだわり

5曲目は軽快なエイトビートナンバー「こだわり」。作詞作曲とも三宅伸治。「ギターの弦を自分で換える」とか「ハーモニカのリードを換える」とか、小さなこだわりを持った素敵な大人の姿を描いている。「こだわって歳をとる、こだわって生きてやる」のフレーズは最高だ。コーラスが全然揃っていないところも、ある意味でこだわりか。友部さんのブルースハープと鮎川さんのギターとの共演がしびれる。

こだわって歳をとる
こだわって生きてやる
頑固なジジイが笑うぜ
これは誰にも譲れない

旅は終わり

6曲目も軽快なロックンロールナンバー「旅は終わり」。作詞が友部さん、作曲が三宅さんの共作。三宅さんのメロディはどうしてもキヨシローを思い出せてくれる。そして、抒情詩人・友部さんの歌詞は、いつでも僕たちの胸を強く揺さぶってくれる。胸の奥の何かを。

君との暮らしがぼくの暮らし
朝から雪が降りそうだ
国境のあたりは大雪らしい
これが君のところに帰る旅じゃなかったら、
ぼくはどこへ行けばいいのだろう

ジプシー

7曲目はブギーな「ジプシー」。これも友部さん作詞で三宅さん作曲。惚れた女と旅暮らしに出るのだけれど、女には亭主がいて連れ戻されてしまうというストーリー。

女の胴体を人目にさらし
ぼくが太鼓をたたいて踊らせる
そうして道行く人たちからお金を集め
こじきのように暮らすのだ

スカーフ

8曲目はアコースティックサウンドの「スカーフ」。作詞作曲とも友部正人。歌詞カードで「バスは坂を上がり切り」とある部分で、友部さんは「バスは坂道を上がり切りと歌っている。

ぼくがスマートフォンをいじっていたら
君の笑顔に気がついた
君がすぐに目を伏せたから
ぼくの目のやり場がなくなった

愛の賞味期限

9曲目はレゲエリズムの「愛の賞味期限」。作詞作曲とも友部正人。「ぼくは君から離れて行く時が、一番近づいて行くように思えるよ」みたいな逆説的な表現が友部さんらしいなと思った。基本的に友部さんのボーカルを鮎川さんと三宅さんのギターがサポートしていて、まるで友部さんのソロみたいな印象。

愛まで待てない人たちが
何もかもを食べつくす
日付の牢獄の向こうには
暗闇しかないことがわかっているのに

ブルースと一緒

10曲目は渋いブルースソング「ブルースと一緒」。作詞が三宅さんで作曲が鮎川さん。本アルバムの中で鮎川さんの作品はこの一曲のみで、メインボーカルも鮎川さんが取っている。

オー誰もが知っている
オー誰もが知っている
そこに横たわるブルースと一緒さ

りんご畑は永遠なのさ

最後の11曲目は「りんご畑は永遠なのさ」。作詞作曲とも友部正人。珍しく友部さんが幼少期の頃のことを歌っている。「りんご畑は永遠」はもちろんビートルズ「ストロベリーフィールズ・フォーエバー」へのオマージュ。これは友部さんの代表曲になりそうな予感を感じた名曲。

ジョン・レノンのストロベリーフィールズは二つある
一つはイギリスのリバプール
もう一つはニューヨークのセントラルパーク
どちらもジョン・レノンの家のすぐ近く
木立が孤独を抱きしめる場所

ジャケット写真

ジャケット写真は友部さんのお嫁さん・小野由美子さん。歌詞カードにはユミさん撮影のスタジオ録音風景の写真がたくさん収録されている。

全体感想

伝説のようなミュージシャン3人がユニットを組んでアルバムを作るとこんな感じになるのか。正直に言ってすごい感動。統一感とかまとめようとか、そういう話ではなくて、3人の男の強烈な個性がガチガチにぶつかりあって、その上で3KINGSというユニットの新しい個性を生み出している。

うまいとか下手とか、そういう技術論を超越した感動が、ここにはある。歌が上手とか演奏が上手とかコーラスが上手とか、この3人組に一体誰がそんなものを求めるだろうか?

絶対に買うべし。そして絶対に聴くべし。

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1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。