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「カメラ・ピープル」フィルム写真に恋した女子高生

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2000年代から2010年代にかけて盛り上がったカメラブーム。

それは、フィルム写真に対する再評価の時代でもあった。

あの頃、女子高生だった人たちも、今では立派な大人ですね。

「カメラ日和」創刊の時代

我が家の長女は1995年生まれである。

世の中でフィルム写真の人気が盛り上がっていたのは、彼女が十代を迎えようとしている頃のことだ。

あの頃、「カメラ日和」という雑誌があった。

主に、若い女性を対象とした写真専門誌で、フィルム写真に関する特集記事も多かったような気がする。

若い世代が古いフィルムカメラに夢中になった。

「カメラ日和」は、そんな時代を背景に2005年に創刊された。

自由な写真が集まっている「カメラ・ピープル」

「カメラ日和」創刊の翌年、一冊の写真集が発売された。

タイトルは「カメラ・ピープル」。

100人の写真愛好家による作品が収録されている。

そこには、2000年代に流行したフィルム写真のあらゆる特徴が凝縮されていた。

撮影者は主に一般市民で、写真を専門に勉強した人ばかりということではなかったようだ。

「ポラロイド sx-70」や「LOMO LC-R」といった、およそ実用向きとは考えられていないカメラを使った写真がたくさんあった。

カメラ・ピープル(2006、ピエ・ブックス)カメラ・ピープル(2006、ピエ・ブックス)

そもそも写真のキャプションに、撮影者の名前と並んでカメラの名前が記載されているところが新鮮だったような気がする。

「OLYMPUS OM-1」「OLYMPUS PEN EE」「ポラロイド 690SLR」「HOLGA120GFN」、、、

撮影者たちは、まるで個性を競い合うみたいにカメラを競い合っていた。

もちろん、個性的だったのはカメラばかりではない。

構図も露出もピントも。

あの頃、彼らが撮った写真は、従来の芸術写真からは考えられないくらいに自由な写真ばかりだった。

ハイキーな写真や赤茶けた写真、ピントのぼやけた写真。

懐かしい感じのする写真は、とりわけ人気があったのではないだろうか。

若い世代が自由な感性で古いフィルムカメラのシャッターを切る。

「カメラ・ピープル」に共感した若者たちが、さらにフィルムカメラを手にして、写真ブームは広がっていった。

カメラ女子に成長した女子高生

僕の娘は、そんな時代に十代を迎えた。

我が家には、父親が趣味で集めている古いカメラがたくさんあったから、幼い頃から彼女は古いカメラに親しんでいた。

2011年、高校に入学したとき、彼女は写真部に入部した。

流行りのカメラ女子に、彼女もなったわけである。

勉強そっちのけで、彼女は写真に夢中になった。

2年生で彼女が部長を務めたとき、写真部の部員は80名を超えたそうである。

きっと運動部との掛け持ちだったのだろうが、それにしても驚異的な人数だと思った。

部員の多くは、やはり女子生徒だったらしい。

町の写真屋が輝いていた最後の瞬間

今にして思うと、あれは、町の写真屋が輝いていた最後の瞬間だったのではないだろうか。

「カメラ日和」と協賛するような形で、町の写真屋はフィルム現像に力を入れていた。

「ハイキーにして」とか「コントラスト強めに」とか、そんなオーダーが当たり前だった時代。

フィルムを持って店に行くと、いつでも若い女の子たちで賑わっていた。

カメラのストラップとか、カメラケースとか。

そんな雑貨をオリジナルで制作して人気を得ていたことも、今では懐かしい思い出だ(我が家にもいくつかあるはずだけど)。

あの写真屋も今は、フィルム写真の現像をやめて、中学校のアルバム写真の制作に集中しているということだ。

あの頃、僕らは、何をそんなに懐かしがっていたのだろう

久しぶりに「カメラ・ピープル」を読むと、妙に懐かしい印象の写真が多い。

まるで長い時を経たように色褪せた写真を見ながら、僕は考えている。

あの頃、彼らは、何をそんなに懐かしがっていたのだろう。

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kels
ちょっと懐かしい本や雑誌、CDの感想を書いています。好きな言葉は「広く浅く」。ブックオフが憩いの場所です。