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「気まぐれコンセプト」1980年代のタイムカプセルのような四コマ漫画

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小学館
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1980年代、広告ブームなるものがありました。

この広告ブームを漫画の形で風刺した作品がホリチョイ・プロダクションズの「気まぐれコンセプト」です。

今回は、80年代の広告ブームを象徴するコミック「気まぐれコンセプト」をご紹介します。

1981年から続いている「気まぐれコンセプト」

僕が中学・高校・大学生の頃に(それはつまり1980年代ということになるわけですが)愛読していた漫画雑誌に「ビッグコミック週刊スピリッツ」があります。

ちなみに「ビッグコミック週刊スピリッツ」は1980年創刊。まさに、80年代の申し子のような青年漫画雑誌でした。

スピリッツからは実に多くのヒット作品が生まれていますが、僕が密かに楽しみにしていたのは、ホリチョイ・プロダクションズの四コマ漫画「気まぐれコンセプト」でした。

「気まぐれコンセプト」は、1981年から現在まで続いている連載漫画ですが、その誕生の背景には、1980年代の広告ブームがあったものと考えられます。

もっとも、「広告ブーム」と言っても、今となっては何のことか分からないかもしれませんね。

1980年代に訪れた「広告の時代」

1980年代の雑誌を読むと気づくことですが、当時の雑誌広告には、やたらと言葉が溢れています。

いわゆるキャッチコピーというやつで、当時は、あらゆる商品が、このキャッチコピーとともに売り出されていました。

「不思議、大好き。」(西武百貨店・1981年)のように、短いフレーズで企業や商品をイメージづけるキャッチコピーは、広告時代を築き上げ、このキャッチコピーを創作する「コピーライター」なる職業を目指す若者たちが増え始めます。

同時に、広告業界が国内産業の中でも重要な地位を占めるようになり、広告業界は新卒大学生にとって、いつしか憧れの職業となっていました。

ちなみに僕自身も広告業界に憧れ、いくつもの広告会社の採用面接を受けながら、まったく箸にも棒にもかからなかった無数の大学生のうちの一人です、、、

(結局、一見大手だけれどめっちゃ地味な某出版社に就職しました)

広告業界をパロディ化した「気まぐれコンセプト」

日本中で広告ブームが沸き上がる中、広告業界をパロディ化して、シンプルな四コマ漫画で表現してみせたのが、今回ご紹介する「気まぐれコンセプト」です。

「気まぐれコンセプト」は、「白クマ広告社」なる広告代理店の社員たちを主人公とするギャグマンガで、主な広告主(クライアント)である「カブト自動車」、ライバル企業である「荒鷲エージェンシー」の社員たちと熾烈な争いを繰り広げながら、広告業界の戦争を楽しく描き出しています。

当時、広告業界に憧れていたミーハーな僕は、「気まぐれコンセプト」を読みながら、いつの日か広告業界で働くことを夢見ていたのですね、、、

それは、普通のサラリーマンが24時間働くことも当たり前で、「ブラック企業」なる言葉もまだ生まれていなかった、平和な時代の物語です。

「気まぐれコンセプト」はタイムカプセルみたいな四コマ漫画だった

「気まぐれコンセプト」最大の魅力は、とにかく最新の流行や時事ネタが登場しまくることでした。

なにしろ、週刊誌連載で四コマ漫画だから、現代社会はまさしくネタの宝庫のようなもので、「気まぐれコンセプト」を読んでいるだけでも、日本の世の中の流れというものが実感できるような気がしたものです。

「つくば博」を「つくだ博」と勘違いして佃島にパビリオンを建設したりとか、キュロットブームのときにミニスカートと勘違いする男性がたくさん出現したりとか、クリスマスのイブの夜空を飛んでいるサンタクロースの橇にビジネスマンたちが万札を掲げて「八王子まで2万円出すぞ~」と叫んでいたりとか、まあ、どうでもいいけど笑える小ネタが満載。

最新の話題が詰まっているから古くなるのも当然に早くて、旬の短い広告と同じように、「気まぐれコンセプト」はその瞬間の日本社会を四コマ漫画の中に描き続けてきたのです。

言ってみれば、タイムカプセルみたいな四コマ漫画、それが「気まぐれコンセプト」という漫画だったような気がします。

気まぐれコンセプト(1984年)

さて、それでは、そんなタイムカプセルのような四コマ漫画を読むことができる「気まぐれコンセプト」の単行本をご紹介します。

気まぐれコンセプト(1984年)気まぐれコンセプト(1984年)

「気まぐれコンセプト」は、通常の連載漫画のように定期的にコミック化されているわけではないので、単行本が出たときには本当にうれしかったですね。

最初に「気まぐれコンセプト」の単行本が出たのは、バブル以前の1984年(昭和59年)。

「見栄講座」に続くホリチョイ・プロ第2弾として刊行されたのが「気まぐれコンセプト」でした。

バブル前夜の1980年代を味わうのにぴったりですね。

きまぐれコンセプト クロニクル(2007年)

次に「気まぐれコンセプト」の単行本が出たのは、なんと2007年(平成19年)のことです。

ずいぶんと長かったですね~。

きまぐれコンセプト クロニクル(2007年)きまぐれコンセプト クロニクル(2007年)

これは、阿部寛と広末涼子が出演する映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」の公開に合わせる形で刊行されたものでした。

ちなみに「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」の監督は、ホリチョイの馬場康夫さん。

「クロニクル」とあって、1984年から2007年までの日本の風俗史がびっしりと詰め込まれています。

これは、まさしくタイムカプセルでしょう!

気まぐれコンセプト 完全版(35年分)

そして、2016年(平成28年)に刊行されたのが、「気まぐれコンセプト 完全版(35年分)」。

気まぐれコンセプト 完全版(35年分)気まぐれコンセプト 完全版(35年分)

1981年から2016年までの作品が収録されているほか、各年ごとに「業界のできごと」や「ベストCM」が紹介されているので、昭和史・平成史を勉強している人にもお勧め。

我々バブル世代にとっては、まさに青春時代の軌跡を見ているかのような怒涛の35年分で、とにかく、いろいろなことを思い出させてくれる一冊であることに間違いありません。

それにしても、この「完全版」の刊行から既に5年以上の時が経過しているわけですから、時代の流れは速すぎですよね。

気まぐれコンセプト(2007年・コンビニ本)

おまけとして、コンビニ本「気まぐれコンセプト」も。

気まぐれコンセプト(2007年・コンビニ本)気まぐれコンセプト(2007年・コンビニ本)

映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」の公開時に合わせて刊行されたもので、気軽に読めるという意味ではうれしいコンビニ本でした。

分厚いやつを数年ごとに出すんじゃなくて、こういうコンビニ本をチョコチョコ出してくれた方が、ファンとしては嬉しいかも(笑)

2000年代の作品が中心となっているので、懐かしむというよりは、最近の「気まぐれコンセプト」を楽しむことのできる一冊でした。

それにしても、どの一冊にも、時代のエッセンスが凝縮されていて、現代史のアルバムをめくるような楽しさがありますね~。

まとめ

ということで、以上、今回は、ホリチョイ・プロダクションズの「気まぐれコンセプト」についてご紹介しました。

昭和史に興味があるとか、バブル文化に興味があるとかいう方は必見です。

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ちょっと懐かしい本や雑誌、CDの感想を書いています。好きな言葉は「広く浅く」。ブックオフが憩いの場所です。