ライフスタイル

大学生の頃に覚えたフォークギターは僕の青春そものだった

初めてのギター

小学6年生のとき、ギターをもらった。フォークギターと12弦のクラシックギター、そしてエレキギター。俺はもう使わないからと、音楽好きの叔父がくれた。

近所の中学生からギターを教えてもらうことになった。ピックを使って弦をつま弾く練習。来る日も来る日も弦をつま弾いているうちに飽きてやめた。

ギターは高校生のときに、友達に売り飛ばした。ギターなんか二度と練習するものかと思った。ギターを売ったお金で浜田省吾のレコードを買った。

初めて弾いたギター

大学生のとき、サークルの部室にギターがあった。昔の先輩が置いていったという、1970年代のフォークギター。音楽サークルではない、ただの文芸サークルだったけれど。

ギターの弾ける先輩がコードの押さえ方を教えてくれた。コードを覚えれば曲が弾けるよと、先輩は言った。CとAmとFとGを覚えた。

3日で簡単な曲を弾けるようになった。初めて覚えた曲は、浜田省吾の「路地裏の少年」。少しずつストロークの練習をした。

気が付くと、ギターのない人生なんて考えられなくなっていた。大学の友達は、僕が子どもの頃からギターを弾いていたと信じていた。授業のない時間は、サークル部屋でギターを弾いて過ごした。

旅するギター

休日にはサークルの仲間と一緒に、あちこちを自動車で旅行した。自動車には、いつもギターを積んでいった。スナフキンみたいだねと、みんなが笑った。

仲間たちも、少しずつギターを覚えるようになった。文学サークルなのに、と誰かが言った。サークル部屋からギターの音が聞こえない日はなかったから。

ギターを覚えた仲間と一緒に街へ出て歌った。繁華街で歌うと、酔っ払いがお金を投げてくれた。集まったお金を拾って飲みに出かけた。

公園の芝生に座って、友達と一緒にギターを弾いた。ギターを弾きながら、いろいろな話をした。ギターを弾いているうちに夜が明けた。

彼女とギター

卒業してすぐに、女の子と暮らし始めた。僕の部屋にはギターがあった。サークル部屋から持ってきた、オンボロのギター。

彼女が猫を拾ってきた。彼女と猫の前で、僕はギターを弾いた。猫はギターの音に驚いて逃げた。

会社の旅行で、僕はギターを弾いた。ギターの好きな先輩と一緒だった。先輩の好きな古いフォークソングを歌った。

会社を辞めて無職になった。彼女が仕事に出かけた後も、僕はギターを弾いて過ごした。不安で涙が出た。

就職先が見つからず、僕はただひたすらにギターを弾いた。ギターだけは、僕を裏切ったりしなかった。いつでも僕に共感するように、ギターは切ないメロディを鳴らした。

遠い街に、就職先を見つけた。僕はギターと猫を連れて引っ越しをした。初めての街で、僕は彼女と結婚をした。

娘とギター

やがて、娘が生まれた。僕は小さな娘のためにギターを弾いた。娘はギターの音に合わせて、ユラユラと揺れた。

いつの間にか、娘はギターを弾くようになっていた。彼女の13歳の誕生日に、僕はアコースティックギターをプレゼントした。自分で買った、初めてのギターだった。

僕は娘と一緒にギターを弾いた。YUIといきものがかり。ギターを弾くようになって、娘は一回り大きくなったような気がした。

いろいろな歌があった。いろいろな曲を、僕たちはギターで弾いた。いろいろな曲が僕たちを慰め、僕たちを励ましてくれた。

仕事が忙しくなり、僕は少しずつギターから離れていった。娘と会話をする時間が、少しずつ少なくなった。夜更け過ぎ、娘の部屋からギターが聞こえた。

青春のギター

僕の青春は、いつだってギターと一緒だった。オンボロだったギターは、あの頃よりもっとオンボロになった。僕もギターも、時の流れと同じ分だけ年を取っていた。

今、僕はギターに触れることもなくなった。ギターは、書斎の片隅でゆっくりと眠り続けている。いつか、娘の結婚式で、僕はギターを弾くのだろうか。

ABOUT ME
KONTA
1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。