沼田元気「こけし時代(第3号)」東北復興応援と旅と温泉の憩い

本棚を漁っていたら、沼田元気編集の「こけし時代(第3号)」が二冊出てきた。

しかも、一冊は完全に未開封の状態である。

懐かしくてうれしいけど、どうして二冊?

旅とこけしと温泉の憩だった「こけし時代」

「こけし時代」は、2011年に創刊された写真雑誌で、テーマはもちろん「こけし」。

憩写真で有名な沼田元気さんが責任編集していて、沼田さんの写真をたっぷりと楽しむことができる。

本誌内容は、旅とこけしと温泉の憩。取材は、現地、現役、現在進行形の三現主義。こけしの産地を徹底現地取材し、現役工人の仕事場風景と、旅情誘う温泉宿、お土産、郷土菓子、喫茶店、こけし産地の写真風土記として、旅好き、温泉好き、鉄道好き、民芸好き、こけしファンのみならず、写真集ファン、忘れ去られたものファンや、郷愁ファンにも愛読してほしい大人のみる写真絵本です。(「こけし時代」創刊のご挨拶より)

東北地方で主に生産されている伝統こけしは、ゼロ年代に<第三次ブーム>と呼ばれる人気を集めていただ、2011年、この地域は東日本大震災によって甚大な被害を受けた。

だから「こけし時代」は、沼田さん流の東北応援雑誌とも言える。

かつて、こけしは東北地方の主要なお土産で、こけしの生産は、主要な地域産業ともなっていた。

消えてゆく運命にあるかのようなこけしにスポットライトを当てて、写真雑誌まで作ってしまうというのは、これも、やはり沼田さんの趣味だったからこそに違いない。

沼田元気編集「こけし時代(第三号)」沼田元気編集「こけし時代(第三号)」

その頃、僕は<お土産こけし>と呼ばれる、小さなこけしを集めていた。

昭和30年代から40年代にかけて、日本各地の観光地のお土産屋さんで売られていた、ミニこけしである。

地域の名産物をモチーフにしているものが主流で、ミカンやリンゴ、ナシなどの果物がこけしになっている<フルーツこけし>は、お土産こけしの代表みたいなものだろう。

骨董市でも<ミニこけし>ばかり買っていたから、骨董屋さんには<こけしの人>と思われていたかもしれない。

一方で、僕は沼田元気の真似をして、一眼レフのハーフサイズ・カメラ<オリンパス・ペンF>でフィルム写真を撮るなど、沼田元気の崇拝者みたいになっていた。

毎週顔を出している骨董屋さんの美人店主が、沼田元気さんとビジネス上のつながりがある人だったので、彼女の店へ行くたびに、こけしと沼田元気の話題で盛り上がった。

まあ、毎回500円程度の買い物しかしない、ケチな客だったんだけどね(笑)

誕生日プレゼントだった「こけし時代(第3号)」

その年の僕の誕生日に、彼女は「こけし時代(第3号)」をプレゼントしてくれた。

僕が、沼田元気とこけしを好きなことを知っていたから、わざわざ、沼田元気さんのところから取り寄せてくれたものらしい。

僕はもちろん喜んだけれど、正直に言って、僕の手元には既に「こけし時代(第3号)」があった。

沼田元気の崇拝者だった僕は、「こけし時代」創刊号から、毎号この雑誌を忘れず取り寄せるようにしていたのだ。

「こけし時代」には、毎号付録が付いていて、第3号の付録は<全系統こけし顔手ぬぐい>だった。

特集は福島県土湯温泉のこけし。

「こけし時代(第三号)」の付録は<手ぬぐい>だった「こけし時代(第三号)」の付録は<手ぬぐい>だった

東北のこけしには十一の系統があって、福島県土湯温泉のこけしは<土湯系>と呼ばれている。

「こけし時代」では、この十一の系統を毎号ひとつずつ特集する形で編集されていたから、こけしに興味のない人でも、雑誌を読んでいくうちに、こけしに関する知識を身に付けることができるようになっている。

なにより、東北旅行の風情をエモい写真でたっぷりと味わうことができるところがいい。

土産物としてのこけしの魅力は、こうした旅の味わいや東北の風情とセットで楽しむべきものなのだろう。

結局、僕は誕生日のプレゼントにもらった「こけし時代(第三号)」を、大切な保存用として取っておくことにした。

あれから10年。

こけしブームって、まだ続いているのかな?

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kels
バブル世代のビジネスマン。読書と音楽鑑賞が趣味のインドア派です。お酒が飲めないコーヒー党。洋服はアーペーセーとマーガレット・ハウエルを愛用しています。