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真夏の青空骨董市で古い和ガラスを買おう

骨董市で感じる四季

骨董市に行くと、並んでいる商品で季節の移り変わりを知ることができて楽しい。年の暮れには、正月料理に使えそうな美しい器が増えてくるし、夏が近づくと涼しそうなガラスの器がずらりと並ぶ。骨董市で四季を感じるというのは、いかにも悪くない楽しみだ。

夏が好きな人間にとって、夏の骨董市は胸を踊らせてくれるささやかな大イベントだ。明日は掘り出し物があるかもしれないと考えると、前の晩から眠れなくなってくる。子供じみた話だと思うが、骨董には大人を子どもにしてしまう不思議な魅力があるのかもしれない。

和ガラスに惹かれて

考えてみると、僕が骨董市で最初に買い物をしたのは、昭和初期に作られたガラスの器だった。コバルトブルーの青が濃い深皿で、手が切れそうなカットが施されていた。夏の果物などを盛ると、実に映えるような気がした。

日本で作られた国産ガラスを「和ガラス」と呼んだ。骨董市では、大正時代から昭和初期にかけて作られた和ガラスが人気を博した。和ガラスは、それまでの骨董趣味とは少し違って、年寄りばかりではなく、若い世代にも大いに指示されたという。

アルフィーの坂崎幸之助さんのコレクションが1冊の本にまとめられて出版されたのは、ちょうどそんな時代だった。今から20年近く昔の話で、当時は坂崎さんの影響を受けて、ガラス集めに夢中になった人たちも、決して少なくないはずだ。

特に坂崎さんの影響を受けているわけではなかったけれど、僕が骨董市でガラス雑貨を買い始めたのも、ちょうどそんな時代だった。若い世代の和ガラス人気を受けて、坂崎さんの本が出版されたという方が正解かもしれない。2000年代前半には、そんな和ガラスに関する本が、相次いで出版されていたのだ。

ガラスの勉強時代

初めの頃、ガラスの時代の見分け方が、僕にはどうしても分からなかった。古いものと新しいものとの区別が、全然付かなかったのである。「明治ガラス」とか「大正時代」と「戦前」とか書かれている説明の根拠が理解できなかったのだ。

いつもガラスの器を並べて売っている業者と顔見知りになった頃に、僕は思いきってそんなことを言ってみた。すると、その店の主人は、商品のガラスを手に取って、「どうして、この違いが分からないかなあ」と、もどかしそうな顔で言った。プロにとっては、ガラスの時代の違いなんて、分かって当たり前のことだったのだろう。

僕は、ガラスの時代を見分けるための勉強を、少しずつ進めていった。

初めに必要となるのは、見本となる教材である。明治時代、大正時代、昭和初期、それぞれの時代の本物のガラスを見てみなければ、ガラスの時代なんて永遠に分かるはずがない。確実に時代がはっきりしているガラス製品を手に入れて、そのガラスを基準にいろいろなガラスの時代を判断していけばいい。

僕が思いついたのは、当時の箱のままで保管されていたガラス雑貨で勉強することである。商品を販売する箱には、時代を特定する様々な情報が残されているから、時代の特定はガラス以上に安易なはずだと考えたのだ。

あくまでも勉強のためということで、商品の状態にこだわりなく、僕は当時の箱に入ったままのガラスを集めた。多少欠けていても、ガラスの質感を調べるには問題はない。そもそも、器を淹れている箱なんて、ほとんどの業者は捨てるだけだったから、僕の部屋はガラクタみたいなガラスの器で、あっという間にいっぱいになった。

同時に僕は、教科書代わりになるようなガラスに関する本をたくさん読んだ。骨董品に関する本もあれば、ガラスの歴史やガラス製造に関する専門的な書籍もあった。とにかく僕はガラスに関する知識を、何でも吸収したかったのだ。

やがて、ガラスに関する知識と経験が少し蓄積されていった。古いガラスとそうではないガラスとの区別も、段々できるようになった。言葉よりも実物に触れることによって得られたものは少なくないと思う。

ガラスの器は夏のアイドル

骨董市では、とにかくガラス製品を見て回った。気に入ったものがあれば、小遣い銭の中で少しずつ買い集めるようなこともした。ガラスは、僕の生活の中にすっかりと入り込んでいた。

気が付くと、僕は骨董市を訪れる客の中でも、特にガラスに詳しい客の一人になっていた。値札を見るまでもなく、ガラス雑貨の価値を判断することができたし、相場よりも安い掘り出し物があれば、それを手に入れた。若い骨董業者の人たちは、僕を「ガラスの先生」と呼んでおだてて、「これ、ちょっと見てくださいよ」と言いながら、品定めの相談をしてくるようになった。

今も僕は夏の青空骨董市が大好きだ。ずらりと並べられたガラスの器が、夏の風に吹かれているのを見るだけで、今年もいよいよその季節がやってきたのだと、胸がワクワクする。ガラスの器は、永遠に夏のアイドルだ。

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古いガラスコップで日々の暮らしを豊かなものにしようガラス集めガラスを集め始めた頃、僕はガラス製品であれば、何でもかんでも買い集めようと思っていた。ガラス食器からインク壺、ガラス時計に至る...
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1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。