本・雑誌

大事なことは<リトル・バックパッカー君>が教えてくれた「アウトドア入門」

1990年代(特に中盤以降)、僕の日常の中には、常にアウトドアがあった。

週末には愛車ジムニー(シエラのエルク)を飛ばしてキャンプに出かけ、焚き火やバーベキューを楽しんだ。

仕事のある日だって、朝と夕方にはフライフィッシング(あるいはルアーフィッシング)でヤマメやニジマスを狙った。

夜はスターウォッチング(星空観察)に夢中になり、森の中ではバードウォッチングで自然と親しんだ。

絵に描いたようなアウトドアライフ。

あの頃、そんな僕の暮らしを支えてくれた教科書のひとつが「イラスト・マニュアル アウトドア入門」(1994、山と渓谷社)である。

「イラスト・マニュアル アウトドア入門」(1994、山と渓谷社)「イラスト・マニュアル アウトドア入門」(1994、山と渓谷社)

後に月刊誌となるアウトドア情報誌「OUTDOOR」に連載されていたマニュアル・コミックを書籍化したもので、<リトル・バックパッカー君>なる男の子が、アウトドアに関するテクニックを学んでいくといったストーリーだった。

斉藤融の描くアメコミ調のイラストが、いかにもアウトドアライフっぽかった。

というのも、1980年代から盛り上がってきた日本のアウトドアは、アメリカン・カルチャーの輸入に他ならなかったからだ。

主人公の愛称が<リトル・バックパッカー君>というのも、アメリカの匂いがたっぷりである。

ちなみに、その頃の「バックパッカー」というのは、アジアの安宿を泊まり歩く旅行者のことではなくて、キャンプ用具一式を背負って、アメリカやニュージーランドの広大なフィールドを、ひたすらに歩き続けるという、孤独な旅人のことだった。

だから、1980年代のアウトドアというと、まだまだバックパッキングが中心といったイメージも強かったような気がする。

リトル・バックパッカー君の貴重なアーカイブも掲載されている<リトル・バックパッカー君>の貴重なアーカイブも掲載されている

イラスト・マニュアル アウトドア入門」が刊行された1990年代は、さすがにオートキャンプが主流となっていて、世の中のアウトドア・ライフも、徒歩旅行から自動車旅行へとシフトしていた。

僕が本格的にアウトドアデビューしたとき、世の中は既にオートキャンプブームの時代になりつつあったけれど、僕がアウトドアに憧れた原点は、やはりバックパッキングだった。

「イラスト・マニュアル アウトドア入門」は、あくまでビギナー用の入門書だけれど、初心者の頃はもちろん、随分と経験を積んだ後になっても、この本は、僕の心の慰めとなってくれた。

キャンプに行けない週末や冬の夜などに、僕はこの本を読みながら、アウトドアライフに対する期待を、一人胸の中で高めていたからだ。

本書で扱っているアウトドアの分野は、オートキャンプやフライフィッシングといった王道のものから、昆虫観察やキノコ狩りなどの、ちょっとマニアックなものまで、なかなか幅広い内容となっている。

アウトドアに関する知識を漫画で学ぶことができたアウトドアに関する知識を漫画で学ぶことができた

小学校の夏休みに、子どもたちと一緒にアウトドアライフを楽しみたいと考えているお父さんにお勧め。

僕は、1994年にこの本を買ってアウトドアライフを学び、1995年に女の子の父親となった。

1996年の春からは、まだ一歳になる前の娘を連れて、キャンプや釣りを楽しんでいたから、まさに本書のお世話になった、バリバリの世代である。

混雑している知床のキャンプ場で、娘の夜泣きが気になりすぎたので、人気のない河原にテントを張って、ヒグマの恐怖に脅えながら眠った夜のことも、今では良い思い出。

あのときは、オンブ紐で娘を背負ったままで川に立ち込んでフライロッドを振っていたっけ。

オショロコマが入れ食いの知床半島、0歳の長女は父の背中でフライフィッシングを学んでいたのかもしれない。

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