1980年代、僕が一番好きだったのは、高橋留美子の『めぞん一刻』だった。
生涯で、あんなに好きになった漫画は他にない。
なにしろ、多感な十代だったからねー笑
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「うる星やつら」から繋がっていた「めぞん一刻」
『めぞん一刻』は、小学館の<ビッグコミックスピリッツ>に連載されていた、高橋留美子のラブコメ漫画である。
連載開始は1980年(昭和55年)、連載終了は1987年(昭和62年)。
『めぞん一刻』の連載が始まったとき、僕は中学一年生で、連載が終わったときは大学二年生だった、ということになる。
ちなみに、昭和55年に浪人生だった五代君は昭和36年生まれで(おそらく)、僕よりも6歳お兄さんだったということになる。響子さんは五代君より2つ年上なので、僕とは8歳違いだった。
『めぞん一刻』は、スピリッツ創刊号から連載されている作品だが、中学一年生だった僕は、もちろん創刊時のスピリッツを知っているわけではない。
きっかけは、同じクラスにいたアニメ・オタクの友人だった。
高橋留美子の『うる星やつら』を愛読していた彼は、新しく始まった高橋留美子の作品がおもしろいと、クラス中に布教していた。
最初のコミックが出たとき、僕は彼にそれを借りて、初めて『めぞん一刻』を読んだ。
おもしろかった。
すぐに、ビッグコミックスピリッツの定期購読を始めた。
当時、我が家には、戸別訪問の本屋さんが出入りしていて、母親と一緒に僕も、雑誌を配達してもらっていた。
僕が定期購読していたのは、『週刊プロレス』と『コロコロコミック』で、そこに『ビッグコミックスピリッツ』が加わった。
『めぞん一刻』はクラスの友人たちの間で爆発的な人気を博し、<響子さん>は、僕たちのアイドルとなっていた。
「美しき未亡人」という設定こそが、響子さん最大の魅力だった
長く連載が続いた『めぞん一刻』だが、本当におもしろかったのは、やはり、連載初期だったと思う。
五代君が<浪人さん>と呼ばれていた浪人時代から大学生なったあたりまで。
長い連載の中では、本当に初期に属するものだが、<三鷹さん>も<こずえちゃん>も登場する前で、純粋に五代君と響子さんの微妙な関係だけを楽しむことができた。
三鷹さんとこずえちゃんが加わった後の「健全な四角関係」が、『めぞん一刻』のベースになっていくのだが、連載が長期化すると、どうしても登場人物が増えていく。
<八神>とか<明日菜さん>とかが絡み始めるようになると、筋が散漫になるような気がして、あまりストーリーに熱中できなかった。
五代君と響子さんの二人が結婚を意識し始めた終盤は、いかにも長期連載のソフトランディングを計算しているようで、連載初期とは別物の漫画という気がした。
五代君や響子さんが年を取っていくのと同じように、僕自身も成長していたから、大学生になった後は、あまり漫画に熱中できなくなっていたのかもしれない。
相変わらずスピリッツは毎週買っていたし、コミックも最終巻まで集めたけれど、最後のあたりは、ほとんど惰性になっていたような気がする。
『めぞん一刻』は、やはり<一刻館>の住民たちとの日常が楽しい。
<一の瀬さん><四谷さん><朱美さん>という初期のレギュラーメンバーには、やはり深い愛着があるし、<茶々丸のマスター>やいとこの<郁子ちゃん><惣一郎さんのお父さん><犬の惣一郎さん>など、個性豊かなキャラクターが、連載初期の頃から揃っている。
つまり、役者は最初から揃っていたのだ。
なにより、『めぞん一刻』は、響子さんの死んだ夫<惣一郎さん>と、五代君との戦いであって、お金持ちの三鷹さんは、しょせん、五代君のライバルではなかった。
「美しき未亡人」という設定こそが、響子さん最大の魅力であって、「未亡人」のイメージが薄れていく中で、本来の響子さんが持っていた、怪しげで謎の魅力が失われてしまったことは否めないだろう。
響子さんは、別に再婚なんかしなくたって良かったんだよなあ(五代君が報われないか笑)
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