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夏の終わりの無印良品で彼女は「ポロシャツ、やめて~!」と叫んだ

季節の変わり目というのは、なかなか服装が難しい時期である。

今回は僕が経験した季節の変わり目の悲しい物語をひとつご紹介したい。

夏の最後のポロシャツ

夏の終わりというか秋の始まりというか、とにかく季節の移り変わりの微妙な季節だった。街を歩くと、半袖Tシャツの人と秋ニットの人とがごちゃごちゃと混在していて、季節を一層複雑にしていた。

実際、気温は一日の中で大きく上下して、朝と昼と夜とでは全然別の季節のような感じさえあった。

その日の午後、僕は「サタデーズサーフ・ニューヨーク」というお店で買ったポロシャツを着ていた。

真っ白いポロシャツで、胸ポケットのところにブランドアイコンの「/(スラッシュ)」マークが付いていた。

あまり半袖のポロシャツを着ることはないのだけれど、その午後は最後の夏を味わいたいという気分だったのだ。

「ポロシャツ、やめて〜!」

嫁さんの買い物に付き合って、その日はいろいろなお店を観て歩いた。

街にはもう秋物の新作が溢れていて、実際に買い物をしない人間にとっても、新しい季節の商品を観て歩くことは楽しかった。

事件は無印良品ショップに入って間もなく起こった。

嫁さんが化粧品を物色している間に、僕はこれといったあてもなく紳士服売り場をブラブラしていたのだけれど、それはちょうど僕がポロシャツ売り場の前に差し掛かった時だった。

夏の終わりというのに、まだポロシャツを売っているんだなとか思いながら、まさにポロシャツを着てポロシャツ売り場の前に立っている僕の横で、若い女の子が大きな声で「ポロシャツ、やめて~!」と叫んだのだ。

驚いて思わず横を向くと、若いカップルがポロシャツ売り場の前に立っていた。

推測をすると、男の子がポロシャツを手に取ろうとしたところで、女の子が「ポロシャツ、やめて~!」と叫んだものらしい。

明らかに女の子の方が強そうなカップルで、男の子は恥ずかしそうに顔を赤らめながら、そそくさとポロシャツ売り場の前から去って行った。

彼女はどうして叫んだのか?

問題は、彼女がどうして「ポロシャツ、やめて~!」と叫んだのか?である。

季節は確かに秋の始まりとも言える日で、そしてオシャレな彼女は確かに季節を先取りするような(少なくとも真夏のスタイルには全然間違われないような)季節感のある服装をしていた。

だから、季節感を重視する彼女は、夏物のポロシャツを(たとえそれがセール品であったとしても)今さら購入しようとした彼氏をたしなめたということが考えられる。

次に考えられるのは、あまりトレンドとは言えないポロシャツを彼氏が購入しようとしたことに、彼女が意見を述べたという説である。

実は最初に僕が思いついたのはこっちの方だった。それはきっと自分の中にどこかそのような罪悪感というか後ろめたさがあったのかもしれない。

少なくとも僕自身が堂々とポロシャツを着ているわけではなかった。

そこに僕自身の弱さがあったことは確かである。

最後の説は、隣に立っているオジサンが着ているのと同じようなポロシャツを彼氏が着ることに、彼女が抵抗感を示したという考え方である。

要は「おっさん臭い格好するなよ」ということを、実物の見本を前にして彼女がたしなめたというものだが、これが事実であったなら、僕はあまりにも辛すぎる(笑)

季節の変わり目らしいファッションを

結局、2人は去って行って、僕も嫁さんと一緒に無印良品ショップを後にしたのだけれど、ひとつ教訓として言えることは、季節の変わり目には、やはり季節の変わり目らしい服装をするべきであるということである。

いつまでも夏みたいな格好をしていると、秋物を持っていない人だと思われてしまうし、季節感に頓着のない人だとか鈍感な人だとか思われてしまう可能性がある。

ファッションは気温ではなくて季節を読むことが大切なのだ。

心の痛手を負った僕は、それ以上ポロシャツ姿で買い物を続ける気にはなれなくて、馴染みのお店に行って顔見知りのスタッフにこう言った。

「秋の始まりに使えそうな羽織り物ください」

※ちなみに、この時のお店は「アバハウス」です。

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KONTA
1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。