佐々木ルリ子「レトロなつかしダイアリー」古くて懐かしくてかわいいものが人気だった

2000年代前半の頃、昭和レトロが流行していた。

それは、初代「クウネル」が創刊した時代で、長い不況が続く中、古き良き時代に癒しを求める風潮があったのではないかと思われる。

僕が古いモノを集め始めたのは1990年代末期あたりで、ちょうど時代の波に乗りつつあったのかもしれない。

当時は、昭和レトロをテーマにした本が、たくさん出版された。

特徴的だったのは、男性向けのマニアックなコレクション本ではなく、女性向けのソフトなカタログ本が多かったことだ。

女性の好きな「雑貨」の延長線上で、昭和レトロが再評価された時代が、ちょうどこの頃だったのである。

古くて懐かしくてかわいいもの

さて、そんな時代に刊行された本の一冊が、佐々木ルリ子さんの「レトロなつかしダイアリー」(2004年)である。

帯に「食べ物、雑貨、本、ファッション、スポット…たくさんの『レトロなつかし』を集めました」とあるように、ジャンルにこだわらず、昭和レトロの懐かしいものが紹介されている。

この本の一番素晴らしいところは、ひとつひとつのレトロなアイテムに正方形の写真一枚と簡単なコメントが付いているという、その構成にあると思う。

まるでツイッターで写真を添付したコメントをツイートするくらいの、ごく簡単な紹介文がいい。

文字数が限られているから、マニアックなうんちくが入る隙間もない。

ただ淡々と自分の好きなレトロを紹介し続けていくという、この構成を、僕は大いに気に入って、自分でもブログで再現してみたいと思った。

だけど、実際に自分で何か書き始めると、だいたい、余計なことまで触れてみたくなって、文字数はどうしても多くなってしまう。

簡単なコメントに徹するというのは、簡単そうでいて、決して簡単なことではないのだ。

採りあげられているレトロなアイテムも楽しい。

安全ピンとか砂消しゴムとか花おはじきとか牛乳瓶のふたなどの小さくて細かいもの。

アルプス洋菓子店のパルミエや千秋庵のカスティラクッキー、ブルボンのホワイトロリータ、ミルメークなどの郷愁をそそる食べ物。

「オリーブ」や「小学一年生」、陸奥A子、チッチとサリーなど、女の子が大好きだった本。

まあ、とにかく、女性目線で集められた「レトロなつかし」が満載。

最も重要な視点は、レトロ懐かしいものであって、かつ、かわいいものであるということ。

どんなに古くて懐かしいものであっても、かわいくないものは、この本の中に入ることはできない。

「なんでも鑑定団」で高値が付くかどうかではなく、かわいいかどうかということが、2000年代前半の昭和レトロブームのポイントだったのである。

自分で欲しくなってしまうレトロなアイテムがいっぱい

著者が骨董市で見つけたという小物の中には、これ、欲しい!と思うものも少なくない。

ドイツのオモチャだというマジックミュージシャン、ガラス製のたんすのとっ手、アヒルがモチーフの刺繍など、骨董市では、思いがけないものに出会えるということが分かる。

もちろん、本書の中には、僕自身が好きで集めていたものも少なくない。

昔のボタンなんて、国内外問わず、古くてかわいいものを随分集めたし、プラスチック製の小さなフォークも、骨董市やフリマで見つけるたびに買っているうちに、結構な数になってしまった。

そう言えば、崎陽軒のシウマイ弁当の醤油入れ(ひょうちゃん)は、某カフェ店主の女性が集めていたものだ。

そのアイテムも、懐かしい感じがして、そして、かわいい。

やばい。

こんな本を読んでいたら、久しぶりに骨董市へ出かけたくなってきた。

古いモノ漁りは、もうしばらく封印しているというのに。

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kels
バブル世代のビジネスマン。読書と音楽鑑賞が趣味のインドア派です。お酒が飲めないコーヒー党。洋服はアーペーセーとマーガレット・ハウエルを愛用しています。