音楽

一人の夜に聴きたい。浜田省吾の失恋・片恋ソング名曲10選

浜田省吾というと社会的なメッセージを歌いまくるロックンローラーというイメージが強いかもしれないが、恋人と別れた男性の気持ちを歌う繊細な曲も多い。

片想いや破局、失恋などをテーマとした悲しい恋愛ソングを、今回は紹介してみたい。

一人の夜にどっぷりとハマろう。

片想い

1979年発表のシングル「愛を眠らせて」のB面曲。

1980年代前半まで浜田省吾の代表曲と言えば「片想い」だと言われるくらいに多くのファンに愛された名曲だった。

少なくとも1985年に「もうひとつの土曜日」が発表されるまで「片想い」は浜田省吾ラブバラードのトップソングだったと言っていい。

カラオケスナックなんかに行くと若手のサラリーマンがこの曲を感情たっぷりに歌い上げていたりしたのも、何だか昭和的な風景である。

仲良くなった女の子にハマショーのカセットテープをダビングしてあげるときには絶対に欠かすことができない、女子受け抜群の曲だった。

大人になった今聴いても確かに名曲だと思う。

あの人のことなど もう忘れたいよ
だって どんなに思いを寄せても
遠く叶わぬ恋なら

気がついた時には もう愛していた
もっと早く さよなら言えたなら
こんなに辛くはなかったのに

恋人達の舗道

1978年発表のサードアルバム「イルミネーション」収録曲。

アップテンポなマイナーコードの失恋ソングで、大学生の頃にギターかき鳴らしてこの曲を歌っていたら松山千春の歌と勘違いされたというくらいにフォークソングっぽさがあるのは確か。

高校生の頃、付き合っていた彼女にフラれたとき、好きだったラジオ番組にこの曲をリクエストしたら、見事に葉書が読まれて「恋人達の舗道」が全国放送で流されたという恥ずかしい個人的エピソードあり。

若い頃の浜田省吾って本当にピュアで繊細だったんだなあ。

「もう逢わないわ 理由は言えない」
言葉をつまらせた君
キャンドルライト 横顔に影
見知らぬ誰かの

何故人は恋を探してさまよう
目の前の愛に気づかずに
恋などゲームさ 恋などゲームさ
忘れかけていた ひとり言

行かないで

1977年発表のセカンドアルバム「ラブ・トレイン」収録曲。

4年付き合った女性に振られて「行かないで」と泣きすがるという失恋ソングは、その後のタフでクールな浜田省吾からは想像もできないくらいに悲惨で痛すぎる(笑)

だけど、だからこそ、この歌にはリアリティがあって、多くのリスナーの共感を得ることができたのだと思う。

だって、なかなか言えないよね、「行かないで」って言葉。

明け方の舗道に膝を抱えて座り
失くした君の面影たどってノートに描く
四年の月日で 二人が見つけたものは
別れの他に 答えを出せない 途切れた心
行かないで 行かないで

とぎれた愛の物語

1979年発表「君が人生の時…」収録曲。

1980年には「青春のヴィジョン」B面曲としてシングルカットされた。

浜田省吾の音楽には恋愛に対して悲観的な立ち位置を取るものが少なくない。

一度は好き合って一緒に暮らすが、やがて互いにわかり合えずに別れていくというのが、ひとつのパターンだ。

恋愛そのものよりも男と女が一緒に暮らすこと(つまり結婚)について懐疑的な気持ちが常に付きまとっていたのではないだろうか。

こうした姿勢から生まれる浜田省吾の歌にはいつでも大人の雰囲気が漂っていて、子ども心にそんな大人の恋愛に憧れたものである。

泣き疲れて眠る君を 部屋に残して
飛び出せば 肩を打つ雨 僕を責める
息もできぬくらいに傷付けあって
愛は二人に悲しみと憎しみだけ残して消えた

ガラスの部屋

1980年発表のアルバム「HOME BOUND」収録曲。

一緒に暮らし始めた若い二人だけど、互いの心がすれ違っていくという浜田省吾黄金パターン。

床のきしむ狭い部屋でささやかに暮らしながら「自動車が欲しいな」「広い部屋へ引っ越したいね」そんな会話をしたこともあったけれど、本当に大切なものは二人の愛だった。

失ってしまったときに初めてそのことが分かるという人生の皮肉。

あるいは人間の悲しい性みたいなものが、浜省ラブソングの根底を流れている。

別れの理由は決して定かではなく、少しずつすれ違っていくのが大人の恋だと信じていた。

待ち合わせて食事しても
何も話すことがない
いつから こんなに遠く
離れてしまった 二人の心

車なんて欲しくもない
広い部屋もいらないよ
寒い夜を暖めあえた
二人の温もり ただそれだけで

傷心

1980年発表のアルバム「HOME BOUND」収録曲。

好きになった女の人に振られてしまって、それでも忘れられないと泣き続ける失恋ソング。

今から振り返ってみると、昔の浜田省吾の作品には「弱い男性」がおくびもなく描かれることが少なくなかった。

ありのままの自分をさらけ出すような歌詞が、浜田省吾らしさを作り上げていたのかもしれない。

そして思春期まっただ中にあった僕は、そんな浜田省吾が歌う大人の愛の世界に強く憧れていたのだ。

「傷心」は歌詞とメロディとが相まって浜田省吾作品の中でも1、2位を争う暗さを持った曲だけれど、落ち込んだときにはこんな曲を聴いてとことんまで落ち込んでみるのもいいと思う。

どれ程泣いたなら あなたを諦められる
どれだけ遠くへ行けば忘れられる
他の誰かを好きになろうとしたけど
いつも あなたとの眩しい時が蘇るだけ
手紙も想い出の指輪も捨てた今でも

ラストダンス

1977年発表のセカンドアルバム「ラブ・トレイン」収録曲。

交際中の彼女とうまくいかなくなって別れるという、いつものストーリーだが、「僕が僕である限り 何度やっても同じことの繰り返し」というフレーズから、原因が自分にあることを示唆している。

浜田省吾の「破恋ソング」の特徴として、男性側の方に未練が多く感じられるものが多い。

お互いの心のすれ違いで別れなければいけない二人だけれど、男性としては、まだやり直せるのではないかという気持ちをどこかに抱いている。

女性の方にはそんな気持ちは全然ないのかもしれないのに、そんな男性の情けなさが実に浜田省吾っぽかった(笑)

「もう一度やり直せたら…」
馬鹿だぜ そんな話はもう止めよう
僕が僕である限り
何度やっても同じことの繰り返し

ライトに浮かぶ ふたつの影
悲しげな眼差し 苦しげなあえぎ声
言葉はもう何も伝えない
寒い程の寂しさもむなしさも

いつわりの日々

1979年発表のアルバム「MIND SCREEN」収録曲。

愛し合って結婚した2人の心が少しずつすれ違っていくという浜田省吾定番の破局ラブストーリーだけれど、子どもの頃は結婚のことなんて全然分かりもしないで、こんな大人の恋愛観に強く憧れていたものだ。

4枚目のアルバム「MIND SCREEN」は評価の低いアルバムだけれど、意外と名曲が含まれていて個人的に嫌いじゃない。

特に「いつわりの日々」は初期の浜田省吾を代表する名曲とも言えるし、当時はライブ会場でも人気の高い曲だった。

改めて今聴いても楽曲としての完成度は高い。

愛を誓った白い教会の鐘の音
今も聞こえるのに
僕のために作った食事は冷めてゆき
君は無口になり
君のために創った愛の歌の歌詞さえ
今はもう 僕には思い出せない

木枯らしの季節

1977年発表の4枚目のシングル曲。

浜田省吾作品には珍しくアルバム未収録のレアな楽曲となっている。

シティポップスからロックンロール、リズム&ブルースの流れの中で発展していった浜田省吾の歴史の中でも「木枯らしの季節」は歌謡曲的な色彩が強く、振り返ってみると特異な印象を受ける。

故郷に恋人を残して上京した若者が東京の生活に明け暮れる中で、やがて彼女と別れてしまうというテーマは1970年代のニューミュージックの中では珍しくなかった。

SNSで繋がることもできない時代、地方出身者が東京での生活を歌う際には避けて通ることのできないテーマだったとも言えるだろう。

一日おきの手紙がいつか ひと月毎になり
「今すぐ帰って来て」と あの娘
震える電話の声
ユルシテ…そのひと言で
途切れたまま ただ唇をかむだけ

気づいた時には
君を失くしてしまった後
ひとりさまよえば
今はもう木枯らしの季節

さよならにくちづけ

1979年発表のアルバム「君が人生の時…」収録曲でシングルカットもされている。

大学を舞台に女の子との出会いから別れまでがまるで青春映画のように美しく描かれている。

浜田省吾にはやっぱりキャンパスを舞台とした青春ソングが一番似合うと思う。

洗練されているかどうかは別として、その時その時の思いとか感情みたいなものがきちんと伝わってくるからだと思う。

作り物とか借り物じゃない言葉というのは、リスナーの共感を得る上でも大切なものなのかもしれない。

それはそうとして「Kiss & Good-bye」とか今じゃ絶対に書けないフレーズだよね、きっと。

「さよならにくちづけ」というタイトルの時点で今じゃないかも(笑)

ドラム叩ける仕事見つけたんだ
二度とキャンパスに戻らないつもり
このままここにいたら
サビついてしまいそうで

しばらく会えない
旅に出るから
でもそれが君との別れだった
最後の口づけ
Kiss & Good-bye
君は涙こらえ 駆け出してゆく

おわりに

悲しい恋歌を集めていくと図らずも古い曲ばかりになってしまった。

最近の浜田省吾はカッコいいスーパースターになってしまったから恥ずかしい片想いとか失恋なんか似合わないのかもしれないけれど、未練たらしくて情けなくて恥ずかしい浜田省吾もやっぱりカッコいいのだ。

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1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。