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原宿「ティファニーカフェ」でアメリカン・ファストフードの世界観を楽しむ

Cat Street

ティファニーの世界観を再現したカフェが、2019年、原宿キャットストリートにオープンした。3年間限定オープンの「ティファニーカフェ」である。そもそも、ニューヨーク5番街にあるティファニー本店では、2017年、映画の世界にインスパイアされたダイニングカフェ「Blue Box Cafe」をオープンさせていて、その東京版がオープンしたということで、日本中のティファニー好きが騒然となった。

ティファニーというと、宝飾品が有名だが、実は文房具の類いも充実していて、ニューヨーク帰りの紳士の中には、ティファニー製品を愛用している方も少なくない。板坂元さんの著書などを読むと、ティファニーが頻繁に登場してくるが、そんな先輩たちの影響もあって、ニューヨークの紳士はティファニーを愛用しているのだという妙なイメージが、僕の中にはある。

だから、ティファニーカフェがオープンしたと聞いたときには、一度は訪ねなければならないと考えていた。「ティファニーで朝食を」に象徴されるような非日常空間が実際に体感できる。ティファニーの世界観を象徴的に表現しているのだから、さぞかし大人の空間に違いないだろうと思ったのだ。

Tiffany Cafe

新しいものが好きだという性格も手伝って、僕はオープンしたばかりのティファニーカフェを原宿に訪ねた。事前のネット予約は、いつでも満席状態だったので、とりあえずは現地に行ってから、いろいろな問題を考えることにした。そして予想どおりに、現地のティファニーカフェは、様々な問題に満ちあふれていた。

「ティファニーカフェ」は、僕が想像してよりも、ずっとささやかな建築物だった。3年間の限定店舗なんだから、考えてみれば当たり前である。立派な建物を造る必要性なんてどこにもない。

そして、店の前には開店時間の1時間も前から、多くの人たちが並んでいた。若い女性グループがほとんどであり、そして、その多くはティファニーの顧客には見えなかった。少なくとも、僕の目からは。

Takeout Cafe

僕は僕の家族と一緒に、その列の中に紛れて順番を待った。周囲は若い女の子たちばかりで、中年の男性一人では、とても来ることができない状態である(堂々と一人で順番待ちをしている中年男性もいたが)。

1時間待って店舗の中に入り、さらにカフェの整理券を待つ列に並んだ。カフェはティファニーの3階部分にあって、3階まで続く階段には、整理券を求める人たちの行列が並んでいる。30分待って整理券を受け取ると、カフェに案内されるのは4時間後ということであった。

しかも、カフェスペースは予約で満席のため、テイクアウトのみの取扱いだという。はっきり言って、階段に並びながらカフェスペースを観たときに、それは非日常の空間ではなく、安っぽいファストフード店みたいだと思ったけれど、せっかくここまで並んだので、4時間を待つことにした。

Waiting Time

もちろん、ティファニー店内で4時間も並び続けていることはできない。順番待ちの状況はスマホで案内が通知されるので、それまでは原宿でも青山通りでもブラブラしていればいい。そして、キャンセルの人たちが生じるせいか、順番は予定よりもずっと早く回ってきた。

「呼び出しまであと1組」となった時点でティファニーに戻り、カフェに上がっていく階段に並んだけれど、そこから先が長かった。「呼び出しまであと1組」の状況のままで、後から戻ってきた人たちが、次々にカフェへの階段を上っていく。どうやら、時間までに戻れなかった人たちが相当数いて、その人たちを優先的に案内しているらしい。

結局「あと1組」の状態のまま、階段脇で1時間近く待たされて、ようやく順番が回ってきた。

Nobodey is cafe

整理券を出してカフェへ続く階段の列に並びながらカフェスペースを眺めていると、満席のはずのカフェスペースに客は皆無であった。ネット予約では確かに満席になっているから、予約した人たちがやって来なくて空席になっているのだろう。これが原宿ティファニー流なのかもしれないけれど、生産性効率は極めてよろしくないシステムだと思った。余計なお世話だけれど。

American Fast Food

オーダーの順番が近づくと、あらかじめメニュー表を渡されるので、嫁と娘と相談しながら注文を決めておく。メニューと言っても、ドーナツやホットドッグ、クロワッサンなど、いかにもなアメリカン・ファストフードばかりだから、あまり悩む余地はない。ティファニーの世界観と言っても、アメリカンフードの歴史は守られているらしい。

テイクアウトの窓口でオーダーを済ませると、意外と早く商品が出てきて、ティファニーカフェの旅は終了。想像以上に、ささやかなティファニーカフェではあったけれど、これが東京流であり原宿流ということなのだろう。実際、ティファニーの世界観を求める人々で、店内はいつまでも賑わっていた。

Amusement Park

思うに、原宿キャットストリートのティファニーは、ティファニーの世界観を体感できる小さなアミューズメントパークである。インスタグラムに投稿すれば、リアルが充実した幸せな自分を演じることもできるだろう。というよりも、SNSで表現するには十分なだけ幸せな空間が、ここでは用意されているのだ。

それが「ティファニーの世界観」なのかどうか、僕には分からない。少なくとも、僕がイメージの中で描いていたニューヨークのティファニーとは、それはあまり似ていなかった。間違っているのは僕なのか原宿なのか、それは謎だ。

正解を知りたければ、ニューヨークのティファニーへ行ってみるしかないけれど、それはあくまでも正解を求める場合の話である。コーヒーとドーナツ代の1,000円と4時間程度の待ち時間で、「リア充な自分」を演出できると考えるならば、原宿のティファニーカフェも決して悪くはないと思う。ある意味で、そこは、確かに非日常的な空間であることに間違いはなかったからだ。

本物の「ティファニーの世界観」を手に入れたければ、ニューヨークの5番街に行くしかないだろう。

http://gentle-land.com/breakfast-at-tiffanys/

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1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。