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坂崎幸之助「和ガラスに抱かれて」ウランガラスの解説書として最適なコレクション集

2000年前後のことですが「ガラスブーム」というのがありました。

ウランガラスにプレスガラス、ヤフオクでもガラス争奪戦が熱かった時代。

今回は、そんなガラスブームを背景に出版された本、『和ガラスに抱かれて—坂崎幸之助のガラス・コレクション』をご紹介します。

2000年前後のガラスブーム

ガラスブームというのは、骨董の世界におけるひとつのムーブメントのことです。

骨董業界にも、いろいろなジャンルがあって、骨董業界にも、いろいろな流行り廃りがあります。

1990年代の終わり頃から流行していたのが、ガラスを素材とした骨董品でした。

ガラスコップやガラス皿などのガラス製品が、骨董市などで人気を集めていたのです。

『和ガラスに抱かれて—坂崎幸之助のガラス・コレクション』(コロナブックス)『和ガラスに抱かれて—坂崎幸之助のガラス・コレクション』(コロナブックス)

その頃、注目を集めていたガラスには、<ウランガラス>や<プレス(型)ガラス>などがありました。

江戸時代から明治時代にかけて作られた切子硝子なんかは、既に芸術品として美術館所蔵のアイテムとなっていましたが、大正から昭和初期にかけて製作された日常使いの器は、まだまだ骨董市で蒐集することが可能だった時代。

そんな大正硝子や戦前ガラスの主役となっていたのが、ウランガラスやプレスガラスだったのです。

坂崎幸之助って、どんな人?

ガラスブームは、特に若い世代を中心に、全国へと広がっていきました。

アルフィーのメンバーである坂崎幸之助さんも、そんなガラスコレクターの一人です。

ガラスコレクターの坂崎幸之助さんガラスコレクターの坂崎幸之助さん

もともと、坂崎さんには異常なマニア傾向があって、ガラスだけではなく、クラシックカメラやギターの蒐集、果ては魚類や爬虫類の飼育でも有名な存在となっています。

それぞれの世界で一流のマニアとして知られているというのは、凄いことです。

いくつもの道を究めてしまったコレクター、それが坂崎幸之助さんだったんですね。

ちなみに、本書が刊行された2001年、坂崎さんは47歳。

まだ、若かったんですね、アルフィーのメンバーも。

和ガラスに抱かれて—坂崎幸之助のガラス・コレクション

そんな坂崎幸之助さんが、2001年に出版した著作が『和ガラスに抱かれて』です。

書名は、アルフィーの楽曲『木枯らしに抱かれて』(小泉今日子が歌ってヒットした)ですね。

サブタイトルのとおり、「坂崎幸之助のガラス・コレクション」を網羅する形で、たくさんのガラス製品が紹介されています。

コレクターが多いしょうゆ瓶コレクターが多いしょうゆ瓶

実は、本書が刊行される前年の2000年、骨董コレクターのための雑誌『骨董ファン』が、ガラス製品の特集を組んでいて、ウランガラスのコレクターとして誌面に登場したのが、アルフィーの坂崎さんでした。

だから、全国のガラスマニアは『骨董ファン』で坂崎さんのウランガラス・コレクションを知り、さらに『和ガラスに抱かれて』で、坂崎コレクションの全貌を知ることになったんですね。

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本書の特徴は、いろいろあるガラス製品が「しょうゆびん」「リキュールグラス」「あられコップ」「コップ」「レース皿」「びん」「文房具」「コンポート」「灰皿」「おもちゃ」「かんざし」など、商品別に紹介されていることです。

当時のガラスコレクターには、なぜか「醬油瓶」が異常に人気があって、骨董市でも醤油瓶は高い値段を付けていました(謎ですね)。

そして、いろいろガラス製品の中で、とりわけ熱狂的コレクターを生み出していたのが「ウランガラス」です。

坂崎幸之助のウランガラス・コレクション

「ウランガラス」というのは、ガラス成分の中にウランを含んだガラス製品のことです。

ブラックライトを照射すると、緑色に光ることが大きな特徴で、暗い部屋でガラス製品が緑色に光っている様子は、かなり衝撃的です。

当時は、このウランガラスが、とにかく人気で、どこの骨董市へ行っても、あっという間に売り切れてしまうほど、入手困難のアイテムとなっていました。

種類が豊富だったリキュールグラス種類が豊富だったリキュールグラス

太陽光の下で見ても分からないので、坂崎さんたちマニアは、わざわざ骨董市までブラックライトを持参して、ウランガラスかどうかを確認していたそうです(笑)

このウランガラス、日本国内では、大正末期から昭和初期にかけて作られていたもので、昭和初期のガラスコップを中心に集めていた我が家にも、いくつかあります。

もちろん、ウランガラスと知って買ったものではなくて、たまたま集めたコップの中に、ウランガラス製のものが混じっていただけのもの。

まあ、昔の人たちは「ウランガラスを作ってやろう」と思っていたわけではなくて、たまたま使った素材の中にウランガラスが含まれていただけのことなので、ウランガラスといっても、さほど特別のものではないはずなんですよね。

昭和初期のガラス製品にブラックライトを当てると、意外と光るんじゃないかと思います(発光の強さには差があるとしても)。

加熱するガラスブーム

坂崎さんの『和ガラスに抱かれて』が刊行されて、世の中のガラスブームは、ますます過熱していきました。

あまりに「ガラスが熱い」と煽ったために、ウランガラスやプレスガラスを中心に、ガラス相場が、どんどん上昇していったほど。

メルカリではなくヤフオクの時代でしたが、ヤフオクでも、かなり熱かったですね、ガラス争奪戦は。

ブラックライトを照射すると緑色に光るウランガラスブラックライトを照射すると緑色に光るウランガラス

その頃、管理人は、ガラスコップを専門に蒐集していたので、リキュールグラスとかあられコップなんかは、今も我が家にもあります。

単に「ガラス」だけをテーマにすると、あまりにも蒐集の対象が広すぎるんですよね(大体、我が家はそんなに広くはないし)。

意識して集めたわけではありませんが、コレクションの中には、ウランガラスもかなり含まれています。

昭和初期のガラスを集めていく経過で、自然にウランガラスも含まれていたんですね(ウランガラスは大正から昭和初期にかけて製作されていた)。

もっとも、ブームが過熱するほどに自分自身の蒐集熱は冷めてしまって、坂崎さんの本を読んですぐくらいの頃に、ガラスの蒐集は止めてしまいました。

坂崎さんの本を読んで、コレクションにはキリがないということを、視覚的に悟ったからだと思います(笑)

そのくらいに、すごいコレクションだったんですよね、坂崎さんのガラス・コレクションは。

ガラス蒐集の教科書として、現在でも本書を超えるものは、なかなかないはずです。

古いガラスに興味のある人は必見の一冊です。

まとめ

ということで、以上、今回は、坂崎幸之助さんの著作『和ガラスに抱かれて—坂崎幸之助のガラス・コレクション』をご紹介しました。

コロナ禍で骨董市も控えめな時代ですが、太陽の下で風に吹かれながら骨董を見て回る骨董市は、本当にいいものだと思います。

これから夏に向けて、骨董市でガラス製品を探してみてはいかがでしょうか。

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kels
ちょっと懐かしい本や雑誌、CDの感想を書いています。好きな言葉は「広く浅く」。ブックオフが憩いの場所です。