秋冬ファッションが気になる季節になりました。
今回は、浅野ゆう子さんの「セーター&スタイリングメッセージ」をいう本を参考にして、90年代初頭のニットファッションを勉強してみたいと思います。
レディースのスタイルブックですが、当時の着こなし方を学ぶことで、参考になることもあるのではないでしょうか。
浅野ゆう子「セーター&スタイリングメッセージ」
今回、ご紹介する書籍は、浅野ゆう子さんの「セーター&スタイリングメッセージ」です。
平成2年9月30日発行で、出版社は雄鶏社。
前半に、浅野ゆう子さんが、いろいろな種類のニットを解説しながら、コーディネートのポイントを紹介。
後半は、そのニットの型紙が付いているので、手芸用の本だったみたいです。
株式会社パピーが全面的にスポンサーになっています。
というか、雄鶏社とパピーのコラボ本っていう感じでしょうか。
全ページカラーなので、ファッションの参考としては、すごく便利。
1990-1991の秋冬ファッションといえば、まさしくバブル景気真っ最中です。
バブル期の秋冬ファッションの雰囲気がつかめそうですね。
オリーブグリーンのVネックセーター
V襟ニットはセーターの基本のひとつ。
太すぎない糸で編んでいるものは、着こなしにも変化がつけやすい。
Vネックの開き具合は、男性の場合は小さく、女性の場合は大きめがお勧め。
都会では土っぽいファッションが新鮮に見えます。
アースカラーの茶色はオリーブグリーンとの相性もばっちり。
Vネックの下には普通の白シャツを合わせて。
決めすぎないように足元は、あえてワークブーツで外しています。
アラン編みのセーター
アランはアイルランドの西の方にある島で、漁師さんたちが着ているセーターの模様。
紋章みたいに、家によってそれぞれ独特の柄があるらしい。
防寒や防水のために脱脂していない素朴な毛糸で編んでいます。
フィッシャーマンセーターとかアイリッシュセーターなんて呼ばれているものは、みんなこの模様が入っているんですね。
どんな色にもアレンジできるけれど、やっぱり、オフホワイト(生成り)が本格的。
そのまま肌に着るものではなくて、下にTシャツや下着を重ねて着るので、チクチクするような素朴な糸も平気です。
その荒々しさ、ハードタッチが、男の子たちにウケている。
たいていジーンズを合わせるけれど、ツイードやコーデュロイにすれば、もっとオシャレで大人っぽくなると思います。
今回は、大人の女性の着方として、トラディショナルな感じのチェックの長めのシャツをインしました。
セーターにボリュームがあるから、ボトムにもある程度の量感が欲しい。
足元にはシンプルなスゥエードのブーツを合わせて。
2色編み込みのT-セーター
演技しているとき以外は、なるべく無理のない自然な状態でいたい。
ダボッとしたジーンズを履いて、フラットな靴を履いて。
なんにもしないオシャレっていうのもあると思う。
このセーターを見た瞬間、「これは凝らない方がいい」と思いました。
何もしない方が魅力が生きるセーター。
だから、ジーンズを組み合わせてみました。
ジーンズは、私の定番のひとつで、ストレートで大きめのダボッとゆとりをもった着こなしが好き。
ナチュラルとかリラックスとか、そんな言葉で表現されるのが、私のジーンズ哲学なんです。
セーターの中に着ているのは、ヘインズのTシャツ。
安くてよれっとしているけれど、洗うたびに味が出てくる。
Tシャツの色は、何と言っても白が一番です。
森のグリーンのセーター
このセーターは、襟ぐりのゴム編みの幅を広くして、「首にくっつかず、自然になじむ感じの襟元にしたい」と注文しました。
ラグラン袖で、ボリュームのある編み地。
こういうセーターは、一回りも二回りも大きなサイズを着ると、女性の首の細さや、華奢な肩の線が、逆に強調されますよ。
カジュアルだけど、なんとなくエレガント。
そんな雰囲気を出したくて、薄手ウールの柔らかいスカートを組み合わせました。
小紋柄を縞状に織り出した間に、ペイズリー柄がプリントしてあるという凝った生地で、古いインテリアの素材を連想しますね。
ポンポンショール
スカーフ、マフラー、ショールなど、形が決まっていないものをうまく使うには、熟練が必要。
何度も何度も、飽きずに懲りずにやってみることです。
大きなストールやショールのように、一枚の布みたいな形のものを体にまとうのって、カッコよくて最高にオシャレ。
不思議にエレガントでドラマティック。
特に黒いショールをまとった女性なんて、謎めいた魅力があります。
シンプル&ベーシックベスト
カシミアが大好きです。
軽くて温かくて、ちょっとぬめっとした柔らかい肌触りは、他の素材では味わえない贅沢な気分。
ボルドーは、大好きなフランスのワインの赤紫色。
深みと輝きがあって、適度に華やぎのあるいい色だと思います。
白、黒、グレー、、、モノトーンはもちろん、紺にも似合います。
昔からメンズに使われていたのは、コーディネートしやすい色だからかもしれませんね。
コーディネートは、チェックのテーラード・ジャケットを組み合わせて。
ほんの少しですが、ベストと同じ色がジャケットのチェックの中に入っています。
それが二つをうまく調和させる鍵になっているんですね。
アーガイルのセーター
「いっぱい洋服を買う人って、頭が悪いって感じ」。
ベーシックなセーターなら、ドレスアップしたりドレスダウンしたり、仕事にも遊びにも着ることができます。
だから、私は定番が好き。
エッセンスを採り入れたアーガイルなら、落ち着いてシックな感じになります。
メリヤス編みで丸首とシンプルな上に、色がシックだから、コーディネートによっては地味におとなしくなりすぎるかも。
オレンジのコーデュロイ・パンツを合わせてインパクトを。
オレンジといっても、生々しくなく渋さのある色なので、セーターと引き合っていると思いますよ。
編み込みカーディガン
このカーディガンは、柄があまりゴチャゴチャしていなくて、色使いもすっきりとしていてシックな感じ。
オックスフォードとかケンブリッジとか、伝統ある大学の昔の学生が、こんな感じのカーディガンにニッカボッカーを履いてゴルフをしている。
そんな映画のシーンを思い出します。
ダボッとゆとりの多いウールパンツと合わせて、メンズ感覚のクラシックなスポーツウェアな着こなしもできるし、プリーツスカートを合わせて平凡だけど気品を感じさせる着方もいい。
今回はカジュアルにドレスダンして、シャンブレーのシャツの裾を、カーディガンの裾から出して来てみました。
シャンブレーのシャツは、ダンガリーより洗練されていると思います。
細かく神経を使っていながら、無造作に着ているように見せるのがオシャレ。
茶色とターコイズブルーの対比もポイントです。
カーディガンもスカートも茶色っぽい暖色なので、冷たい色で締めています。
ちらっとのぞくネックレスも、ラフなトルコ石を無造作につないだものです。
フードつきセーター
フードのついたセーターは、カウチンやフィッシャーマンのニットによくある形。
元々、労働するときに着るものだったんですね。
フードは寒さを防ぐためのもので、単なる飾りではありませんでした。
こういうセーターは、大きめのをガボッと着るのが好き。
ニットに限らず、ゆとりって大切なことだと思います。
街で着るなら、中途半端にジャケットなんか着ない方がいい。
思いきりカジュアルに、ボトムは裏革の短いキュロットをコーディネート。
イギリスゴム編みのカーディガン
イギリスゴム編みで、紺のVネックのカーディガン。
「普通の代表選手」みたいな服で、おじいさんから小さな女の子まで、性別年齢に関係なく、大昔からみんなに愛されているニットです。
私も大好きで、手編みのガボッとした大きめのカーディガンを羽織ると、何だかホッとします。
色は、顔映りのいい紺を選びたい。
紺にも赤っぽいのやグリーンっぽいもの、濃さにもいろいろな段階があって、それぞれに雰囲気が違います。
今回のカーディガンは、ほんの少し紫がかったネイビーブルー。
イギリス海軍の制服に使われていたので、ネイビーブルーと呼ばれています。
メンズのフォーマルなブレザーも、この色で、上手に使うと最高にオシャレな色なんですよ。
なので、コーディネートも、ブリティッシュ・トラディショナルを意識して。
シャツもアスコットタイも、ベルトや靴まで基本はメンズ。
ネイビーはグレーや赤、白と合う色だけど、今回はひねりをきかせて茶色と組み合わせてみました。
ベルトや靴は、パンツの色とトーンを合わせるとすっきり見えますよ!
まとめ
ということで、以上、今回は、90年代初期に出版された、浅野ゆう子さんのスタイリング・ブックから、秋冬ファッションの必須アイテムであるニットの着こなしについて、ご紹介しました。
意外とメンズ・アイテムを採り入れたりと、浅野さん流のオシャレのポイントが分かりましたね。
おしゃれ女子のスタイリングは、男性にも役に立つ部分が多いと思います。
最近流行の、レトロな90年代ファッションの参考にもなりそうですね。
ニット・アイテムを上手に使って、秋冬ファッションを楽しみましょう!