テレビ大阪で真夜中ドラマ「ハイポジ 1986年、二度目の青春。」の再放送が始まりましたね。
1986年の青春を再現した、このドラマ、本当におもしろかったなあ。
しかも、このドラマ、ちゃんとオフィシャルブックが発売されているんです。
タイトルは『ハイポジ・オフィシャルブック』。
今回は、この『ハイポジ・オフィシャルブック』の内容と感想をレビューしたいと思います。
真夜中ドラマ「ハイポジ」の概要
はじめに、『ハイポジ 1986年、二度目の青春。』というのは、2020年にBSテレ東「真夜中ドラマ」枠で放送されたテレビドラマのことです。
主演は今井悠貴、ヒロインとして黒崎レイナや鈴木絢音(乃木坂46)が出演していました。
主な内容をオフィシャルブックから引用します。
妻に離婚を切り出され、会社もリストラされてしまった冴えない中年・天野光彦が、16際の高校生だった1986年にタイムスリップし、心は46歳のまま二度目の高校生活を送る物語。やり直しができた”青春”の行方は!? 「赤灯えれじい」ほかタイムレスな傑作青春漫画を生み出してきた、きらたかしの原作をテレビ大阪がドラマ化!
簡単に言うと、絶望状態の中年男性が、高校時代にタイムリープして青春をやり直すというファンタジードラマ。
ポイントは、高校生活が1986年という時代だったというところで、ドラマの中でも、1980年代(バブル黎明期)の雰囲気がしっかりと再現されています。
BGMには、当時流行していたJ.POPが、これでもかと使用されています。
このあたりの話は、別記事「真夜中ドラマ「ハイポジ」80年代のヒットソングに励まされる」で熱く語っているので、関心のある方は、ぜひお読みください。

原作は「漫画アクション」に連載された、きらたかしの漫画。
ドラマでは、80年代ファッションなども登場しているので、当時を懐かしむおじさん・おばさんばかりではなく、80年代カルチャーに興味のある若い方にもお勧めのドラマです。
「ハイポジ・オフィシャルブック」の概要
さて、そんな深夜ドラマ「ハイポジ」を、もっと深く楽しむために登場したのが、『ハイポジ・オフィシャルブック』です。
本の帯には「鈴木絢音(乃木坂46)、黒崎レイナ 出演女優の撮り下ろしグラビア大掲載!」「ウォークマン&カセットテープ&セーラーズ&LARKの灰皿etc…番組に登場の80’sカルチャーも徹底解説」「1980年代最新ガイドブック」とあります。
ドラマを観て、あれ、なんだろう?と疑問に思ったりした方は、このオフィシャルブックを読むと謎が解明するかもしれませんね。
80年代って楽しそう!と思った人は、80年代カルチャーをもっとよく知るための参考書として、きっと使えると思います。
当時を知っている世代の方は、この一冊で80年代の世界へタイムスリップできます。
今いちばん新しい80年代ガイドブックということができそうですね。
書名:ハイポジオフィシャルブック
発行年月日:2020/04/01
出版社:双葉社
それでは、この後は、オフィシャルブックの構成に沿って、内容と感想をレビューしていきたいと思います。
「憧れの日々」小沢さつき(黒崎レイナ)
巻頭を飾るのは、主人公(天野光彦)の憧れの女性だった小沢さつき(黒崎レイナ)のカラーグラビア。
撮影は木村和平、80年代のカラーグラビアの雰囲気を再現するため、すべてフィルムカメラで撮影されています。
いいですね、こういうこだわり。
フィルム写真には、デジタルカメラではどうしても表現できない「淡さ」というか「繊細さ」があるんですが、そんなフィルム写真の特徴が、とてもよく理解できるカラーグラビアになっていると思います。
いいなあ、フィルムカメラ。
そして、小沢さつき役の黒崎レイナがかわいい!
ビジュアルは、おそらく80年代当時の斉藤由貴をイメージしたものだと思いますが、あの頃の斉藤由貴の雰囲気をうまく再現していると思います(あくまでも雰囲気)。
当時の斉藤由貴の可愛らしさといったら、もう最強でしたからね。
尾崎豊はともかく、パンツ被ったおっさんと不倫するなんて、想像さえできなかったくらい。
人物相関図・キャラ紹介・全12話徹底解説
ドラマを深く理解するためのデータ集。
小沢さつきをレイプしようとしたラブ高のヤンキーには「タツオ」と「トラオ」という名前があったんですね(人間のクズだ、こいつら)
ちょい役だったけど、光彦の童貞を奪ってしまうボディコンお姉さんは「メグミちゃん」。
初体験だけど、中身はおっさんなのでセックスがめっちゃ上手ということで、光彦といい関係になりそうになってしまいます。
2020年の世界でも登場している、さつきの妹「みどりちゃん」も、いい役でしたね。
そういえば、2020年の小沢さつきも観てみたかったなあ。
全十二話徹底解説では、あらすじだけではなく、80年代カルチャーやBGMの意図などについても触れられていて、意外と読み応えがあります。
きらたかし・中村あゆみ・売野雅勇
「ハイポジ・オフィシャルブック」では、ドラマの解説ばかりではなく、当時を知る人たちの対談や出演者のインタビューも充実しています。
例えば、「ハイポジ」原作者のきらたかしと「翼の折れたエンジェル」中村あゆみとの対談。
ほとんど冗談のような対談が実現しているところが、このオフィシャルブックのすごいところです。
中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」は、原作漫画でも最初に登場する音楽で、原作ではシングル盤ではなく、アルバム『Be True』(ビー・トゥルー)が描かれています。
本当に中村あゆみが好きだったんですね、高校時代のきら先生。
それにしても、ちゃんとドラマを観ていてツイートしている中村あゆみさんもさすがです。
1986年にタイムスリップで、サブタイトルが「翼の折れたエンジェル」だから、そりゃあ気になりますよね(笑)
黒崎レイナと作詞家・売野雅勇(うりのまさお)の対談もすごい。
売野さんといえば、チェッカーズの数々の名曲で知られる超ビッグな作詞家で、酔っぱらった天野が歌っていた「あの娘とスキャンダル」は売野さんの作品。
ドラマに流れていた曲でいうと、スクール☆ウォーズのテーマ曲で、麻倉未稀が歌った「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」も売野さんの作詞ですね。
不良ドラマつながりでは、「不良少女と呼ばれて」(伊藤麻衣子)の作詞も手がけています。
あと、光彦の妻・幸子の現代バージョンを演じたいしのようこ(石野陽子)が歌った「テディーボーイ・ブルース」も売野さんの作品でした(この曲大好きなんです)。
そんな80年代歌謡曲を知り尽くす売野さんが、黒崎レイナと対談するっていうのも、すごく興味がそそられます。
黒崎レイナちゃんが、80年代歌謡曲に詳しいっていうところから、この対談が実現しているんですけど、なかなかディープな80年代談義に仕上がっています。
ヤバいですね、黒崎レイナちゃん。
おじさんと対等で80年代の話題で盛り上がれるなんて、飲み会でもおっさん受け抜群ですよ、絶対(うれしくないか)。
柳憂怜・いしのようこ・今井悠貴
「ハイポジ・オフィシャルブック」では、出演者が語る80年代のコーナーも充実しています。
例えば、柳憂怜だったら「80年代のたけし軍団とは」につながったり、いしのようこの場合は「80年代の志村けんとは」につながったりと、まさしく、それぞれの80年代。
当時を知らない世代の今井悠貴や黒崎レイナが語る80年代っていうのもいいですね。
なぜか、司幸子役を演じた鈴木絢音(乃木坂46)のインタビューは掲載されていません。
その代わり、カラーグラビアのコーナーが二つあるので、鈴木絢音は完全にビジュアル担当ということなのかもしれませんね(鈴木絢音のグラビアは、司幸子バージョンと鈴木絢音バージョンのふたつ)。
80年代カルチャーの解説
この「ハイポジ・オフィシャルブック」は80年代カルチャーの教科書でもあります。
「きらたかしが語る80年代漫画」では、80年代の名作タイトルがたくさん登場しています。
きら先生のラブコメ原体験は、『750ライダー』(石井いさみ)、「月とスッポン」(柳沢きみお)、『すくらっぷ・ブック』(小山田いく)などの、少年チャンピオン。
あ、こんなところに小山田いくの名前がありました。
ドラマの中で『星のローカス』が登場していたので、ちょっと気になっていたんですよね。
このあたりの話は、別記事「小山田いく「星のローカス」進路と恋愛が男子高校生のテーマだった」をご覧ください。

その他、ラジカセ、ウォークマン、タバコ、青春ドラマと、80年代カルチャーの話題がてんこ盛りで、これ、絶対にすべては紹介しきれません(笑)
80年代を語る執筆陣も、『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた 昭和40年代男子の思い出エッセイ』や『さよなら小沢健二』の小説家・樋口毅宏とか、サニーデイ・サービスの曽我部恵一とか、セーラーズの社長・三浦静加とか、『青春 トーキョースクールガール』の写真家・小林幹幸(コバヤシモトユキ)とか、まあ、かなりの豪華ラインナップ。
とりあえず、買っといてください。
間違いありませんから(笑)
最近いちばんの愛読書です。
まとめ
ということで、以上、今回は、『ハイポジ・オフィシャルブック』を読んだ感想について全力でレビューしてみました。
80年代はあまりに思い入れが強すぎて、ひとつひとつ書いていたらキリがない!ということが分かりました(笑)
もう、まるごと80年代カルチャーの教科書ということにして、長く愛読したいと思います。