音楽

ブレッド&バター「London-Paris-New York-湘南」クールでドライな遠距離恋愛

ブレッド&バターの湘南サウンドといえば、1980年代前半にアルファレコードで録音した湘南三部作を思い出す人が多いかもしれない。

だけど、僕は1990年代のブレバタの湘南ソングも好きだ。

そして、ブレッド&バターといえば、夏歌、サマーソングに圧倒的な人気があると思うけれど、僕は夏が終わった後の季節を歌ったブレバタも好きだ。

何を言いたいかというと、僕はブレバタの「London-Paris-New York-湘南」という作品が好きだということ。

「London-Paris-New York-湘南」は、1994年7月25日に発売された、ブレッド&バターのシングル曲だ。

CDジャケットには、1994″ハマラジ湘南王国 847″キャンペーンソングとある。

7月に発売されたサマーソングなのに、歌詞の内容はなぜか季節外れだ。

夏が去ろうと 秋が来ようと いつでもサマータイム
青い風が吹く 2階のベランダ ウェットスーツ
波にまかれて 砂にまみれて 身体に熱いシャワー
冷えた水飲めば 喉にしみてく 留守電の声

Good-bye Love 今夜の便で
Good-bye Love 後はよろしく

London-Paris-New York-Shonan-Shonan
London-Paris-New York-Shonan
浮気せず 待ってるよ 飲み過ぎないで

何だかよく分からないけれど、夏が終わって、彼女が去っていった。

遠距離恋愛。

そんな虚無感みたいなものだけは、確かに伝わってくる。

「♪Good-bye Love 後はよろしく~」—なんと言っても、別れ方がクールだ。

年上だろが バツイチだろが 不良が好きだから
波さえ良ければ 機嫌がいいのは あいつも同じ
仕事も別で 住まいも別で 会いたい時会えれば
一人だけの夜 たにはいいよ さみしくないさ

Canpai Love ピンクのシャンペン
Canpai Love 好きにやろうね

London-Paris-New York-Shonan-Shonan
London-Paris-New York-Shonan
通じ合うね 色がいいね 愛し合おうよ

ベタベタした感じがどこにもない。

ダンサブルなサウンドが、ドライ・タッチな大人の世界を彩ってくれる。

過去のブレバタの楽曲とは、ずいぶん違うような気がしたけれど、僕はこの曲が妙に好きだった。

1994年(平成6年)の夏の思い出。

2年間のフリーター生活にケリを付けて、僕は道北の小さな港町で新しい仕事に就いていた。

同棲していた彼女と結婚式を挙げたのは、1994年の7月10日だ。

沖縄旅行から帰ってきた後、キャンプ道具を自動車に積んで、僕らは北海道中を走り回った。

稚内も、函館も、根室も、みんなキャンプ場に泊まった。

1994年、アウトドア・ブームの時代。

そんなふうにして、僕らの1994年の夏は終わった。

ブレッド&バターの「London-Paris-New York-湘南」という小さなCD一枚を残して。

もちろん、僕の中で、ブレバタと新婚生活と北海道キャンプ旅行が直接的につながっているわけじゃない。

今から振り返ってみたとき、1994年の夏の中に、ただそれらが一緒に存在していたというだけのことだ。

恋の大穴 二人のほら穴 そろそろ埋めようか
いつでも近くに いたくなるんだ 許せる範囲
軽い旅立ち 会えぬ苛立ち そろそろやめにして
離れた暮らしは ここまでにしよう もうリミット

Come Back Love 波が来るよ
Come Back Love さらわれそう

London-Paris-New York-Shonan-Shonan
London-Paris-New York-Shonan
月の夜 泳ぎたい 裸のままで

ブレッド&バターのシングル「London-Paris-New York-湘南」は、彼らにとって最後のシングル曲である(オリジナル作品としては)。

そして、「London-Paris-New York-湘南」は、彼らのオリジナル・アルバムに収録されることもなかった。

かろうじて、1995年に発売されたベスト・アルバム『SUPER BEST 2000』で聴くことができるくらいだ。

カップリングの「湘南MOON」に至っては、ベスト・アルバムにさえ収録されていない。

そんな背景があるから、なおさら、僕は1990年代のブレッド&バターが好きなのかもしれないな。

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kels
バブル世代のビジネスマン。読書と音楽鑑賞が趣味のインドア派です。お酒が飲めないコーヒー党。洋服はアーペーセーとマーガレット・ハウエルを愛用しています。