タワーレコードで限定販売されている1980年代J-POPのコンピレーションアルバムを買ってきたのでレビューします。
おかげで、この週末、頭の中はすっかりと80年代です(笑)
Love 80’s J-POP Best<タワレコ限定>シリーズ
今回、ご紹介するのは、タワーレコードのみで限定販売されているコンピレーションアルバム「Love 80’s J-POP」シリーズです。
タワレコは、シティポップとか1980年代とかいうキーワードに敏感で、多くの限定販売アイテムを世に送り出しています。
基本的に、既に廃盤となっている当時のアルバムを独自に復刻するパターンが多いのですが、タワレコオリジナルのコンピレーションアルバムを制作するパターンもあります。
それが、この「Love 80’s J-POP」シリーズです。
2020年11月にシリーズ最初の『Love 80’s -Ultimate J-POP Best』発売。
2021年11月には『Love 80’s -BEST J-POP CRUSHES』『Love 80’s -TOP J-POP HEARTTHROBS』の2セットが発売されました。
いずれのCDにも、江口寿史『ストップ!!ひばりくん!』のイラストがジャケットに使用されているので、タワレコの店舗へ行くとすごく目立ちます(笑)
『ストップ!!ひばりくん!』は、漫画家・江口寿史の代表作であるとともに、1980年代を代表する名作コミック。
オシャレでかわいいデザインは、CDとの相性もバッチリなので、ジャケ買いしても損はないと思います。
もちろん、コンピ盤としての実力も素晴らしくて、いずれもCD2枚組という大ボリュームな企画です。
収録曲は、2020年発売の『Love 80’s -Ultimate J-POP Best』(アルティメイト)と、2021年発売の『Love 80’s -BEST J-POP CRUSHES』(クラッシュ)、『Love 80’s -TOP J-POP HEARTTHROBS』(ハートスラブ)で大きく異なっています。
『アルティメイト』はヒット曲や有名曲を中心にした選曲で、『クラッシュ』『ハートスラブ』は、知名度度外視のマニアックな選曲で、正直、知らない曲が多いです。
『クラッシュ』『ハートスラブ』の場合、企画のコンセプトには「ジャンルも背景も違う名曲の中から、<サウンド><グルーヴ>を基準に、時代を超えた選りすぐりの名曲ばかりを厳選収録! DIGればDIGるほど面白い、奥深い内容。レア音源にも注目!」とあるから、まあ、なるほどという感じ。
ほとんど知られていない隠れた名曲の再評価につなげることも、「Love 80’s J-POP 」シリーズの狙いとしてはあるようです。
一方、ヒット曲の多い『アルティメイト』は「青春歌年鑑」シリーズに近いものがありますが、最大のポイントはサウンド重視の選曲になっているということ。
ただ、懐かしい音楽を集めているのではなくて、アーチスティックな作品にこだわりをもっているので、アイドルや演歌歌手の楽曲は、基本的には収録されていません。
シンプルに当時のヒット曲を聴きたい人は「青春歌年鑑」シリーズを買う。
1980年代の音楽シーンをサウンド面からじっくりと聴いてみたい人は「Love 80’s J-POP 」シリーズを買う。
そんな住み分けができそうですね。
もちろん、『クラッシュ』『ハートスラブ』の場合でも、全然知られていないような無名のミュージシャンの古いレコードを引っぱり出してくるというのではなく、実力派アーチストの隠れた名曲を提案しているといった趣きが強いような気がします。
松田聖子や薬師丸ひろ子などのアイドルから、シナロケやYELLOW MAGIC ORCHESTRAなどの実力派アーチスト、さらには、ビートたけしや今田耕司などのバラエティ派まで、ジャンルにとらわれることなく、純粋にサウンドを楽しむためのコンピレーションアルバムですね。
あと、最新のリマスタリング音源が使用されているので、音質がメッチャいいです。
サブスクとは比べ物にならないのはもちろん、既にCDで持っている曲も、最新リマスタリングで聴くと全然別物に思われます。
江口寿史のカバーイラストと最新リマスタリング、そして、サウンド重視の選曲。
このシリーズのポイントは、そんなところにあるのではないでしょうか。
それでは、以下、それぞれのCDを聴いた感想についてレビューしていきたいと思います。
Love 80’s -Ultimate J-POP Best
2020年11月に発売されたシリーズ最初の企画盤「アルティメイト」です。
シリーズ最初の盤である「アルティメイト」の特徴は、80年代を代表する定番ナンバーを中心に収録されているということで、ハウンド・ドッグ「ff(フォルティシモ)」、渡辺美里「MY REVOLUTION」、佐野元春「 SOMEDAY」、YELLOW MAGIC ORCHESTRA「君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-」、稲垣潤一「ドラマティック・レイン」と並べると、いかにもベタベタなエイティーズ。
それでも、レベッカは「フレンズ」ではなくて「RASPBERRY DREAM」、オメガトライブは、<1986>ではなく<カルロス・トシキ&オメガトライブ>の「アクアマリンのままでいて」という具合に、選曲には微妙なこだわりが感じられます。
アイドル系も、松田聖子「Rock’n Rouge」「時間の国のアリス」(いずれも作曲がユーミン)、薬師丸ひろ子「元気を出して」(竹内まりやの作詞作曲)、原田知世「 彼と彼女のソネット (T’en Va Pas)」(フレンチポップのカヴァーで、日本語詞は大貫妙子)と、あくまで楽曲にこだわったチョイス。
ディスコ系では、石井明美「CHA-CHA-CHA」、WINK「Sugar Baby Love」、BaBe「 Give Me Up」と、定番の洋楽カヴァーが顔を見せています。
注目は、「スター誕生!」出身の女性アイドル・吹田明日香がマドンナをカヴァーした「ライク・ア・ヴァージン」。
こういうレアな音源をリマスタリングで聴くことができるのが、最新コンピの魅力ですね。
1980年代後半、洋楽ディスコソングを日本語詞でカヴァーするというのが流行っていて、当時、その手の曲が大好きでした(アイドルでも、荻野目洋子と長山洋子のダブル洋子ちゃんは、その道のプロフェッショナルでしたね)。
シナロケ(シーナ& ロケッツ)の「レモンティー」や、清志郎率いる謎の覆面バンド、ザ・タイマーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」が入っているあたり、ロック系にも配慮されています。
むしろ、村下孝蔵の「初恋」が異質。
1980年代のヒット曲がたくさん入っているので、80年代J-POP初心者の方にもお勧め。
「Love 80’s J-POP」の中でも、最初に買うべき一枚ですね。
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Love 80’s -BEST J-POP CRUSHES
2021年11月に発売された「クラッシュ」は、「アルティメイト」に比べてマニアックな選曲が目に付きます。
なにしろ、コンセプトは、「多くの<新定番>も提案!ハイレベルな1980年代シティ・ポップ極上楽曲から、マイケル・ジャクソン、WHAM!、A-ha、マドンナ、カルチャークラブなど洋楽人気曲の邦人による新旧カヴァー!さらには時代を彩った大ヒット~TVCMソングまで!」ですからね。
まず、注目は、後にセクシー女優として活躍した女性アイドル・真弓倫子「アイ・ハード・ア・ルーマー」、ジュンスカ宮田和弥の嫁になった女性アイドル・勇直子「BOOM BOOM BOOM」、マハラジャのイメージガール・麻衣「SHOW ME」と続く、女性アーチストのディスコナンバー。
洋楽ディスコを日本語に昇華するというハイレベルなテクニックは、まさしく80年代。
「SHOW ME」は、当時たくさんの女性がカヴァーしましたね(『男女7人秋物語』の森川由加里が有名)。
麻倉未稀「ビリー・ジーン」(マイケル・ジャクソン)、渡辺美里「Do you realy want to hurt me」(カルチャークラブ)もいいですね。
ヒット曲としては、佐野元春「Young Bloods」、吉川晃司「にくまれそうなNEWフェイス」、忌野清志郎+坂本龍一「い・け・な・いルージュマジック」あたりのド定番なナンバーを収録。
岡村靖幸「Super Girl」、崎谷健次郎「思いがけないSITUATION」、池田聡「モノクローム・ヴィーナス」、菊池桃子率いるRA MU「青山Killer物語」、今井美樹「TOKYO 8月 サングラス」あたりは、シティポップ派も満足のラインナップでしょうか。
元・一風堂の見岳章「君は完璧さ」は、カルチャークラブの日本語カヴァー。
洋楽の日本語カヴァーは、オリジナルにはない泥臭さが味わいです。
全体に洋楽の日本語カヴァーが多く入っているので、こういうのが好きな人にはお得感があると思います。
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Love 80’s -TOP J-POP HEARTTHROBS
上記の「クラッシュ」と同時に発売された「ハートスラブ」です。
マニアックな香りが、ことさらに強くなっているような、、、(笑)
なにしろ、「グルーヴ基準」の選曲なので、有名とか無名とかあまり関係なし。
現代のクラブシーンでも通用しそうな名曲を、ひたすらにDIGるといった感覚です。
注目は、サックス奏者としても有名な久野かおりのダンス・ナンバー「Adam & Eve 1989」。
まるでアイドルみたいに甘い声で、これはアルバムが欲しくなります(笑)
アレンジもオシャレで、都会の夜にぴったり。
女性アイドル・岡本舞子「ファッシネイション」「桜吹雪クライマックス」、ユーミンのツアーにも参加する実力派シンガー・秋元薫「我がままなハイヒール」「Dress Down」など、オシャレで都会的な女性のディスコ・サウンドも素敵です。
80年代のオシャレ・ナンバーって、本当にオシャレな感じ。
女性アイドル系の洋楽ディスコ・カヴァーといえば、若さ弾ける長山洋子「ギヴ・ミー・アップ」「ラ・イスラ・ボニータ」と、荻野目洋子「ヴィーナス」「Melting Point」。
日本のユーロビートの女王<ダブル洋子ちゃん>は、やっぱり別格ですね。
80年代のアニメファンには、伊藤さやか「恋の呪文はスキトキメキトキス」(さすがの猿飛)や、オタク少年のアイドル・飯島真理「まりン」「Blueberry Jam」あたりがお勧め。
大人の女性が好きな方には、村上リエ「FALL IN LOVE」、阿川泰子「L.A.NIGHT」、髙橋真梨子「桃色吐息」と、充実のラインナップがあります。
シティポップ派には、崎谷健次郎「夏のポラロイド」、山下久美子のテクノ歌謡「赤道小町 ドキッ」あたりを。
ビートたけし&たけし軍団の「抱いた腰がチャッチャッチャッ」「哀しい気分でジョーク」も意外とシティポップです。
2曲も必要かという話はありますが(『ハートスラブ』では、割とイージーに同じミュージシャンの作品を複数収録しているような気がするので)。
全体を通してみると、レアな音源を追い求める人にお勧めのコンピですが、岩崎宏美「聖母たちのララバイ」とか、RCサクセション「雨あがりの夜空に」みたいな、通好みのヒット曲も入っているので、まあ、バランス重視と言えるでしょうか。
結局のところ、80年代サウンドが好きな人は、3枚とも買っておいて損はないといったところでしょうか。
僕は3枚とも買って良かった!と思っています(笑)
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まとめ
ということで、以上、今回は、タワーレコード限定販売の80年代コンピ「Love 80’s J-POP Best」シリーズについて、ご紹介しました。
ジャンル無視の、かなり乱暴なコンピではありますが、とにかく1980年代の空気感を味わいたいという人には、絶対にお勧めのシリーズだと思います。
個人的には、アイドルソングが入っていないところ、サウンド重視の選曲が良かったかなあ。
続きを期待したくなるシリーズですね。