音楽

浜田省吾「パーキングメーターに気をつけろ!」歪んだ現代社会で生きる男子の「SOS」

中学生の頃から好きだった浜田省吾。

あれから30年以上の時が過ぎて、お互いに(それぞれに)いい年になってしまったけれど、今でも僕は時々、浜田省吾兄さんの懐かしい曲を聴きながら、ドライブを楽しんでいます。

僕が本格的に浜田省吾の音楽を聴き始めたのは、アルバム「愛の世代の前に」くらいからだと思いますが、「HOME BOUND」「愛の世代の前に」「PROMISED LAND」あたりの曲には、今でも繰り返し聴きたくなる名曲が多いです。

その中で、最近特にお気に入りなのが、禁断のストーカーソング「パーキングメーターに気をつけろ!」です。

1982年発売のアルバム「PROMISED LAND」収録曲で、これは、僕が中学3年生の時に発売されたLPレコードということになります。

歌詞はめっちゃ分かりやすくて、好きな女の子に振り向いてもらえない、仕事も忙しくてイライラする、彼女は別の男の子とイチャイチャしている、もう全部許せないから彼女をナイフで刺し殺してしまおう!、という、簡単に言うと、そんな曲です。

めっちゃ危ない曲ですよね。

だけど、この曲は、単純なストーカーソングとして理解する前に、いろいろと考えておくべきことがありそうです。

ひとりきり映画を観た後
バーで2,3杯飲んだ帰り道
イライラした気分
吹き飛ばすことだけ考えてた

どうか あの娘を助けて
俺のナイフが あの娘の背に
わからない わからない
愛していた それだけさ

汗まみれ 1日10時間
働きどおしで疲れ果てていた
LAST NIGHT あの娘を食事に誘って
冷たく あしらわれた

ジェラシー 嵐のようなジェラシー
あの娘が 誰か他の奴と
街角を腕を組み歩いていた それだけさ

サイレンが鳴り響く
まばゆいサーチライト

誰か 俺を静かに眠らせてくれ
もう疲れた
走れない もう走れない
俺の胸を撃ち抜いてくれ

どうか あの娘を助けて
俺のナイフが あの娘の背に
わからない わからない
愛していた それだけさ

歌詞全体を読むと分かりますが、この曲のポイントは「どうか あの娘を助けて」という言葉にあります。

ナイフを握っているのは「俺」であって、「彼女を助けてくれ」と叫んでいるのも「俺」だという複雑な状況が、現在の「俺」の心境を巧みに物語っています。

そして、どちらの「俺」も、本当の「俺」であるということこそが、この歌の本質的な部分であるような気がします。

この歌の中で、僕が最高に好きな部分は「誰か/俺を静かに眠らせてくれ/もう疲れた/走れない/もう走れない/俺の胸を撃ち抜いてくれ」というところ。

仕事にも恋にも疲れ果てて、心身ともにもうボロボロになっている男の子の、まさしく自暴自棄になっている様子が「俺の胸を撃ち抜いてくれ」というフレーズに凝縮されているような気がします。

これは、つまり、歪んだ現代社会の中で生きる男の子からの「SOSのサイン」なんですね。

彼は「どうかあの娘を助けて」と叫んでいますが、本当に助けてほしいのは、他ならぬ彼自身であったはずです。

54歳になった今こそ、僕はこの曲を聴きながら、そんなふうに考えています。

忘れられた名曲となった「パーキングメーターに気をつけろ!」

最高に大好きな「パーキングメーターに気をつけろ!」ですが、ハマショー兄さんはあまりお気に入りではないらしく、ライブでの演奏はもちろん、ベスト盤に収録されることも、セルカバーされることもなく、現在はすっかりと「忘れられた名曲」となってしまいました。

ファンからの人気は高い曲だったと思うので、それがちょっと残念ですが、、、

でも、正直に言って、この曲は、やはり若い頃の浜田省吾でなければ歌えなかった曲のような気がします。

言葉にならない焦燥感とか、持って行き場のないイライラした気持ちとか、うまく伝えられない愛情とか、そういう若さゆえの不器用な感じを歌うというのは、あの頃の浜田省吾が限界だったのかもしれませんね。

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KONTA
1967年生まれのバブル世代。80年代カルチャーしか勝たん。推しは仙道敦子。匂いガラスが欲しい。