嫌なことがあったときは古い雑誌を読みます。
古い雑誌を読んでいると、完全に過去の時代の中に入って現実逃避できるから。
ストレス解消したいときは、青春時代の雑誌を読んで現実逃避するのが一番ですよ。
今回は、80年代のシティ・ボーイに憧れる大学生に大人気だった雑誌「POPEYE」から、1984年9月10日号(No.182)をご紹介します。
1984年の秋って何が流行っていたのか、思い出してみてくださいね。
おんなのコを招びたい! ポパイ式部屋作り大作戦
「POPEYE」1984年9月10日号(No.182)の特集は「おんなのコを招びたい! ポパイ式部屋作り大作戦」です。
インテリア特集って、今の「POPEYE」でも年に一回くらいはやってますよね。
意外と永遠の定番なんですね、部屋作り。
わたしの歌をCDで聴いてもらえたら、うれしい。マリーン。
いきなり目に飛び込んできたのはマリーン。
「わたしの歌をCD(コンパクトディスク)で聴いてもらえたら、うれしい。マリーン。」などというキャッチコピーが入るのが80年代。
レコードとCDの過渡期だったんだろうな。
「「コンパクト・ディスク」は、こんなに優れていて、うれしい」なんていう、CD普及啓発活動みたいな解説も載っています。
ちなみに、当時発売されていたマリーンのCDは『ルッキング・フォー・ラブ』『マジック』『デジャ・ヴー』の3枚でした。
そして、お隣のページに、ソニーのCDコンポの広告が載っています。
「CDがカンタンに楽しめて、Wデッキも搭載。欲ばりだ。リバティ。」
ダブルカセットデッキにドルビーB・Cノイズリダクション搭載。
「リニアスケイティング方式」とか「インデックスサーチ」とか「AMS機能」とか「ミュージックサーチ機能」とか「2パターンのリピートプレイ」「9バンド・グラフィックイコライザー」「クオーツロック・シンセサイザー」とかギミックがすごい。
ほとんど意味が分かりませんが、当時のシティボーイは理解できたんでしょうか。
ちなみに、僕が初めてCDコンポを購入したのは、1986年に大学生になって一人暮らしを始めたときでした。
1985年まではレコードしか聴けなくても、そんなに不便はなかったんですね、きっと。
15歳の西橋優恵ちゃんは、雑誌「MCシスター」専属モデル
最新情報コーナー「POP・EYE」の見出しは「夏休みでハチャメチャになった頭も、キラリ輝く情報でシェイプアップ!」。
15歳の西橋優恵ちゃんは、雑誌「MCシスター」専属モデルで、将来性ありあり。
「彼女が時の人となるのは時間の問題」なんだそうです。
都市生活者御用達の渋谷パルコ界隈にある「アフター・ユー」は、ちょいと大人気分の落ち着いたカフェ&バー。
夏でも秋でもないこの季節にポパイが提案するファッションは黒色。
ビームス・オリジナルのパンツはコットン素材だから残暑もへっちゃら。
ビームスのコットン・ピケのパンツは8,800円。
50年代のアメリカ・アンティークのソルト&ペッパー・シェイカーは、プラスチック製のノベルティ。
これ、欲しいなあと思ったけれど、ペンギン(ミリーとウィリー)には11,000円と、なかなかの値段が付いています。
女の子が、彼のためにと贈るのは、ベル・ルイの逸品のパジャマとトランクス。
青山に店舗があって、オリジナルのパジャマは14,800円。
土曜の深夜のFM番組「バリケード FM トランスミッション」が開催したイベントが「白熱の金網デスマッチ」。
ゲストに古舘伊知郎、ディスコやラジオで人気のDJ4人がプロレス感覚で皿回しを競ったそうですよ。
ちょっと行ってみたい。
もうバリバリにファンキーな連中「爆風スランプ」デビュー
続いて「POPEYE LOOLOUT」のコーナー。
「吉田カバン」注目の新ブランドは「ラダー」。
オーナーの吉田克幸さんとデザイナーの山口幸一さんが写真で登場しています。
サンフランシスコで開催された「全米娼婦会議」は、売春の合法化と娼婦の社会的地位向上を目指して、ポジティブなセックスを提唱。
音楽コーナーで「もうバリバリにファンキーな連中がデヴューしたぞ!」と紹介されているのは「爆風スランプ」。
浜田省吾「DANCE」は「ロックぽくなってきたヴォーカルがダンサブルにきまってるスペシャル・ロング・バージョンの12インチシングル」。
1984年、高校2年生だった僕は、発売当日に購入しました、ハマショーの「DANCE」。
「いい女」の代名詞のようになってきたのが小林麻美。
「雨音はショパンの調べ」ばかりじゃないんだそうですよ。
女子を自分の部屋へ誘うためのノウハウが満載
そして、いよいよ特集「おいでよ、僕の部屋へ」。
「その演技を女の子は待っている」なんていう大きな見出しがあって、女子を自分の部屋へ誘うためのノウハウが満載。
一人暮らしの男子が女子を部屋に呼ぶのって、かなり大きなイベントだったんですよね。
女のコの時間感覚は必修科目で、女子大生のタイムテーブル研究、タイムリーなアポ取り、夕暮れまでのデート術、タイプ別用意周到学。
シティ・ボーイの涙ぐましい努力が目に浮かぶようです。
部屋作りは「コンセプトルームが男らしい」ということで、「エクササイズのできる部屋」「ホビーに熱中できる空間」「お座敷ハイテック」と、かなり濃ゆい提案がいっぱい。
ライオン「トップボーイ」は鈴木英人のイラストで
ページをめくると、突然に鈴木英人の爽やかなイラスト広告。
ライオンのシャンプーとスプレーリンス「トップボーイ」が、山下達郎的なイラストレーションで新発売です。
POPEYEには鈴木英人のイラストが似合いますね。
部屋作りのお悩み相談は「田中康夫と山下久美子のインテリア相談室」で。
「ポパイのルームガイド 6畳一間大脱走!」は、ワンルームの賃貸マンションの生活からの脱却を提案する企画。
大学生の頃に、僕が住んでいた部屋はまさしく六畳一間でした。
当時の大学生はマンションというよりも「ハイツ」とか「コーポ」とかが付いた賃貸に住んでいる人が多かったような気がします。
学校に近かったせいか、割と溜まり場で、10人以上が泊まったことも珍しくありません。
当然、部屋は狭いので、折り重なっての雑魚寝の上に、ユニットバスや玄関にまで人が寝ているような状態でした。
片岡義男「たまには部屋で二人きり」
POPEYEと言えばの片岡義男は見開きで「たまには部屋で二人きり」。
幕は開いている。さあ、最初の台詞は、ぼくからだ。どんな台詞が、洒落ていてしかもふさわしいのだろうか。たまには部屋でふたりきりも、けっして悪くない。(片岡義男「たまには部屋で二人きり」)
片岡先生は本当にカッコいいですね。
80年代からずっとファンです。
仙道敦子「迷彩で都市を解放しろ。」
小特集は「迷彩で都市を解放しろ。」。
モデルはまさかの仙道敦子さんで、当時14歳の彼女は『青いSUNSET』でレコードデビューしたばかり。
迷彩ファッションの仙道敦子もまたよし。
片岡義男のアメリカノロジーは「64のクインテッセンス」
連載コラム「片岡義男のアメリカノロジー」は「64のクインテッセンス」。
このコラムは、片岡さんがアメリカの本を紹介するコーナーで、後に『ブックストアで待ち合わせ』として単行本化されています。
学生が持てるクレジットカードありますか?
「ぐわんと役立つスーパーQ&A」はジャンル不問のお役立ちコーナー。
「夏休み明け、イメチェンで目立ちたいのですが?」の回答は「夏を引っ張るか、いきなり冬するかの二択」。
間違いなく目立ちそうです。
「学生が持てるクレジットカードありますか?」は、「制限や条件はあるけど、十分取得可」。
そういえば、僕が初めてクレジットカードを持ったのも大学1年生で、そのとき買ったのが初めてのCDコンポでした。
大学生協のイベントだったので、「分割払い・金利0円」という言葉に惹かれてしまったんですよね、、、
「外国人へのお土産は何がベストか?」「なんといっても料理見本」。
いま、アメリカですごい人気のメロンリキュールが「MIDORI(ミドリ)」で、サントリーが海外輸出用高級リキュールとして発売したもの。
ムーンライダーズはなぜいまいちメイジャーになれないのか?
「POPEYE FORUM」は、ムーンライダーズのインタビュー。
なぜムーンライダーズがいまいちメイジャーになれないのか、ヒットしない原因はどこにあるのかを自己分析していただくというテーマ(笑)
資生堂のCMソング「G・Y・M」が話題になりましたね。
久住昌之「写真四コマ漫画」
漫画のコーナーで久住昌之さんが紹介されています(『孤独のグルメ』で有名)。
「写真四コマ漫画」という写真を使った、何やら実験的要素たっぷりですが。
ブルース・スプリングスティーンの”嵐のライブ”!
「マイケルばかりがヒーローじゃない。ブルース・スプリングスティーンの”嵐のライブ”をキャッチ!」は、スプリングスティーンのツアーリポート。
「働く青少年たちのヒーロー」スプリングスティーンが、たっぷりと楽しめる内容になっています。
80年代のスプリングスティーンは、今も色褪せない名盤。
今日は、久しぶりに『BORN IN THE U.S.A.』を聴きながら、秋の休日を満喫したいと思います!
佐野元春の「SOMEDAY」も、思い切りスプリングスティーンでしたね、、、
まとめ
ということで、以上、今回は、シティ・ボーイの雑誌『POPEYE』1984年9月10月号をご紹介しました。
1984年の秋の気分を、たっぷりと味わうことができましたね。
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