ラジカセが人気あるんだとか。
カセット派の皆さん、インデックスはどうしているんでしょうか。
この機会にカセットレーベルまで復活すると楽しいかも(笑)
カセットテープで音楽を共有していた時代
1980年代、音楽を共有するための手段はカセットテープしかなかった。
自分の好きな音楽を、自分の大切な人に聴いてほしい。
そんなとき、僕たちは、レコードプレーヤーとカセットプレーヤーが一体化しているミニコンポで、レコードの音楽をカセットテープに録音した。
普通のカセットテープは安価だったから、友人や恋人へプレゼントするにも、負担の少ない方法だったのだ。
お気に入りのカセットテープが増えてくると、その収納に頭を悩ませた。
曲名をきちんと整理しておくためのインデックスも重要だった。
そんなわけでカセットレーベルが人気となった。
市販のものもあったけれど、お金のない学生は、雑誌の付録についてくるカセットレーベルを積極的に活用していた。
付録といっても、雑誌のページの一部になっているものを、自分でカットするだけの簡単なものだった。
市販の厚いものよりも、雑誌の付録のペラペラのやつの方が、使いやすかったからかもしれない。
なにより、雑誌の付録のカセットレーベルは、デザインが良かった。
自分の好きなアーチストの写真や、お気に入りの漫画のキャラクターを使ったカセットレーベルは、特に人気があったような気がする。
毎号は買わない雑誌でも、自分の好きなカセットレーベルが付録に付いているとなれば、みんな、何となく買ったものである。
当時のカセットレーベルには、それだけの魅力があった。
「時のないホテル」と彼女の手書きのインデックス
あるとき、ふと、ユーミンを聴いてみようかと思いつく。
さしたる理由があったわけではないだろう。
あるいは、自分の好きな女の子が、ユーミンを好きだったのかもしれない。
音楽なんて、そんな単純な理由から始まった方が楽しいものだ。
ユーミンのファンだという女の子に、新しいカセットテープを渡す。
彼女の部屋には、松任谷由実のレコードが揃っているらしい。
彼女は「時のないホテル」というアルバムを、カセットテープに録音してくれた。
それは、1980年にリリースされた、ユーミン9枚目のアルバムだった。
カセットテープのケースには、松任谷由実の写真をデザインしたカセットレーベルが入っていた。
ケースを開くと、内側に曲名のインデックスがある。
最初の印象的な曲は「セシルの週末」という作品だった。
僕は、彼女の手書きのインデックスを眺めながら、ユーミンの「時のないホテル」を聴いた。
カセットレーベルの余白に、<中二時代>と印刷された文字があった。
彼女は学研よりも旺文社の方が好みだったらしい。
曲名の後には、几帳面に曲の時間数まで書き込まれていた。
カセットテープの場合、録音できる時間数には上限があったから、みんな、曲の長さというのを、意外と気にしていたのかもしれない。
テープの余白には、アルバム「悲しいほどお天気」から、最初の三曲だけが録音されていた。
カセットテープを無駄にすることがないようにという、彼女の配慮だったのだろう。
僕の渡した<TDK D60>は、60分のカセットテープだったから、普通のLPレコードを録音するには、少し長すぎる。
あの頃、LPレコードを録音するのに普通に使われていたのが、46分テープだった。
時に、46分テープに収まらないレコードがあったりすると、みんなチッと舌打ちをしたものだ。
そうして、僕は、彼女の<松任谷由実>を何度も聴いた。
何よりうれしかったのは、彼女の手書きの文字だった。
カセットレーベルには、そんな思い出もある。