音楽

乃木坂46「バレッタ」自意識過剰な文学少年は僕自身だったのかもしれない

大人になってもアイドルの歌を聴くことがあるんだ。

そう思ったのは、2013年(平成25年)のことである。

アイドルグループ<乃木坂46>の「バレッタ」という曲だった。

今回は、珍しくアイドルグループのお話です。

created by Rinker
ソニーミュージックエンタテインメント
¥849
(2022/06/28 20:31:34時点 Amazon調べ-詳細)

自意識過剰な文学少年は僕自身だった

そのとき、僕は46歳で、18歳の女の子の父親だった。

あるいは、高校3年生の娘が観ている音楽番組を、僕も一緒に観ていたのかもしれない。

新しい音楽を(しかも、アイドルグループの曲を)聴く機会なんて、他に考えられないから。

高校を卒業して以来、アイドル・ミュージックを聴く機会なんてなかった僕が、この「バレッタ」という曲には妙に惹きつけられた。

いや、もっと正確に言うと、僕は中学生のときも高校生のときも、<アイドル歌手>に興味を持ったことなんて、ほとんどなかった。

ただ、アイドル歌手の歌う曲を好きになったことは何度もあったから、乃木坂46の場合も、あるいは、そんな感じだったのかもしれない

「バレッタ」は純粋に楽曲としていいなと思った。

それは、図書室でヘミングウェイを読んでいる男子高校生の気持ちを歌った歌だった。

図書室の片隅で女の子たちが何やら内緒話をしている。

何の話をしているのだろう?

本を読む振りをしながら、<僕>は女の子たちをチラ見しては、唇の動きから会話の中身を知ろうと必死になっている(ヤバいよね)。

もしかして<僕>の噂話をしている?

いや、そんなことはないだろう。

あいつらのことだから、クラスでカッコイイ男子は誰なのかとか、きっと、そんな話で盛り上がっているに決まっている。

だけど、もしかして、、、

乃木坂46「バレッタ」蝶がモチーフになっている乃木坂46「バレッタ」蝶がモチーフになっている

たったそれだけの歌なのに、この曲は僕に、高校時代の自分を懐かしく思い出させた。

図書室、ヘミングウェイ、内気なくせに自意識過剰な男の子。

彼女らは、もしかして自分の噂話をしているのではないか。

当然、その中には<僕>の好きな女の子も混じっていたのだろう。

偶然に目が合ったとき、彼女はいたずらっぽく笑った。

たった、それだけのことさえも、何か秘密の意味を持っているように感じられる。

それは、もちろん<僕>の妄想に過ぎない。

だけど、そんな妄想が、高校生の男子にとっては、妙にリアルだったりする。

そして、実際に僕自身こそが、まさしくそんな男の子だったのだ(ヤバいよね)。

懐かしいじゃないか、と僕は思った。

図書室も、ヘミングウェイも、気になる女子の内緒話も、内気な文学少年も、自意識過剰な妄想も、そんな何もかも。

僕は<乃木坂46>について何も知らない

それにしても。

女の子だけで構成されたグループが、男の子の気持ちを歌う。

それは、妙に清々しくて、やたらに青春っぽかった。

生々しくなくて、爽やかだった。

乃木坂46っていいなと思ったのは、このときだったと思う。

もっとも、僕は<乃木坂46>について、何かを知っていたわけではないし、今も何も知らない。

何人で構成されたグループなのか。

どの女の子がリーダーなのか(そもそもリーダーっているのか?)。

みんな一様にかわいい<乃木坂46>みんな一様にかわいい<乃木坂46>

大体、メンバーの個別認識ができていないし(みんな一様にかわいい)、考えてみると、メンバーの名前だってまったく分からない

僕はテレビを観ないから、芸能人の顔とか名前とか、そういうことに関する知識が、まったくないのだ。

結局、僕は、乃木坂46の音楽が好きだから、彼女たちのCDを買っている、ということになる。

その歌を歌っているのが、たまたまかわいい女の子たちだったというだけのことだ(本当だろうか)。

まあ、確かなことと言えば、彼女たちは僕に<懐かしい何か>を思い出させてくれるということだろう。

ひとりぼっちの図書室で、アメリカ文学なんかに夢中になっていた高校生活。

そして、54歳になった今も僕は、自意識過剰な文学オタクのままだ。

人間って、いくつになっても変わらないってことですね。

created by Rinker
ソニーミュージックエンタテインメント
¥849
(2022/06/28 20:31:34時点 Amazon調べ-詳細)

ABOUT ME
kels
ちょっと懐かしい本や雑誌、CDの感想を書いています。好きな言葉は「広く浅く」。ブックオフが憩いの場所です。