Kiwi FM のプレイリストを手に入れた。
Kiwi FM っていうのは、映画『波の数だけ抱きしめて』に登場する架空のFMラジオ局のこと。
つまり、このCDは、映画『波の数だけ抱きしめて』の世界観を再現したコンピレーションアルバムなのだ。
DJなしのラジオ番組という雰囲気を楽しめる
『波の数だけ抱きしめて』は、1991年(平成3年)に公開された日本映画。
『私をスキーに連れてって』『彼女が水着にきがえたら』に続く、ホリチョイ・ムービー三部作完結編の作品だった。
主演は織田裕二と中山美穂。
1982年(昭和57年)の湘南を舞台に、若者たちがミニFM局の開設に挑戦する青春ストーリーだった。
「夏・音楽・1980年代」と三拍子揃っていて、ホリチョイ三部作の中では一番好きな作品だ。
今年の夏は、ホリチョイ三部作がテレビ放映されたので(三週連続だった)、もちろん『波の数だけ抱きしめて』も観た。
やっぱり、音楽がいいんだよなあ。
『波の数だけ抱きしめて』のオリジナル・サウンドトラックのCDは1991年に発売されていて、もちろん持っているんだけど、版権をクリアできない楽曲があったらしく、10曲フィーチャーという中途半端なサントラだった。
ジョン・オバニオンやカラパナの作品を含めたサントラのコンプリート版が発売されたのは2010年になってから。
2010年は『波の数だけ抱きしめて』が初めてDVD化された年で、完全版サントラの発売も、DVD発売に合わせた企画だった。
そして、もうひとつ、DVD発売に合わせて発売された企画盤CDがある。
それが、本作『Summer of 1982 ~Kiwi FM プレイリスト』だ。
コンセプトは、Kiwi FMが放送を続けていたら、中山美穂演じる<DJ MARIKO>はどんな曲をOAしていたのか?というもの。
映画の舞台設定は1982年なので、収録されているのは1970年代から1982年までの洋楽で、基本は爽やかなAOR。
DISC 1は「DAYLIGHT」でアップテンポな選曲、DISC2は「TWILIGHT」でメロウ・ナンバーやブラコンで構成されている。
特徴的なのは、合間合間に「FM 76.3 MHz Kiwi ジングル」が挿入されていること。
つまり、DJなしのラジオ番組という雰囲気が再現されているということだ。
こういう企画盤では、DJをフィーチャーしたものが時々あるけれど、自分は音楽だけ聴きたい派なので、このコンピはすごく良い構成だと思う。
これまで夏の朝は『波の数だけ抱きしめて』のサントラを聴きながら過ごしていたけれど、これからは、このコンピを中心に聴くことになりそうだ。
映画『波の数だけ抱きしめて』の世界観を再現
『Summer of 1982 ~Kiwi FM プレイリスト』は、CD2枚組で各21曲収録(計42曲、そのうちFM Kiwiのジングルが6曲分にカウントされているので、実質は全36曲)。
でも、映画で使ったジングルが入るっていうのはいいね。
これだけで映画の世界観が再現されているような気になれる。
ブックレットの楽曲紹介は、ラジオのDJ風の文章で構成。
──グッド・モーニン!時計の針は午前7時を廻りました。こちらはKiwi FM。サーフ・ショップ「サンデー・ビーチ」のスタジオから、周波数76.3MHzでお送りしています。
ちょっとウザくて笑っちゃうけど、シンプルに楽しい。
文章も「今朝のお目覚めの一曲は~」とか「ケニーのニュー・アルバム『ハイ・アドヴェンチャー』は、この秋発売予定~」とか、完全に1982年のラジオの世界に成りきっている。
ある意味、誌上ラジオっていう感じだ。
原詞のほか、日本語訳の歌詞も付いているので、ブックレットはかなり充実。
ところで、ジャケット・デザインは、当時のFM雑誌の付録に付いていたカセットテープのインデックス・カードをモチーフにしているそうだけど、どうして鈴木英人を起用しなかったんだろう?(『FM STATION』のコンピCDと被るから?)
選曲はオーソドックスで、良質のAORを中心に構成されている。
映画を観たことがなくても、1970年代から1980年代前半にかけての洋楽が好きっていう人は、かなり楽しめるのではないだろうか。