『CM NOW』VOL.13「’86 夏 CMギャル」。
本作「’86 夏 CMギャル」は、CM情報誌『CM NOW』(’86 SUMMER)の特集である。
『CM NOW』は、年4回発行の季刊誌だった(2023年2月に休刊)。
夏キャン・ギャル&アイドル79人を紹介
『CM NOW』夏の特集は、お約束「夏のCMギャル」。
CMギャルという言葉が、そこはかとなく懐かしい。
「夏キャン・ギャル&アイドル79人を紹介」とある。
1986年(昭和61年)の夏のCMに登場していたギャル(若い女性)を、ほぼ網羅的にまとめた資料としては貴重。
広告界は、もう夏気分。化粧品、航空会社、水着メーカー等のキャンペーンガールも出揃い、アイドルたちが、アイスクリームや冷た~い飲物をススメてくれる。その他にも気になる女の子の新作CMもイッパ~イ出たぞ! セクシー&キュート光線を受信しておくれ。(「CM NOW」’86 SUMMER)
特集のリード文が、いかにも軽薄でギョーカイ(業界)のノリだなー。
ちなみに、1986年は、松田聖子と神田正輝の長女・沙也加が生まれ、アイドル・岡田有希子が自殺した年である。
テレビドラマでは、TBS系『男女7人夏物語』が人気でしたね。
さて、特集の巻頭を飾るのは「カネボウ化粧品」の鈴木保奈美。
当時、成城大学文芸学部マスコミ学科1年の19歳。
撮影はサイパンで。水着のブラをはずしてちょっと恥ずかし気な表情が、なんとも言えず清楚でいい。中村あゆみの歌う「ちょっとや、そっとじゃ、くずれない」も元気イッパイ。(「CM NOW」’86 SUMMER)
手ブラのポスターが健康的にセクシー。
「コーセー化粧品」は、当時19歳の鷲尾いさ子。
キャッチコピーは「太陽に強い。スポーツビューティー」。
バブル直前だった1986年の夏は、さすがにCMからも溢れるエネルギーが感じられる。
広告業界が大人気だった時代。
24時間働かせられても、誰も「ブラック企業だ!」なんて騒がなかった(たぶん)。
ロビン・ギブの「恋するボーイズ」をCMソングに起用していたのは「日本航空」。
キャンギャルは、18歳の設楽りさ子で、「なんでもできるはずなのに、なんにもしないでいる」だった。
B87-W59-H89は、当時としてはかなりのダイナマイト・ボディみたい。
反対に、スリムボディでPRしていたのが、「全日空」の松本孝美。
B81-W61-H88のプロポーションに、ボーイッシュなショートカットが魅力的だった。
CMソングは、アルフィー「風曜日、君をつれて」。
水着メーカーでは、「東洋紡」が豊田真穂(18)で、「旭化成」が木津川アキ(20)、「クラリオン」が塩川美佳(21)。
木津川アキは、「三菱カーエアコン」でも水着姿を披露している。
目立っているのは、「東レ」の山口智子(21)。
この年、山口智子は、青山学院短大を卒業したばかりだった。
バブル前夜のCMで活躍した女の子たち
アイドルでは、小泉今日子(サントリー/フルーツアップ、TBS/心にいいから6チャンネル、武田薬品工業/ベンザエース)が筆頭。
続いて、中森明菜(パイオニア/プライベートCD)、本田美奈子(グリコ/キャデリーヌ)、少女隊(グリコ/ピーターポップ)、早見優(参天製薬/新サンテドゥ、資生堂/ウィズE)などの写真が並ぶ。
記事は小さいけれど、「日本生命/BIG YOU」の原田知世(18)がいい。
お父さんの部屋に入り、そうじをしている知世ちゃん。学生時代のアルバムを開いたり、古いブレザーに袖を通したりと、お父さんの青春時代に思いをめぐらしている。BIG YOUが青春の保険であり、その掛金を支払うお父さんを狙った作りだ。バックに流れる “どうしてますか” はCMオリジナル曲。(「CM NOW」’86 SUMMER)
南野陽子(18)は「富士フィルム/フジカラースーパーHR」。
「シャープ/日本語ワードプロセッサー」の荻野目洋子(17)は、国語学者の金田一春彦と共演。
「誰でも使えるパーソナルワープロ」というのが、パソコン普及以前の時代を感じさせる。
ちなみに、自分は、この年の冬休みにアルバイトをしたお金で、シャープのワードプロセッサー「書院」を買った。
デスクトップ型のデカいやつ(笑)
CM女王とも言える活躍ぶりを見せていたのが斉藤由貴(19)。
「明星食品/青春という名のラーメン」「富士フィルム/アクシアPSⅡ」「カルピス」「資生堂/モーニングフレッシュ」と、どれもブランドのイメージガールとして定着していた。
当時の斉藤由貴は、奇跡的に可愛かった気がする。
尾崎豊と不倫したり、パンツ被った医者と不倫したりする、ずっと前の、清純派だった(と言われていた)頃の話。
当時16歳だった中山美穂は、「日立/カプセル55」のCMに登場。
ちなみに、「カプセル55」は、ソニーの「ウォークマン」みたいなポータブルオーディオプレイヤーの商品名。
当時の音楽好きに、カセットテープは、ポータブル・デバイスのマストアイテムだった。
河合その子(森永製菓/森永ハイソフト)、新田恵利(キリンビール/キリンレモン2101)、国生さゆり(エスキモー/アイスチェリオ)と、おニャン子クラブ組も活躍中。
薬師丸ひろ子(22)も、3本のCMに出演する活躍ぶり(NTT/生きTEL、資生堂/ポーセリア、東芝/ビデオ)。
どうでもいいけど、NTTの「生きTEL」(生きてる?)ってすごい商品名だ。
高校2年生の大塚裕子(17)は「ゼットスポーツ/ベースボールユニホーム」と「キッコーマン/カップぞうすい」の2本のCMに出演。
どちらもセーラー服姿で、清楚な女子高生をPRする映像となっている。
イケメンぶりが際立つのが、「カゴメ/IMO」の網浜直子(17)。
「私は、イモです」という衝撃コピーと、網浜直子の凛々しい表情のギャップがすごい。
CMソングは、本人の「シリアス」。
いやー、79人も出ていると、さすがに分からない女の子たちも多いね。
ブレイクすることなく消えた女性も、きっと少なくないんだろうなあ、とか考えると、しみじみしてしまう。
それにしても、さすがにバブル前夜の日本。
広告業界が、とにかく元気だった様子が伝わってくる。
ほとんど内容のない雑誌だけど、懐かしい時代を振り返るという意味では、それなりに楽しい。
どんな女優やアイドルにも、フレッシュだった時代があるってことか。
そのときは、そんなこと考えていないんだけどね。