旅行記、紀行随筆、旅日記。
旅に関する本が好きです。
旅の文学を読んでいると、本の中で世界中を旅することができます。
今回は蔵書の中から、旅に関する本をまとめてみました。
いろいろな時代の、いろいろな街を、旅してみませんか。
スティーヴンソン「旅は驢馬をつれて」(1879)
『宝島』の作者スティーヴンソンによる、フランス徒歩旅行記。
小沼丹が好きな人におすすめ。
https://syosaism.com/travels-with-a-donkey-in-the-cevennes/
チェーホフ「シベリヤの旅」(1890年)
ロシアの文豪・チェーホフによるシベリヤ訪問記。
村上春樹が好きな人にもおすすめ。
https://syosaism.com/shiberiyanotabi/
国木田独歩「空知川の岸辺」(1902年)
愛する女性との開拓生活を夢見た国木田独歩の北海道旅行記。
明治・開拓時代の北海道を旅したい人におすすめ。
https://syosaism.com/sorachigawa-no-kishibe/
芥川龍之介「志那遊記」(1925)
大正時代に綴られた芥川龍之介の中国訪問記。
戦前の中国を旅してみたい人におすすめ。
若山牧水「北海道行脚日記」(1926年)
酒と旅を愛した歌人、若山牧水にはたくさんの旅行日記があります。
大正から昭和初期にかけての日本を旅したい人におすすめ。
https://syosaism.com/hokkaido-angya-nikki/
エドウィン・ミュア「スコットランド紀行」(1935)
オークニー諸島で生まれた詩人ミュアによるおんぼろ自動車旅行の記録。
1930年代の経済恐慌時代に興味がある人におすすめ。
https://syosaism.com/muir/
ジョージ・オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」(1954)
1920年代のパリやロンドンの貧民街で暮らしたときのルポルタージュ。
自ら浮浪者となって窮乏生活に飛び込むメンタルがすごい。
https://syosaism.com/george-orwell/
井伏鱒二「広島風土記」(1955)
井伏鱒二による戦後広島訪問記。
『黒い雨』を読んで感動した人におすすめ。
https://syosaism.com/hiroshima-fudoki/
大岡昇平「ザルツブルクの小枝」(1956)
アメリカやヨーロッパを訪れた留学旅行記。
中公文庫版(1978)の方が充実しています。
井伏鱒二「七つの街道」(1957)
旅行記のような小説なのか、小説のような旅行記なのか。
戦後の日本を訪ね歩いてみたい人におすすめ。
https://syosaism.com/nanatsuno-kaido/
櫻庭信之「ロンドン散歩」(1957)
『絵画と文学・ホガース論考』の著者によるロンドン訪問記。
庄野潤三が好きな人にもおすすめしたい。
上林暁「文と本と旅と」(1959)
私小説作家・上林暁の随筆集。
紀行以外の随筆もおすすめ。
https://syosaism.com/bunto-honto-tabito/
更科源蔵「北海道の旅」(1959)
北の詩人・更科源蔵による北海道旅行案内記。
マニアックな北海道旅行に挑戦してみたい人におすすめ。
森恭三「滞欧六年」(1959)
海外旅行がまだ難しかった時代のヨーロッパ見聞録。
大戦直後の様子が伝わってきます。
https://syosaism.com/taio-rokunen/
庄野潤三「ガンビア滞在記」(1959)
アメリカオハイオ州ガンビアのケニオン・カレッジに留学したときの記録。
旅人というよりは地元住民の目で描かれています。
https://syosaism.com/shono-jyunzo-010/
阿川弘之「空旅・船旅・汽車の旅」(1960)
1950年代日本の交通事情を知る貴重な旅行文学。
中公文庫版(2014)が充実しています。
井伏鱒二「取材旅行」(1961)
取材旅行をテーマにした紀行文集。
取材そのものが作品になってしまうあたりが、さすがの井伏鱒二。
https://syosaism.com/syuzairyokou/
山下清「ヨーロッパぶらりぶらり」(1961)
<裸の大将>によるヨーロッパ訪問記。
「オッパイ」とか「パンツ」とか「パリの巡査に叱られた」とか、さすがの旅エッセイです。
福原麟太郎「諸国の旅」(1962)
英文学者・福原麟太郎の旅行文集。
イギリスを中心に、海外が多く登場しています。
https://syosaism.com/shokokunotabi/
東山魁夷「白夜の旅」(1963)
画家の目から観た北欧旅行の記録。
北欧の雰囲気にたっぷり浸りたい人におすすめ。
https://syosaism.com/higashiyama-kaii/
河盛好藏「荷風パリ地図」(1964)
永井荷風の足跡を追ったパリ見聞記。
フランス文学が好きな人にもおすすめ。
アーネスト・ヘミングウェイ「移動祝祭日」(1964)
パリで過ごした青春の日の回想録。
1920年代のパリを旅してみたい人におすすめ。
https://syosaism.com/a-moveable-feast/
庄野潤三「佐渡」(1964)
佐渡を訪れた小説家の物語。
旅行記みたいな小説を読みたい人におすすめ。
https://syosaism.com/shono-jyunzo-020/
山口誓子「句碑をたずねて」(1965)
俳人・山口誓子の文学旅行記。
全国各地に点在する句碑を訪ねて回りたい人におすすめ。
https://syosaism.com/kuhiwo-tazunete/
野田宇太郎「文学の故郷」(1965)
文学の舞台を求めて日本全国を訪ね歩く文学紀行。
文学散歩の参考書として、いかがでしょうか。
https://syosaism.com/bungaku-no-furusato/
戸板康二「女優のいる食卓」(1966)
戸板康二の随筆集で、ソ連・東欧・西欧紀行が収録されている。
昭和中期のヨーロッパに関心のある人におすすめ。
https://syosaism.com/jyoyuu-syokutaku/
森村桂「天国にいちばん近い島」(1966)
原田知世主演映画で有名な南太平洋旅行記。
ニューカレドニアへ行きたい人におすすめ。
堀田善衛「キューバ紀行」(1966)
わざわざ革命後のキューバまで行った文学者は少ないのではないでしょうか。
等身大のキューバの暮らしを作家の目から綴っています。
木山捷平「新編 日本の旅あちこち」(1967)
私小説作家・木山捷平の紀行文集。
高度経済成長期の日本を訪ね歩きたい人に。
https://syosaism.com/nihonnotabiachikochi/
村上菊一郎「マロニエの葉」(1967)
早稲田大学で小沼丹と同僚だったフランス文学者によるフランス滞在記。
文学仲間たちとの交際を綴った随筆もいい。
https://syosaism.com/maronie-ha/
野田宇太郎「日本の旅路」(1968)
「文学散歩」を生み出した野田宇太郎による、全国文学旅行記。
高度経済成長期の各地の雰囲気がいい。
https://syosaism.com/nihonnotabiji/
宇能鴻一郎「味な旅 舌の旅」(1968)
エロ文学の巨匠による日本全国食べ歩きの記録。
ご当地グルメが好きな人におすすめ。
https://syosaism.com/ajinatabi-shitanotabi/
白洲正子「かくれ里」(1971)
世を避けて隠れ忍ぶ村里を訪ね歩く紀行エッセイ集。
日本美術に関心のある人にもおすすめです。
庄野英二「レニングラードの雀」(1971)
児童文学者・庄野英二のソビエト訪問記。
ソビエト時代のロシアに興味ある人におすすめ。
https://syosaism.com/leningrad-suzume/
本田勝一「北海道探検記」(1971)
観光案内ではない北海道ガイド。
「秘境ブーム」の時代が偲ばれます。
後藤明生「ロシアの旅」(1973)
ゴーゴリを崇拝する著者が訪れたのは冬のロシア。
寒さに怯える不器用な旅行に共感を覚えます。
https://syosaism.com/goto-meisei-roshia-no-tabi/
古山高麗雄「風景のない旅」(1973)
後藤明生らとロシアを訪れたときの旅行エッセイ集。
『ロシアの旅』と併せて読みたい。
小沼丹「椋鳥日記」(1974)
娘と二人でロンドンに滞在した小沼丹のイギリス訪問記。
ノスタルジックな旅行記が好きな人におすすめ。
https://syosaism.com/onuma-tan-002/
立原正秋「風景と慰藉」(1974)
スペイン、イタリア、ギリシア、朝鮮などを訪ねた紀行エッセイ集。
国内旅行の記録もあります。
山内義雄「遠くにありて」(1975)
1971年のフランス旅行日記が収録された随筆集。
『チボー家の人々』が好きな人におすすめ。
https://syosaism.com/tookuni-arite/
大岡昇平「スコットランドの鷗」(1975)
大岡昇平の処女随筆集で、1954年のスコットランド旅行の記録が収録されている。
三好達治ファンにもおすすめ。
https://syosaism.com/scotland-kamome/
田村隆一「インド酔夢行」(1976)
酒の詩人・田村隆一によるインド訪問記。
楽しい旅行エッセイを読みたい人におすすめ。
津村節子「みだれ籠(旅の手帖)」(1977)
女性作家・津村節子による日本全国訪問記。
高度経済成長期の日本を旅してみたい人におすすめ。
https://syosaism.com/tsumura-setsuko/
庄野潤三「シェリー酒と楓の葉」(1978)
アメリカの田舎町に滞在した日々の日常を描く。
『ガンビア滞在記』の続編として読みたい。
https://syosaism.com/sherryto-kaedenoha/
池波正太郎「フランス映画旅行」(1978)
映画通・池波正太郎によるフランス旅行の記録。
写真や挿画も充実しています。
永井路子「わが町わが旅」(1978)
歴史小説家による国内旅行の記録。
ちなみに「わが町」は古都鎌倉のことです。
野田知佑「日本の川を旅する」(1982)
日本ノンフィクション賞新人賞を受賞した名作。
全国14の川をカヌーで単独行しています。
庄野潤三「陽気なクラウン・オフィス・ロウ」(1984)
チャールズ・ラムゆかりの地を訪れた、庄野潤三のイギリス旅行記。
福原麟太郎『チャールズ・ラム伝』を読んだ人におすすめ。
https://syosaism.com/crown-office-law/
櫻庭信之「ロンドン 紀行と探訪」(1985)
英文学者によるロンドン旅行記。
チャールズ・ラムの『エリア随筆』好きな人におすすめ。
野田知佑「のんびり行こうぜ」(1986)
カヌーイスト・野田さんのカヌー紀行エッセイ。
独特の辛口文章が癖になります。
https://syosaism.com/nonbiri-ikouze/
池波正太郎「よい匂いのする一夜」(1986)
<宿>を軸に据えた、池波正太郎の旅エッセイ集。
旅好きな時代小説家の「旅の流儀」を学びたい人におすすめ。
https://syosaism.com/ikenami-syotaro/
野田知佑「川を下って都会の中へ」(1988)
カヌーイスト・野田さんのカヌー旅行記。
1980年代後半の野田さんが一番好きでした。
https://syosaism.com/noda-tomosuke/
辻真先「旅は道づれ湯はなさけ」(1989)
ミステリー作家・辻真先の温泉旅行記。
温泉巡りをしてみたい人におすすめ。
https://syosaism.com/tabiwamichidureyuwanasake/
野田知佑「ゆらゆらとユーコン」(1989)
野田さんといえばカナダのユーコン川。
壮大なスケールのカヌー紀行エッセイ集です。
https://syosaism.com/yurayurato-yukon/
長谷川敬「旅情の文学碑」(1991)
全国の文学碑を訪ね歩いた文学旅行記。
文学散歩が好きな人におすすめ。
https://syosaism.com/ryojono-bungakuhi/
つげ義春「新版貧困旅行記」(1991)
漫画家・つげ義春による貧乏旅行の記録。
たまにはこういう旅行もいいかも。
https://syosaism.com/tsuge-yoshiharu/
庄野潤三『懐しきオハイオ』(1991)
『シェリー酒と楓の葉』の続編となるアメリカ滞在日記。
『ガンビア滞在記』を読んだ人におすすめ。
https://syosaism.com/shono-jyunzo-051/
伊藤ユキ子「紀行・アラン島のセーター」(1993)
アランセーターの伝説を追いかけたファッション紀行。
アラン島に興味ある人は、ぜひ読んでみてください。
https://syosaism.com/aran-sweater/
浜なつ子「イギリス文学散歩」(1996)
イギリスの文学散歩の記録。
イギリス文学が好きな人は、読んで損はありません。
https://syosaism.com/england-bungaku-sampo/
安西水丸「たびたびの旅」(1998)
イラストレーター・安西水丸さんの旅エッセイ集。
村上春樹が好きな人にもおすすめ。
https://syosaism.com/anzai-mizumaru/
山内史子「英国ファンタジー紀行」(2003)
ファンタジー文学の宝庫、イギリスの文学旅行記。
イギリス文学好きな人みんなにおすすめ。
https://syosaism.com/british-fantasy-tours/
林芙美子「下駄で歩いた巴里」(2003)
林芙美子の紀行随筆を集めた岩波文庫オリジナル。
海外旅行だけではなく、国内旅行の印象記も収録されています。
常盤新平「ニューヨークの古本屋」(2004)
常盤新平のニューヨーク滞在記は、古本屋巡りを軸にしています。
アメリカ文学が好きな人におすすめ。
https://syosaism.com/newyorkno-furuhonya/
伊熊よし子「グリーグを愛す」(2007)
グリーグの故郷、ノルウェーを訪ねた音楽紀行。
北欧好きな人にもおすすめ。
https://syosaism.com/edvard-grieg/
松本侑子「私の青春文学紀行」(2008)
外国の児童文学ゆかりの地を巡る文学旅行記。
児童文学好きな人なら共感間違いなし。
https://syosaism.com/mastumoto-yuko/
吉村昭「味を訪ねて」(2010)
日本全国グルメ旅。
1960年代以降の旅エッセイが収録されています。
佐多稲子「私の長崎地図」(2012)
長崎出身者による長崎訪問の記録。
長崎を舞台にした小説も収録されています。
庄野至「私の思い出ホテル」(2013)
庄野潤三の弟による旅行エッセイ集。
戦争中、兄・庄野潤三の出征の宿を訪ねる話はおすすめです。
夏目漱石「漱石紀行文集」(2016)
夏目漱石の旅行記を集めた岩波文庫オリジナル。
満州、ロンドン、京都などを、漱石と一緒に歩いてみたい人におすすめ。
まとめ
よほど旅本が好きみたいで、ちょっと本棚を探しただけで、いろいろな本が出てきました。
漏れているものも多いと思うので、随時追加していく予定です。
基本的に、読書感想日記へのリンクを貼っていますが、ブログを始める前に読んだものについては、読書感想がありません。
いずれ再読の際に、感想文も書いてみたいと思います。
あと、旅行エッセイは、この他にもいろいろあるのですが、できるだけ文学性の高いものに絞って、今回は紹介しています。
一応『文芸スノッブ』という読書ブログなので。