生活体験

森拓郎「稼げる男は食事が9割」中高年のダイエットは「主食を減らして肉を食べる」

森拓郎「稼げる男は食事が9割」中高年のダイエットは「主食を減らして肉を食べる」

森拓郎『稼げる男は食事が9割』読了。

本作『稼げる男は食事が9割』は、2016年6月にKADOKAWAから刊行されたダイエット教本である。

この年、著者は34歳だった。

ダイエットはセルフ・マネジメント

本作『稼げる男は食事が9割』は、ビジネスマンをターゲットとしたダイエット・ガイドである。

ビジネスマン向けだから、ビジネスマンの心へ響くように、ビジネス思考のダイエットが提案されている。

ある意味で、これは、管理職(候補者)向けのビジネスガイドと言っていい(そこがおもしろい)。

私は常に「目的に対して何をするべきか」を重視しています。これが明確に見えない人は、逆に何をしても上手くいきませんし、上手くいったとしてもそれはマグレにすぎません。狙って目的達成することこそが、常に結果を出し続ける秘訣なのです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

ダイエットとは、「減量」という目的を達成するためのアクション・プランである。

目的を達成するためには、どのようなスケジュール感で、どのような方法によって成果を得ていくかという「戦略」が重要となってくる。

個人個人によって体質が違い、そこに合う、合わないのがあるのも当然で、体質を理解していても、それがその人の生きている仕事や家庭の環境、経済状況によっても、それが実現できることかどうかも重要なことなのです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

戦略を立てるため、まずは「現状と把握」を客観的に分析しなければならない。

ダイエットとは、自分自身を「アセスメント」することから始まるのだ。

よく「そんなに食べていないんだけど、太っちゃうんだよな」という人がいます。そんな人も稼げる男にはなれないでしょう。なぜかといえば、なぜ自分が太るのか、その原因を把握できていないからです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

ダイエットの方法論そのものは、『運動指導者が断言! ダイエットは運動1割・食事9割』など、著者のその他の著作とほとんど(というか、まったく)変わらない。

「運動はダイエットに向いていない」という基本的な理念がある。

腹筋やジョギングで痩せることは、およそ現実的ではないというのが、森先生の持論なのだ。

「食べた分は動いて稼げ」というのは、まるで馬車馬のように低賃金で働かされるワーキングプア層のような考えです。この考えは賢明とはいえません。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

なぜなら、運動によって消費できるカロリーは、一般人が想像する以上に少ないものだからだ。

例えば、体重50kgの人が、時速8kmでランニングを30分したときの消費エネルギー量は、約200kcalです。この200kcalのエネルギー量は、食べものに換算するとピザ1切れ分です。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

ピザ1切れ食べるために30分もランニングをしなければならないというのは、かなり効率が悪い(タイム・パフォーマンスに劣る)。

最初から、食事のどこかで200kcalを削減する方がよほど現実的だし、ランニングする分の時間(30分)を、別の作業に使う方が、人生として豊かなものになる。

必要なことは、食事から200kcal削減するという「自己管理(セルフ・マネジメント)」なのだ。

ダイエットとは、つまり、セルフ・マネジメントだと考えればいい。

「食事は自分への投資だ」と書きました。それと、同時に、「食事をコントロールできる者こそが稼げる男になれる」のです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

「減量」という目的を達成するためのアクション・プランの実現に必要不可欠なものは、100パーセント「自己管理(セルフ・マネジメント)」である。

自己管理なくして、ダイエット・メニューの成果が得られることはない。

私は終始、食が毎日の自身への投資であり、それがビジネスに通じると言っていますが、この投資の仕方を雑に行っている時点で、その人のアイデンティティーが計り知れると言っても過言ではないでしょう。つまり、食べ方だけでその人の「人となり」も分かるということです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

欧米において「肥満」と「喫煙」は、出世を妨げる大きな要因だと言われる(「太った男は仕事ができない」と判断される)。

「タバコを吸っているなら、今すぐやめろ。それと、少し太り気味だから適正体重に落とせ。それができなければ、この会社で君の将来はないと思っていい」(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

要は、自己管理できないようなビジネスマンは、仕事もうまく管理できないだろうということである。

太るということは、食生活や健康の管理ができていない、ということです。生きていくうえで最も基本となる食生活や健康を管理できないということは、仕事においても自己マネジメントできないとみなされてしまいます。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

身だしなみがビジネスマンの基本だとしたら、「体型」もまた、ビジネスマンの基本である。

清潔なワイシャツを着ているかどうかと同じように、体型をきちんと管理できているかどうかということも、ビジネスマンにとっては重要な要素となってくるのだ(悲しいけれど)。

森式ダイエットの基本は「糖質コントロール」にある。

血糖を上手くコントロールするということは、糖質をただ制限するというだけでなく、自分の活動量と体質に合った糖質量を上手くコントロールするということでもあると言えるでしょう。糖質のコントロールの仕方は、その人のお金に対するマネジメント力、つまりあなたのお金の使い方に似ているのかもしれません。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

糖質を抑えて、タンパク質を摂取する。

ごく簡単に言えば、それが、森式ダイエットである。

つまり、「主食(ご飯や麺類など)を減らして肉を食べろ」というのが、森先生の教えなのだ。

ビジネスのパフォーマンスを上げるための基本は、「低糖質で、高タンパクで良質な脂質が豊富な食事をすることで、健康な体と脳をつくること」、そのためには食にこだわり、食に投資することが、稼げる男になる第一歩だということです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

肥満は「糖質」と「脂質」との組み合わせによって生まれる。

サラリーマン男性の昼食といったら(略)ラーメンとチャーハン、うどんといなり寿司、ハンバーガーとフライドポテトなどの「糖質+糖質」の組み合わせのメタボメニューを日替わりで食べている人も多いはずです。また、カツ丼やカレーライスなどもエネルギーが高いうえに、糖質中心でさらに脂質も上乗せさせた失格メニューと言えます。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

いかにして、糖質を減らし、良質な脂質を摂るか。

ダイエットは、そのための具体的な実行計画(アクション・プラン)なのだ。

主食を減らして肉を食べればやせる

森式ダイエットの基本は、主食(ごはん)を減らして肉を食べる、ということである。

一食につき、米(ごはん)の量は「80g」が望ましい(ごはん茶碗の半分程度)。

私が妥当だとするごはんの量はなぜ1食80gなのかというと、80g中に含まれる糖質は約20g程度で、多くの人の場合はこの程度の糖質量と、おかずに含まれているその他の糖質量を足したとしても、そこまで血糖量が急激に上昇することがないからです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

糖質を摂取して(つまり食事をして)血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌されて、細胞中へブドウ糖が送りこまれる(エネルギー摂取)。

インスリンが過度に分泌された場合(つまり食べすぎた場合)、余分なブドウ糖は中性脂肪として脂肪細胞に取りこまれてしまう。

インスリンが「肥満ホルモン」と呼ばれるのは、過度の分泌が肥満の原因となるからである。

だから、体重管理はインスリン管理である、と考えていい。

インスリンを管理するとは、つまり、糖質を管理するということだ(これが「糖質コントロール」)。

ごはん80g程度なら、脂質(肉)を食べたときにも、余分なインスリンは分泌されない。

つまり、森式ダイエットは「ごはん80g」から始まるのだ(米好きには辛いところだが)。

同時に、良質の「タンパク質」(つまり「肉」)を摂ることも重要である。

森式ダイエットは「タンパク質」を重視するダイエットである。

私達が食事という行為を行う時、まず選択すべきは「どのタンパク質を食べるか」なのです。ラーメンを食べるか、ハンバーガーを食べるかなどではありません。むしろ、これらを食べるとしても、どれだけチャーシューを足すか、ハンバーガーのパテをダブルにするかどうかの食材の内訳を戦略的に考えるべきなのです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

肉(タンパク質)を増やして、主食(糖質)を減らす。

大切なことは「タンパク質を十分に摂取する」という思考回路だ。

タンパク質は、肉以外にも卵から摂取することができる。

肉を中心に食べることをおすすめしてはいますが、さすがに毎食のコストの面を考えれば、なかなかそれをすんなり実行できる人は多くないかもしれません。それを上手く解決してくれるのが卵の役割です。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

卵1個は約80kcalで、糖質はゼロ。

森先生個人は、1日5個以上の卵を消費しているという。

脂肪を増やすブースターである糖質を抑えながら、卵と肉を積極的に食べていると、むしろ体脂肪がみるみる落ちていくことも実感するでしょう。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

植物性のタンパク質は、補助食材として活用できる(主役はあくまでも動物性タンパク質である「肉」)。

代表的な大豆食品は、納豆、豆腐、味噌、豆乳ではないでしょうか。(略)トッピングに納豆があれば積極的に選ぶし、朝や夜にバリエーションがほしいときに納豆を追加するのは簡単ですし、豆腐を冷奴として食べるのも簡単です。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

「高タンパク質、高脂質、低糖質」、これが森式ダイエットの三原則である。

まず食事の内容として、常にタンパク質が豊富なメイン食材をもってくるということです。見た目でいうと、食べる全体の約半分がそのような主菜といわれるメイン食材にするという方法です。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

食事の半分が肉(主菜)で、残りの半分が主食(ごはん)と副菜。

とにかく「肉を食べる」ことが、ダイエットの秘訣だったのだ(ただし、ご飯は80gで)。

「積極的に食べる!」というアグレッシブな戦略的思考が必要なのです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

食事とは、素材の組み合わせを考える戦略である。

つまり、「糖質・タンパク質・脂質」の方程式を、常に意識するということだ。

「糖質+糖質」および「糖質+脂質」といった食事の摂り方は、エネルギーが余りやすくなり、体脂肪の合成がしやすくなるのです。ですから、糖質をしっかり食べる食事がベースであれば、脂質を避けるのは当然ということになります。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

脂質は、良質の動物性食品と一緒に摂取することができる。

というか、動物性食品と一緒に、良質の脂質を摂るべきなのだ。

ですから、糖質を減らした分、動物性食品を増やす場合、ササミやムネ肉などの低脂肪なものを選ばずに、脂質がリッチなサーロインステーキやカルビ、鶏皮やホルモンもしっかり食べるようにすることが重要です。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

脂質摂取には、動物性食品以外に、ナッツやチーズも活用できる。

糖質を減らす分、良質な脂質を摂取するために重宝するのがナッツとチーズです。(略)ナッツは特にアーモンドです。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

これで、食事メニューの基本が、ほぼ完成する。

少ない主食と、脂質を含んだ動物性食品の組み合わせ。

まずは恐れずに、肉の脂身やホルモン、卵をしっかり食べ、チーズを食べることです。体内の代謝機能を糖質代謝から脂質代謝へ切り替えるためには、糖質を抑えるだけではなく、良質な脂質を十分に摂取することが必要です。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

とにかく、ダイエットの一丁目一番地は「主食コントロール」である(つまり、糖質コントロール)。

1食あたりの主食の量は「コブシひとつ程度」(ごはんで言うと80g)。

普段から主食を食べすぎている人の場合、主食を減らすだけで確実にダイエットの効果は現れる。

そして、普段何気なく摂っていたような糖質を全てカットすることです。頭の回転を逆に悪くするような飴玉やチョコなどはもちろん、甘い缶コーヒーやエナジードリンク、清涼飲料水やフルーツジュースなど、砂糖や液糖が多い食品を常食・常飲することを一切やめてしまいましょう。(森拓郎「稼げる男は食事が9割」)

糖質は中毒症状になりやすいことで知られている(米も中毒になる)。

糖質コントロールなくして、セルフ・マネジメントは始まらないということを、本書『稼げる男は食事が9割』はロジカルに教えてくれるだろう。

自分自身、最大限に太ったときに救われたのが、森拓郎『運動指導者が断言! ダイエットは運動1割・食事9割』だった。

とにかく食べすぎだった主食(自分の場合は米)を減らすことで、体重はみるみる落ちていった(考えてみれば当たり前なのだが)。

ダイエットを決意した理由は、そろそろ管理職になるタイミングが近づいていたからである。

部下から「仕事のできない上司」と見られることを恐れたのだ(なにしろ「人は見た目が9割」である)。

若い頃は「外見より中身重視」だと思っていたが、責任ある立場になると、中身と同じくらい外見も重要になる。

「太ってるやつは仕事ができない」に象徴される自己管理能力が、ビジュアルによって判断されるからだ(同じ意味でビジネスマンはファッションも重要)。

30代の頃は残業も多く(夜が明けてから帰宅することも珍しくなかった)、夜食を含めて1日4食という生活が長年続いた。

当然ながら、ぶくぶくと太っていったが、仕事に追われて、当時は「体調管理」などという言葉さえ、思い浮かばなかったくらいだ(とにかく生き延びるだけで精一杯だった)。

「そろそろ管理職だ」という段階になって初めて、自分の見た目を意識するようになった(「このままではヤバい」)。

そのとき、入手したダイエット本が『運動指導者が断言! ダイエットは運動1割・食事9割』である。

20歳から40歳までに20kg増えた体重は、森式ダイエットの実践によって、20kgのマイナスに成功した。

結果として、50歳のときの体重は、20歳のときの体重とほぼ同じである。

体型を維持できるということは、ビジネスマンにとってコスト・パフォーマンスにもつながる。

体型変化によってスーツやワイシャツを買い替える必要がないからだ。

最近は「洋服を買い替えたくない」という理由で、体型管理に注意するようになってしまった。

これもまた、ダイエットに取り組む上でモチベーションの一つと言えるかもしれない。

大切なことは、森式ダイエットは、一時的なダイエット・メニューではなく、ライフ・スタイルの転換だということである。

「太ってはいけない」というマインド・チェンジは、中高年男性の生活そのものを変える。

むしろ、ダイエットは、ライフ・スタイルの一環として取り組むべきものなのだ。

効果が現れ始めるまでの期間は約2週間だが、理想の体型を維持するためには、自己管理を継続していかなければならない。

中高年で太っていない人というのは、つまり、セルフ・マネジメントに注意している人だということなんだろうな。

書名:稼げる男は食事が9割
著者:森拓郎
発行:2016/06/11
出版社:KADOKAWA

ABOUT ME
懐究堂主人
バブル世代の文化系ビジネスマン。札幌を拠点に、チープ&レトロなカルチャーライフを満喫しています。