福原麟太郎は、昭和時代に活躍した英文学者・エッセイストである。

この記事では、福原麟太郎のおすすめ著作について紹介したい。

3行でわかる「福原麟太郎の世界」

福原英文学
福原麟太郎は広島県出身の英文学者で、東京教育大学(現在の筑波大学)や共立女子大学で教鞭を執る中、英文学を「大人の文学」として解釈する「福原英文学」を確立した。

エッセイスト
一方、チャールズ・ラムなどイギリス文学を背景とする随筆家としても有名で、戦前から戦後を通して多くの随筆集を出版している。

日本芸術院賞
1963年(昭和38年)、「英文学を基盤とせる随筆一般」により日本芸術院賞を受賞後、1964年(昭和39年)に芸術院会員となり、1968年(昭和43年)には文化功労者として顕彰されている。

福原麟太郎とは?│英文学者・エッセイスト

福原麟太郎は、昭和時代に活躍した英文学者・エッセイストである。

1894年(明治27年)、広島県沼隈郡神村赤壁(現在の福山市)に生まれ、広島県立福山中学校(現在の福山誠之館高校)卒業後、東京高等師範学校に学んだ。

英語科主任教授は岡倉由三郎(美術家・岡倉天心の弟)。

1920(大正9年)から東京師範学校で教鞭を執りはじめ、英文学に関する研究書を出版するようになる。

昭和初期頃からエッセイの発表も多くなり、エッセイストとしての地位も確立。

戦後は日本英文学会会長も勤め、1961年(昭和36年)『トマス・グレイ研究抄』と1964年(昭和39年)『チャールズ・ラム伝』で、2度の読売文学賞を受賞している。

1981年(昭和56年)、心筋梗塞により86歳で亡くなった。

東京の雑司ヶ谷霊園に墓がある。

▶東京の雑司ヶ谷霊園で英文学者・福原麟太郎の墓参り

福原麟太郎を初めて読むなら、この3冊

これから福原麟太郎を読んでみたいという方に、最初の一冊として『チャールズ・ラム伝』がおすすめ。

「叡智の文学」として知られる福原英文学は、イギリスの随筆家チャールズ・ラムの影響によるところが大きく、英文学者でありエッセイストでもある福原麟太郎のバックボーンを、この一冊で学ぶことができる。

福原麟太郎のエッセイを読みたいという方には、精選随筆集『野方閑居の記』がおすすめ。

もうひとつ、精選随筆集として、没後に刊行された『福原麟太郎随筆選』があるので、この二冊で福原麟太郎の代表的なエッセイをかなりカバーすることができる。

【解説】福原麟太郎のおすすめ書籍10選

1.『チャールズ・ラム伝』

イギリス文学を代表する随筆家チャールズ・ラムの評伝。イギリス風のエッセイに対する福原麟太郎の姿勢を、この一冊で理解することができる。読売文学賞を受賞した名作。

▶福原麟太郎『チャールズ・ラム伝』イギリスエッセイとはかない人生への慈しみ

なお、庄野潤三『陽気なクラウン・オフィス・ロウ』は、福原麟太郎の『チャールズ・ラム伝』を参考とした、イギリス旅行記である。

▶庄野潤三『陽気なクラウン・オフィス・ロウ』あらすじ・解説・詳細な考察を読む

また、小沼丹も、チャールズ・ラムを愛読する英文学者の一人で、『椋鳥日記』はイギリス滞在の記録を綴った旅行記となっている。

▶小沼丹『椋鳥日記』あらすじ・解説・詳細な考察を読む

2.『野方閑居の記(自選随想集)』

福原麟太郎の自選による精選随筆集。1987年(昭和62年)に復刻されたときには、庄野潤三が栞に文章を寄せている。

▶福原麟太郎『野方閑居の記』英文学者の随筆に学ぶ<愚直に生きる>ということ

3.『命なりけり』

庄野潤三の闘病記『世をへだてて』は、福原麟太郎の随筆「秋来ぬと」の紹介から始まっている。その「秋来ぬと」を収録した作品集が、本作『命なりけり』である。庄野潤三と併せておすすめしたい名著。

▶福原麟太郎『命なりけり』庄野潤三も絶賛!味わい深い人生を感じさせる随筆集

▶庄野潤三『世をへだてて』あらすじ・解説・詳細な考察を読む

4.『天才について』

1972年(昭和47年)に毎日新聞社から刊行された随筆集。身辺雑記や旅行記、回想録など、福原麟太郎の随筆世界を堪能することができる。講談社文芸文庫に入っている。

▶福原麟太郎『天才について』英文学と人生への大きな関心

5.『変奏曲』

三月書房の創業にあたって製作された随筆集。発行人の吉川志都子は、福原麟太郎の娘と大学で同級生だったらしい。野方周辺の身辺雑記がおもしろい。

▶福原麟太郎『変奏曲』晩年をどのように生きていくべきかというヒント

6.『諸国の旅』

過去に発表された随筆の中から「旅行記」だけを収録している。イギリス、フランス、アメリカなど、戦前から戦後にかけての海外旅行の趣きを楽しむことができる。

▶福原麟太郎『諸国の旅』戦前戦後の旅情溢れる海外旅行エッセイ集

7.『書斎の無い家』

書斎を持ったことのない英文学者・福原麟太郎の随筆集。読書とは何かということに対する、作者の強い思いが溢れている。

▶福原麟太郎『書斎の無い家』人間を愛し、人生を愛した老英文学者の随筆集

8.『昔の町にて』

福原麟太郎には精選随筆集が多い。同じ随筆が、複数の本に収録されていることも珍しくない。精選随筆集には「はずれ」というものがないので、安心しておすすめできる。

▶福原麟太郎『昔の町にて』大人になったら必ず読みたい「人生」という味わいのエッセイ文学

9.『永遠に生きる言葉』

庄野潤三の小説『野鴨』にも登場している名言集。世界各国の名言が収録されているが、福原麟太郎による精選なので、やはり英米編がおもしろい。

▶福原麟太郎『永遠に生きる言葉』世界の名言集に探す人生の意味

▶庄野潤三『野鴨』あらすじ・解説・詳細な考察を読む

10.『ヂョンソン大博士』

イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンの評伝。文学上の功績はもとより、サミュエル・ジョンソンの個性的な人間性に着目したい。

▶福原麟太郎『ヂョンソン大博士』英語辞典と人生観

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なお、上記以外に、次の書籍もおすすめです。

▶福原麟太郎『この道を行く』地元・野方町の散歩や庄野潤三との交流、白洲正子や森田たまの書評など

▶福原麟太郎『この世に生きること』自立した大人になるための知的エッセイ集

▶福原麟太郎『第三のクラブ』チャールズ・ラムを愛した男の生き方

▶福原雛惠『福原麟太郎追悼録』七回忌の節目に作成された非売品

▶ふくやま文学館『福原麟太郎の随筆世界』2018年特別企画展図録

【解説】『福原麟太郎著作集』と『福原麟太郎随想全集』について

福原麟太郎には、まとまった作品集として『福原麟太郎著作集』全12巻と『福原麟太郎随想全集』全8巻がある。

『福原麟太郎著作集(全12巻)』について

1968年から1969年にかけて研究社出版から刊行された全12巻の著作集。英文学研究、英語教育論、人物評伝、随筆など、福原麟太郎の幅広い仕事をまとめて読むことができる。

①『シェイクスピア』
②『ヂョンソン大博士』
③『トマス・グレイ研究』
④『評傳チャールズ・ラム』
⑤『随筆Ⅰ 旅・人』
⑥『随筆Ⅱ 身辺』
⑦『随筆Ⅲ 人生・読書』
⑧『随筆Ⅳ 日記・劇評』
⑨『英語教育論』
⑩『英文学評論』
⑪『イギリス人』
⑫『英文学の歴史』

『福原麟太郎随想全集』(全8巻)

1982年(昭和57年)に福武書店から刊行された全8巻の随想全集。随筆を中心に、日記・書簡まで収録されており、エッセイスト・福原麟太郎の仕事をまとめて読むための基本資料となっている。

①『人生の知恵』
②『本棚の前の椅子』
③『春のてまり』
④『学問のすがた』
⑤『メリ・イングランド』
⑥『この国を見よ』
⑦『思い出の記』
⑧『日記・書簡』

【解説】『福原麟太郎著作目録』について

膨大な福原麟太郎の世界を本格的に追究したいという方には、九州大学出版会から刊行されている『福原麟太郎著作目録』がおすすめ。

70年に及ぶ福原麟太郎の膨大な仕事が、A4判・約700ページに渡ってまとめられていて、資料的価値は高い。

福原麟太郎の著作は、およそ200冊あったとも言われており、その全容解明の手掛かりとなってくれること間違いなしだ。

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まとめ│福原麟太郎の魅力

福原麟太郎の魅力は、とにかく「大人の文学」ということに尽きる。

年寄りじみているのではない。

若い頃には分からなかった本当の人生の味わいというものを、福原麟太郎は教えてくれるのだ。

今、福原麟太郎を読む人は少ない。

しかし、チャールズ・ラムが時代を超えて読み継がれるように、我々日本人も、福原麟太郎を読み継いでいくべきだと思う。

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