音楽

KREVA「イッサイガッサイ」曲が終わった後に残る謎のモヤモヤ感の意味

KREVA「イッサイガッサイ」。

本作「イッサイガッサイ」は、2005年(平成17年)6月にリリースされたメジャー4枚目のシングル曲である。

この年、KREVAは29歳だった。

アルバムとしては、2006年(平成18年)に発売された『愛・自分博』に収録されている。

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初めて聴いたヒップホップ「イッサイガッサイ」

特別にヒップホップが好きというわけじゃない。

この頃のKREVAは、従来の支持層を越えたアプローチに力を入れていたということなんだろう。

初めて聴いたヒップホップが、KREVAの「イッサイガッサイ」だった。

「イッサイガッサイ」は、ひと夏の思い出を歌ったサマーソングである。

特別な時間ではなく、日常の夏休みを歌っているところがいい。

夜から遊びに出かけたり 朝目覚まし無しで目覚めたり
もう普通が普通じゃない毎日だから
痛感するんだよ あぁいまさら

(KREVA「イッサイガッサイ」)

「普通が普通じゃない毎日だから」というフレーズに、夏休みの非日常感が現れている。

日曜日に始まった夏休みが次の日曜日に終わってしまうことを考えると、これは普通のビジネスマンの夏休みなんだろう。

旅行へ出かけるわけでもなく、自宅でダラダラと過ごす夏休み。

「リゾート気分味わってるはずの理想の自分とは程遠い」自分というところに、この曲のリアリティがある。

もっとも、夏休みの非日常感をしっかりと支えているのは、一緒に夏休みを過ごしていると思われるパートナーの存在だ。

振り返っても思い出せないくらい
あれもこれもやったね欲張って
いつもより時間が濃くなってる

(KREVA「イッサイガッサイ」)

「喜んでくれたら上出来 やっぱそれが理想的」は、確かに充実感の表れなのだ。

いいよね、彼女と二人の夏休み。

歌が終わった後に残る謎のモヤモヤ感

リア充のラブソングのはずなのに、本作「イッサイガッサイ」は、どこか切ないサマーソングである。

振り返っても思い出せないくらい、欲張ってあれもこれもやったのに、歌が終わった後に残る謎のモヤモヤ感。

ひとつは、夏休みが(あるいは夏が)終わってしまうことの寂しさだろう。

今年の夏が終わって 何もしないようで何かしてた
なんだかんだお前がいれば 実際やっぱり楽しめた

(KREVA「イッサイガッサイ」)

「イッサイガッサイ」は、夏の始まりの高揚感を歌っているのではなく、夏の終わりの切なさを歌っている曲なのだ。

そして、もうひとつは、作中に登場する「お前」(パートナー)との関係性である。

ミュージックビデオでは、高校生男子が主人公で、美人の女性教師と恋をする模様が描かれている。

誰もいない教室でキスするシーンが胸キュンだが、この曲の主人公は高校生ではない(たぶん)。

おそらく、一緒に暮らしている彼女との短い夏休みを歌った曲なのだ。

二人の生活の中では、歌詞に登場しないいろいろなことが、きっとあったのではないだろうか。

例えば、つまらないことで喧嘩をして黙り込む時間があったりとか、彼女のスマホに見知らぬ男からのLINEが届いたりとかいったような、若い二人にはありがちなトラブル。

この曲の根底にあるのは、そうした彼女と過ごした様々な時間である。

今年の夏が終わって 何が残って何を忘れる
脳のファイルをかき集める
イッサイガッサイのみこんで

(KREVA「イッサイガッサイ」)

すべてが記憶に残したいと思える夏休みではなかった。

だからこそ、忘れたくない思い出だけを整理して、記憶に残しておこう。

二人の将来に立ちこめている、ちょっとした不安なんかは忘れてしまって。

タイトルであり、サビにも繰り返し登場する「イッサイガッサイ(一切合切)」は、主人公の不安である。

いろんなことを全部飲みこんで、この夏を思い出にしてしまおうという決意。

「一切合切」という言葉には、嫌なものも含めてすべて、という意味がある。

そんな主人公の不安が、モヤモヤとした夏の終わりの気持ちとともに歌われているのが、本作「イッサイガッサイ」という曲なのだ。

最初に、この曲を聴いていたのは、嫁だった。

「三高(高身長・高学歴・高収入)」に弱い嫁は、<KICK THE CAN CREW>の頃からKREVAのファンだったのだ。

嫁が聴くのを横で聴いているうちに、この曲は、自分自身にとっても、2005年の夏の思い出の曲となってしまった。

当時38歳。

今から考えると、随分若かったんだな。

自分もKREVAも。

曲名:イッサイガッサイ
歌手:KREVA
作詞:KREVA
作曲:KREVA
編曲:KREVA
発売:2005年6月15日

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3代目アコード
バブル世代のビジネスマン。ヤンエグにはなれなかったけどね。