生活体験

北海道のツルツル凍結路面で滑って転ばない「最強の冬靴」とは何か?

北海道のツルツル凍結路面で滑って転ばない「最強の冬靴」とは何か?

北海道の冬を過ごす上で、冬靴選びは極めて重要な問題である。

近年は優れたスノーブーツの開発が進んでいるし、海外ブランドの入手も容易となった。

無限にある選択肢の中から、どのような冬靴を選ぶべきなのか、これまでの冬靴経験も踏まえながら考察してみた。

北海道における冬靴の重要性

北海道新聞に、凍結路面で滑って転ぶ「転倒事故」が増えていることが報じられていた。

札幌市内で今冬、「つるつる路面」による歩行者の転倒事故が相次いでいる。市消防局によると、11月から今月21日までの転倒による救急搬送者数は前年同期比約2倍の634人(速報値)で、2016年以降の10年間で最多に上った。市は22日、転倒事故で救急要請が増えているとし、無料通信アプリLINE(ライン)で「軽傷での救急要請は控えて」と呼びかけた。(「北海道新聞」2025/12/22)

札幌市からの呼びかけは、12月19日(金)のLINEで届いた。

つるつる路面にご注意を!(略)転倒事故予防のポイントは、「冬みちの歩き方」「靴選び」「便利グッズ」などを紹介している、安全・快適に歩くための総合情報サイト「転ばないコツおしえます」をご覧ください。(「札幌市公式LINE」2025/12/19)

冬の凍結路面における転倒防止のコツは、「滑らない冬靴を選ぶ」「滑らない場所を選んで歩く」「転ばないように滑るように歩く」の3つだが、とりわけ「冬靴選び」は重要だ。

ティンバーランドのイエローブーツ

例えば、冬の札幌では根強い人気がある「ティンバーランド」のイエローブーツでさえ、凍結路面に強いとは言えない。

以前、「IKEUCHI GATE」3階に入っていた「ティンバーランド IKEUCHI店」へ冬靴を探しに行ったとき、スタッフからはっきりと言われたことがある(「滑らない靴なんてありませんよ」)。

念のため「冬道でも大丈夫ですか?」と確認したから、スタッフもまさか「滑らないから大丈夫です」と答えるわけにはいかなかったのだろう。

真冬の北海道で、コンバースのオールスター(しかもローカット)を履いている女性を見たことがあるが、スニーカーに比べれば「温かくて濡れない」というのが、こうしたブーツの役割なのかもしれない。

UGGのムートンブーツ

ふわもこなシープスキンが人気な「UGG(アグ)」のムートンブーツは、いかにも「北海道の冬に履いてください」というヴィジュアルをしている。

シープスキンのブーツは実際に暖かくて素晴らしいものの、「濡れない」「滑らない」という点については(かなり)弱い。

なぜなら、UGGのムートンブーツは、そもそも(オーストラリアの)サーファーのための靴だったからだ。

UGG®のクラシックブーツは当初、早朝のサーフセッション後に足元をあたたかく保つために、サーファーたちによって愛用されていました。その後、ソフトなシープスキンと時代を超えて愛されるデザインがクラシックブーツの代名詞となりました。(「UGG」公式サイト)

自分でも何足か使っているが、シープスキンはよほど気をつけないと、雪に濡れたところがムラになってしまう(履く前に必ず防水スプレーを)。

札幌ステラプレイスの「アバハウス」で購入したUGGのブーツは、雪の日のデビュー戦で早速濡らして、消えないシミを作ってしまった(笑)。

そして、UGGのブーツはよく滑る(これはあたりまえ)

札幌三越の婦人靴売り場で、「スワロフスキー」とコラボしたUGGのムートンブーツを購入したとき、その場で「靴底の修理」をお勧めされた(ブーツの底に「滑らない靴底」を貼りつけ加工するやつ)。

「ミスターミニット 札幌三越店」では、何段階かの値段から靴底を選べるようになっていて、当時は「4,000円」が最も高いものだった(つまり、もっとも滑らないはず?)。

「靴の値段+靴修理の値段」を見て、札幌の冬にUGGのブーツを履くのは、なかなか大変なことだと思った。

しかも、「貼りつけ加工した靴底が滑らないか?」と言うと、必ずしもそうとも言えない。

靴底加工してもらったばかりのスワロフスキーのUGGを履いた嫁は、セブンイレブンの店内で滑って転んで、整形外科へ通院することとなったから(笑)

パラブーツのシャンボード

札幌パルコにある「ユナイテッド・アローズ」の男性スタッフは、「真冬でもパラブーツを履いている」と教えてくれた。

確かに、大通の地下駐車場へ自動車を入れて、地下街をパルコまで移動するだけなら、パラブーツでも全然イケる(ほぼ雪道を歩く瞬間がない)。

街へ行く時は(JRタワーや大通地下の駐車場へ自動車を入れる時は)、自分でもパラブーツを履いていくことが多い(「シャンボード」か「ミカエル」)。

登山靴にルーツを持つだけあって、パラブーツの靴はかなりタフで、札幌の冬道でも気をつければ、そこそこイケる。

雪に濡れてもムラにならないリスレザーも素晴らしいし、積もった雪の中をズボズボ歩いていくのでなければ、意外と重宝するのではないだろうか。

もっとも、パラブーツ(シャンボード)を履いて、札幌ステラプレイスにある「コロンビア」へ行ったときは、お店のお姉さんに笑われた(「よっぽど体感が強いんですね(笑)」)。

ソレルのスノーブーツ

「コロンビア」で販売している「SOREL(ソレル)」のスノーブーツは我が家の定番で、家族全員が愛用している(今年も買った)。

北極熊をアイコンとするSORELは、いかにも「北海道の冬を乗り切るぞ!」という強い意志を感じることができる。

1962年、雪深い北極の地でSORELは誕生しました。それは商業的なアイコンではなく、過酷な自然と共に生きる人々の知恵と工夫から生まれた、環境に立ち向かう力強さの象徴でした。(「SOREL」公式サイト)

間違いなくヘビーデューティーで、間違いなく最強。

ただし、スニーカーブーツ感覚で履くことのできる、カジュアルなレディース・シューズも悪くない(我が家では母娘で愛用中)。

札幌ステラプレイスの「アーバンリサーチ」でも取り扱いあり。

安心感を買いたいなら、雪にも寒さにも強いSORELがおすすめ。

コロンビアのサップランド

ただし、「滑らない靴」ということで相談すると、お店(コロンビア)のスタッフがお勧めしてくれたのは、コロンビアの「SAPLAND(サップランド)」だった。

「サップランド」は、札幌の冬のために開発されたウィンターブーツである。

コロンビアのホームタウン「ポートランド」とその姉妹都市「札幌」の2つの都市名を合わせた、ウィンターフットウェアコレクション。滑りにくく、暖かく、軽量なSAPLAND(サップランド)は、路面凍結や降雪など、冬の厳しさが似ている両都市でも快適に暮らせるシューズをコンセプトに開発されました。(「コロンビア」公式サイト)

実際、「サップランド」の滑りにくさは、自分の体験上は過去一だと言っていい。

積雪や凍結のある厳しい低温状況下でも安全に歩行できるように開発されたヴィブラム社オリジナルソールを使用。-20℃でも硬化せず、また細かい突起付きのラグ(凸部)が乾いた状態・濡れた状態のいずれの氷上でも摩擦力を得て、安定したグリップ力を発揮します。(「コロンビア」公式サイト)

札幌の日常で「サップランド」は、ちょっとオーバーかなと思ったけれど、「暖かくて滑らない」冬靴は、通勤や買い物などの日常で履いてこそ意味がある。

病院でMRIを撮るため靴を脱いだとき、看護師さんが「これ、サップランドですよね!」と大きな声を出したときは驚いた(笑)

「やっぱり暖かいですか?」と訊いた彼女は、「滑らない」よりも「暖かい」を重視するユーザーだったのだろう。

そして、サップランドは実際に暖かい(おそらく、自分史上最強で)。

メレルのスノーブーツ

札幌ステラプレイスのBEAMSで買った「メレル」のスノーブーツは、雑誌『Begin』で紹介されていたもの。

アメリカのアウトドア・ブランドで、公式サイトでも「北海道旅行」を意識した動画がアップされているから、使用している北海道民も多いかもしれない。

『MERRELL-メレル-』の創設者ランディ・メレルは、アメリカのユタ州バーナルの郊外ワサッチ牧場で生まれ育ちました。青年になったランディは「世界最高のハイキングブーツを作りたい」という ”夢” を実現するために皮革から徹底的に学び、オーダーメイドブーツ職人として歩み始めました。1981年、完成した一足のブーツが ”北米で最も機能的で快適な靴” に選ばれました。(「MERRELL」公式サイト)

ただし、油断すると、意外と滑るので注意が必要。

ナイキのスニーカーブーツ

『Begin』を見て買った冬靴と言えば、ナイキのスニーカーブーツも良かった。

全然滑らないし、雪の上でも軽快に歩くことができる。

ただし、2シーズン目に履いたとき、前のシーズンよりも少し滑りやすくなったような気がした(ソールのすり減りのためか?)。

ローソン前の凍結路面で転んだ嫁が大怪我をしたときも、ナイキのスニーカーブーツを履いていた(コンビニの出入りには注意が必要)。

もともと転びやすくて普段から用心している自分と違って、バランス感覚の良い嫁は、自信過剰のところがある(冬道を甘く見ている)。

自分もシーズン中に何度か転ぶけれど、大怪我をするのは滅多に転ばない嫁の方が多い。

冬道は、とにかく疑ってかかることが大前提なのだ(「いつか滑って転ぶのではないか?」)。

クラークスのワラビーブーツ

BEAMS札幌店で買った「クラークス」の全天候型ワラビーブーツも、雑誌『Begin』で紹介されていたもの(なにしろ影響を受けやすいもので)。

ゴアテックス素材で濡れにくい靴だが、(なんと)デビュー初日に、地下鉄「北18条駅」から北海道大学へ向かう途中で転んだため、以降、凍結路面では使わないようになってしまった(トラウマ)。

冬靴というのは、一度でも転んでしまうと、途端に信用を失ってしまうものなのだ。

NORTH DATEのスパイク付きブーツ

北海道ブランド「NORTH DATE(ノース・デイト)」のスパイク付きブーツを買ったこともある。

「株式会社ダテハキ」は、1945年(昭和16年)創業の老舗靴店で、「ノース・デイト」は北海道が誇る冬靴ブランドとなっている。

ベージュのムートンブーツは、一時期、女子高生の定番アイテムとなっていた。

「MADE IN HOKKAIDO」に惹かれて、桑園イオンで買ったものだが(5,000円くらいだった)、冬の北海道での実用性は値段なりといったところ。

凍結路面を意識してスパイク付きを買ったのだが、逆にビルやショップの床面では非常に良く滑るので、むしろ屋内で歩くことが怖くなってしまった。

冬靴の値段は、20,000円以上を出すと安心感を買える(「濡れない」「滑らない」「暖かい」)。

逆に、10,000円以下で滑らない靴を見つけることができたら(その上で、できれば暖かい靴を)、それは掘り出し物ではないだろうか。

ダンロップの防寒長靴

ヘビーデューティということでは、ダンロップの防寒長靴を履いたこともある。

created by Rinker
DUNLOP REFINED(ダンロップリファインド)

北海道の人たちが「雪かき」(除雪)をするときに履いていた靴だが、特別に真冬用ではなかったのか、寒さに強い靴とは言えなかった。

それでも、意外と滑らないし、なにしろタフなので、氷の穴釣り(ワカサギ釣り)をするときには、随分と酷使したものだ(ぶ厚い靴下を履いて)。

「人は見た目が9割」だが、見た目にこだわらない実用派には選択肢になるかも。

ミツウマのゴム長

小樽で暮らしている友人に、地元「ミツウマ」の長靴を愛用している人がいる。

ミツウマは、1919年(大正8年)に小樽市で創業した老舗の「長靴」ブランド。

滑りにくいから安心 ≪セラミックソール≫ 超硬度のセラミックを粒状にして靴底にちりばめました。体重が加わると、粒状セラミックがツルツル路面をしっかりとキャッチ。圧雪路面やアイスバーンでも防滑効果を存分に発揮します。(「ミツウマ」公式サイト)

地元では「ゴム長と言えばミツウマ」と呼ばれるほど定着している。

ドクターマーチンの3ホール

真冬に履いている短靴としては、パラブーツのほかに「ドクターマーチン」がある。

定番3ホールでも意外と温かいので、自動車で街へ出かけるときには重宝していた。

そもそも、労働者向けの堅牢な靴ということもあり、タフさということではパラブーツにも負けない。

ボリュームのあるマーチンは、冬のコートスタイルとのバランスも良いので、ファッション的にも優秀な革靴だと思う。

サイドゴアブーツもあり。

リーボックのスノーブーツ

スニーカーブランド「リーボック」のスノーブーツは、タフというよりはスマートでオシャレ。

冬道を歩く上で、特別の不満はなかったけれど、特別の安心感というものもなかった。

スエードのブーツは、ただそれだけでカッコいいことは確か。

ZOZOTOWNのセールで安くなったところで買ったのも「都会的でカッコいいかも?」という単純で不純な動機だった。

ホーキンスのスノーブーツ

冬になると、ABCマートの店頭に並ぶホーキンスのスノーブーツは、北海道民にとって身近な存在。

お手頃価格で(8,000円くらい)、そこそこネームバリューのあるブランド靴が買えるので、冬靴デビューには最適かもしれない(キャンプ初心者が、ホーマックで「コールマン」のテントとタープを買うようなものか)。

中高生にも人気。

マウンテン・ブーツにルーツを持つホーキンスは、値段の割に意外と温かくて、意外と滑らないので、コスト・パフォーマンスは高い。

決め手に欠けるときは「とりあえずホーキンス」という選択肢もありか。

ヴァンズのカジュアルブーツ

スニーカー感覚で履くことができるヴァンズのカジュアル・ブーツも、ABCマート定番の冬靴となっている。

大学生時代に買ったやつを、長く愛用していた。

値段の割には意外と滑らないという意味で、ホーキンス同様コスパ的には優秀。

「スノーブーツではヘビーデューティーすぎる」という人の選択肢としてありか。

まとめ

絶対に滑らないスタッドレスタイヤがないように、絶対に滑らない冬靴はない。

大切なことは、滑って転ばないように歩くことだ。

それでも、安心できる足下を確保することは、北海道の冬を安全に過ごす上での第一歩であることに間違いはない。

いかに優れた冬靴を履いて、滑らないコースを選び、滑らない方法で歩いていくか。

札幌の冬は(北海道の冬は)凍結路面との戦いである。

もしかすると、優れた機能を使いこなしていく判断力こそが、現代の北海道民に求められているスキルなのかもしれない。

ABOUT ME
懐新堂主人
バブル世代の文化系ビジネスマン。札幌を拠点に、チープ&レトロなカルチャーライフを満喫しています。