今回の青春ベストバイは、「週刊少年チャンピオン」1980年4・5号(1980年1月21日・28日号)です。
目玉は何といっても巻頭100ページ一挙掲載の「ドカベン」。
デジタルゲームの広告が目立つのも、80年代の幕開けという感じがしますね。
大幅減量で変身した雲竜が山田太郎と最後の勝負に挑む
「週刊少年チャンピオン」1980年4・5号(1980年1月21日・28日号)のラインナップは「ドカベン」を筆頭に、「らんぽう」「750ライダー」「月とスッポン」「キッカー烈男」「がきデカ」「ふられ竜の介」「がっぷ力丸」「レース鳩0777」「ゆうひが丘の総理大臣」「最強・最後のカラテ」「いけ!悪太郎」「バラの進さま」「爆笑!!花沢高校」「ミス愛子」といったところ。
このとき、僕は小学6年生で、4月から中学1年生に入学するという、節目の年だったけれど、「ドカベン」以外には、あまり愛読していたという記憶のない作品が多い。
もちろん、どれも有名なんだけれど、コミックスで全巻集めていたのは「ドカベン」くらいだったのではないだろうか。
その「ドカベン」は、大幅に減量してすっかり変身した<雲竜>と対戦する話。
実は雲竜は、横綱を目指す将来有望な相撲選手で、少年時代には、町の相撲大会で、山田太郎と対戦して負けたこともあったという。
兄弟五人の母子家庭で長男だった雲竜は、相撲取りになるために家を出るなど、少年時代の貧乏ストーリーは、いかにも「ドカベン」らしい感動悲話だ。
「少年のころの相撲から高校の野球へと長い長い打倒・山田をついに果たせずだ……そして終わった。これだけ努力して、しかし、それでも勝つことができなかった。君に脱帽だ。もう野球はやめる。相撲にかえる」(水島新司「ドカベン」)
ランニングホームランをホームで阻止されたとき、雲竜は野球からの引退を誓う。
それにしても、少年時代からの因縁を(しかも相撲大会の因縁を)高校野球まで持ってくる水島新司の構想力はすごい。
「ドカベン」は単なる野球漫画じゃなかったということが、よく分かるエピドーソだった。
「日本のフォーク・ロック界の気鋭」浜田省吾のLP『君が人生の時』
古本屋に行って、特に買う物がないときは、古い漫画雑誌を買う。
コミックスを買うのと違って、雑誌には漫画以外にも読むところが多くて、暇つぶしにはもってこいだからだ。
表紙裏のカラー広告は、「タカラ」の「家庭ゲームのベスト11」で、「プロ野球ゲーム」「社長ゲーム」「人生ゲーム」「クイズダービーゲーム」「億万長者ゲーム」「夢のスターゲーム」「ニューデートゲーム」「日本特急旅行ゲーム」「よこどりゲーム」など、人気のボードゲームが並ぶ。
「人生ゲーム」と「億万長者ゲーム」は、我が家にもあったかな。
小学生時代の我が家には、なぜか友だちが集まってくることが多くて、クラスの男子全員が、自然発生的に集まってしまったこともある。
そんなとき、ボードゲームがいくつかあると、数チームに分かれて遊ぶことができるので便利だった。
エポック社の広告は「ブラックボンバー」という電子ゲームを筆頭に、「野球盤AM型人工芝球場」「スーパースロット」「ポカポンゲーム」「ゆかいな歯医者さん」「スーパーヘリコプター」などが並ぶ。
このうち、「野球盤AM型人工芝球場」と「ポカポンゲーム」は、我が家にもあったはずで、特に人工芝の野球盤は「消える魔球」が売りの、ハイスペックな立体ボードゲームだった。
よくホームランを飛ばしてボールをなくしたっけ、、、
「ポカポンゲーム」は、とにかく殴り合うのが楽しいアクションゲームで、めちゃくちゃシンプルなわりに、当時、大人気だった気がする。
相手のトンカチが当たったら、首のバネがビヨヨンと伸びるなど、コミカルな仕掛けも子どもたちに受けたんだろうな。
あと、当時の少年誌で楽しいのが、巻末の芸能コーナー。
当時は、巻頭グラビアとかじゃなかったんだよね(当時は、巻頭からとにかく漫画だった)。
「アイドルレポート」は、1980年1月10日に「ラブ・スケッチ」でデビュー予定の佐藤恵利で、「ただ今、都立代々木高校の3年生。同級生に浅野温子クンがいる」と紹介されている。
その他、芸能コーナーには、石野真子、倉田まり子の他に、「ニューミュージック界の女王」松任谷由実が登場。
「ユーミンにとって音楽とは?」との質問に「趣味ね(ひとこと)」と答えるなど、当時からさすがの貫禄を見せている。
1979年12月にアルバム『悲しいほどお天気』が発売されたばかりの、80年代幕開けだった。
「特選アルバム」のコーナーでは、「日本のフォーク・ロック界の気鋭」浜田省吾のLP『君が人生の時』が紹介されている。
ヒット曲「風を感じて」を含む、このアルバムの紹介コメント、「ストレートなポップ感覚で力強いサウンドを聴かせる」って、何のことやらよく分からないが、、、
『少年チャンピオン』にも、こんな新譜紹介コーナーがあったなんて、全然知らなかったよ。
最後の、裏表紙カラー広告は、カバヤ食品の「ビッグワンガム」で、「ゼロ戦52型」や「フェラーリ312T」など、ニューモデルがPRポイント。
当時の価格は100円だった。
古い漫画雑誌を読んでいると、心まで、あの時代に飛んでいってしまうような気がする。
そんな週末も悪くないと思った。
まあ、あまり、生産的ではないけれどね。