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オシャレトロ映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』が面白くない?

ウディ・アレン監督のオシャレトロな恋愛コメディ『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』が面白くない?

そんなことはありません。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、レトロものやクラシックなものが好きな方に、おすすめの映画なんですよ。

Contents

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』とは?

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、2019年にアメリカで製作された恋愛コメディ映画です。

原題は『A Rainy Day in New York』。

監督はウディ・アレンで、ティモシー・シャラメやエル・ファニング、セレーナ・ゴメスなどが出演しています。

日本では2020年7月に公開されました。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のあらすじ

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、ドタバタ恋愛コメディです。

ペンシルベニア州の大学生<ギャツビー>(ティモシー・シャラメ)は、女子力が高くてかわいい恋人<アシュレー>(エル・ファニング)と、大都会マンハッタンで素敵な週末デートを過ごすことになりました。

理由は、ジャーナリスト志望のアシュレーが、有名な映画監督にインタビューできることになったから。

ニューヨーク出身のギャツビーは、オシャレな都会をアシュレーに案内しようと、ゴージャスなデートプランを立てますが、インタビューに出かけたアシュレーが、なかなか帰って来ません。

なんと、アシュレーは、映画監督を通じてセレブな俳優と知り合いとなり、その男の自宅に誘い込まれた挙句、テンション盛り上がりで洋服を脱いでいたのです(笑)

アシュレーにすっぽかされた傷心のギャツビーは、地元ニューヨークで映画撮影中の旧友と再会し、急遽、その映画に出演することになります。

キスシーンのお相手は、元カノの妹<チャン>(セレーナ・ゴメス)。

姉の元カレに、チャンは散々ツレない態度を取りますが、ギャツビーの弾くピアノを聴いて、ギャツビーが傷付いていることに気が付きます。

やがて、芸能人とのセックスに失敗したアシュレーが戻ってきますが、頭がパーで浮気者のアシュレーに愛想を尽かしたギャツビーは、アシュレーを体よく追い返してしまいます。

最後は、ツンデレ娘のチャンと結ばれて、めでたしめでたし!

監督のウディ・アレンとは?

ウディ・アレンは、数々の名作映画で知られるアメリカの映画監督です。

もとは、俳優として、自分の映画にも出演していましたが、年を取ってからは、映画監督に専念するようになりました。

ウディ・アレンの映画の特徴は、ユーモアとペーソスに溢れ、ファッショナブルであるということ。

人生のちょっしたほろ苦さを、笑いを込めて描くのがウディ・アレン流。

それに、ウディ・アレンは、オシャレなオジサンとしても有名で、アメトラ(アメリカン・トラッド)の特集などでは、必ず名前の登場するアメリカ人の一人です。

当然、映画もアメトラ風にファッショナブルになるわけですね。

代表作は『アニー・ホール』や『ミッドナイト・イン・パリ』など。

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『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』が上映禁止!?

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、そんなウディ・アレン監督の最新作でしたが、幼女への性的虐待疑惑が持ち上がって、アメリカ映画界は大騒ぎとなります。

1992年当時に付き合っていたミア・ファローからの告発が原因で、この件自体は、警察の捜査の結果、既に証拠不十分で不起訴となっていましたが、ミア・ファローの執拗な訴えが功を奏して、ウディ・アレンはアメリカ映画界から、ほぼ抹殺されてしまいます。

この事件に関しては、猿渡由紀さんの『ウディ・アレン追放』という本で、かなり詳しくルポルタージュされているので、興味のある方は、読む価値があると思いますよ。

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事実解明はともかく、どうして、このような事件が起きたのか、関係者の利害関係が、かなり詳しく整理されています。

結局、この事件のため、映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、本国アメリカにおいて上映禁止となってしまいました(ただし、DVDやBlu-ray Discは販売されているそうです)。

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のレトロな魅力

さて、それでは、この『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』、どうして、レトロ好きな方にも、おすすめなのでしょうか?

舞台のマンハッタンがレトロ!

理由その1は、映画の舞台となっているマンハッタンが、レトロ感たっぷりに撮影されているからです。

自分は、ニューヨークが舞台となっている映画が大好きで、だからウディ・アレン監督の映画も好きなんですが、本作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、タイトルにもなっているくらい、ニューヨークの街が登場します。

メトロポリタン美術館

ギャツビーがチャンと入った<メトロポリタン美術館>は、1870年に開館した世界最大級の美術館。

愛称<メット>と言えば、細野不二彦の漫画『ギャラリーフェイク』でも有名ですね(若い頃の藤田がキュレーターとして勤務していた)。

ザ ピエール ア タージ ホテル

ギャツビーとアシュレーの二人が宿泊するホテル<ピエール>は、1929年に建てられたビルをリノベーションしたラグジュアリーな5つ星ホテルです。

エレベーターには24時間、エレベーターマン(レディ)が常駐しているそうですよ(古い映画みたい)。

セントラル・パーク

ホテルの窓から見える公園は、もちろん<セントラル・パーク>です。

サリンジャーの小説にも出てきますね(『ライ麦畑でつかまえて』ほか)。

ザ・カーライル・ア・ローズウッド・ホテル

ギャツビーのお気に入りラウンジバー<ベーメルマンス・バー>があるのは、1930年開業の老舗<ザ・カーライル・ア・ローズウッド・ホテル>です。

アールデコのクラシカルな35階建て高層ビルが圧巻。

ドキュメンタリー映画『カーライル ニューヨークが恋したホテル』も観ておきたいですね。

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ベーメルマンス・バー

店内の壁画は、1940年代に、作家でイラストレーターのニューヨーカー、ルドウィッヒ・ベーメルマンスが手がけたもの。

映画『セックス・アンド・ザ・シティ』にも登場しました。

ウォーカーズ

アシュレーが、脚本家と訪れたレストランは、1880年創業の老舗<ウォーカーズ>。

映画『ニューヨーク、アイラブユー』でも、ロケ地として撮影されました。

グリニッジ・ヴィレッジ

ギャツビーとチャンがキスシーンを撮影するのは、ダウンタウンのグリニッジ・ヴィレッジ。

まさしく、『グリニッチ・ビレッジの青春』です(笑)

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次々に登場するクラシックな街並みは、とにかく映画を観ているだけで、「えっ! 行きたい!」ってなるような素晴らしいところばかり。

それに、雨のニューヨークが舞台っていうところも、レトロでロマンチックなんです。

結局、「雨」と「ニューヨーク」が、この映画のキモだった!(タイトルまんま)

ウディ・アレン監督のニューヨーク愛が、スクリーンから飛び出してくるような感じがしました。

ティモシー・シャラメのファッションがレトロ!

理由その2は、ハートブレイク男子大学生ギャツビー(ティモシー・シャラメ)のファッションが、めっちゃレトロでオシャレだからです。

このファッション、「アメリカン・トラッド(アメトラ)」といって、アメリカのインテリ大学生に超人気のあったファッション・スタイルなんです。

日本でも「アイビー・ルック」とか言って、1960年代や1980年代、2010年代などと流行を繰り返しています。

ジャケパンが基本のキレイ目スタイルなんですが、この映画のギャツビーが、まさにそれ!

ラルフローレンのヘリンボーンの茶色ジャケットなんて、本当にいいですよね~(ほしい、、、)。

実は、監督ウディ・アレンこそ、アメトラの実践者として有名なアメリカ人で、本作のティムは、まるで若き日のウディ・アレンそのものといった雰囲気を湛えています。

ティム推しの女性のみならず、アメトラ男子にもお勧めしたい映画です。

ギャツビー以外の登場人物のファッションも、基本的にクラシカルで、レトロ感のあるファッションに興味のある方には、参考になると思いますよ!

サントラのジャズがレトロ!

最後に理由のその3は、サウンドトラックのジャズが、めっちゃオシャレでレトロだからです。

ウディ・アレン監督は、ジャズとニューヨークを愛する男として知られていますが、本作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』のサウンドトラックは、まさしくレトロなジャズがたっぷり。

ビング・クロスビー

オープニングは、ビング・クロスビー「I Got In The Rain」(1949年の曲)。

この雰囲気、最高ですね。

エロール・ガーナー

映画全編を通して、エロール・ガーナーの曲が挿入されていますが、圧巻は「ミスティ」(1954年の曲)。

エロール・ガーナーは、1950年代から1970年代にかけて活躍したジャズ・ピアニストですが、代表曲「ミスティ」は、今もジャズピアノの定番として人気のある曲です。

チェット・ベイカー

そして、本作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』で最大の見せ場とも言えるのが、主人公ギャツビー(ティモシー・シャラメ)の弾き語りです。

アシュレーが戻ってこないことに傷付いたギャツビーは、チャンの自宅で、ピアノを弾きながら歌います。

その曲が、チェット・ベイカーの録音で有名な「Everything Happens To Me」でした(初出は1940年)。

この弾き語りで、ツンデレなチャンとの距離感が一気に縮まっちゃうんだから、ギャツビーって天性の女たらしですよね(笑)

でも、男性から見ても、ティムのピアノはいい!

字幕で日本語訳が出る歌詞もいいです。

ゴルフの約束をすると決まって雨が降る
パーティーを開くと上の階の男から苦情
僕は風邪を引いて電車に乗り遅れる
いつも災難が降りかかる

でも流行には乗り遅れず
おたふくカゼやはしかにかかる
エースを出すと相手は切り札で勝負
どうせ僕は大バカ者 先を見ずにジャンプ
ツキの悪い男なのさ

君が運命を変えてくれると思った
愛の力で絶望を終わらせてくれると
でも自分をダマせない 本当は分かってるのさ
だから はかない希望にすべてを賭けた

電報を打って電話もした
特別便のエアメールも
君の返事は”さようなら”
おまけに料金不足
たった一度の恋 君でなければダメなのに
ツキの悪い男なのさ

映画の中でギャツビーは「ラウンジピアノが好きなんだ」と呟いていますが、このセリフもカッコいいです。

「ジャズピアノが好き」とか「クラシックピアノが好き」とかじゃなくて「ラウンジピアノが好きなんだ」

この映画を観て、自分もすっかりとラウンジピアノが好きになってしまいました(笑)

雰囲気が似ているチェット・ベイカーのバージョンがおすすめ。

ということで、映画の至るところで使われている音楽は、レトロチックなジャズが中心。

これがウディ・アレンの魅力ということなんですね。

レトロな雰囲気が好きな方は、音楽を聴くだけでも、映画を観る価値があると思います!

まとめ

いかがでしたか?

以上のように、本作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、ロケ地・ファッション・音楽と、三拍子揃ってレトロ感たっぷりの映画です。

ハッピーエンドのような、アンハッピーのようなエンディングも、ウディ・アレンらしく、人生の皮肉を描いたものだと思います。

オシャレトロな映画が好きという方におすすめ。

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3代目アコード
バブル世代のビジネスマン。ヤンエグにはなれなかったけどね。