「文学フリマ札幌11」へ行ってきた。
あまり暑くない夏に僕は、文学フリマ会場で何を感じたのか?
その一端を少しだけ記録しておきたい。
大いなる田舎町・札幌の文学フリマ
「札幌はまことに美しき北の都なり。大いなる田舎町なり」と綴ったのは、明治時代に札幌へ滞在した歌人・石川啄木だった。
今回のようなイベントへ来ると、いつでも感じないではいられない。
いつまで経っても、札幌は「大いなる田舎町」なんだなあと。
400店近いショップが出店するビッグイベントなんて、北海道内ではもちろん、札幌くらいでしかできない。
札幌市は200万人近い人口を擁する、文字どおりの大都会なのだ。
開場時間の11時に現地へ到着すると、入場待ちの列が順番を待っている。
札幌コンベンションセンターの大ホールに並べられた出展者たちのブース。
392出店・448ブースが集まった、まさに「究極の文学イベント」の始まりである。
ひとつひとつのショップの出店者と話をしながら見て回ったら、おそらく簡単に一日が終わってしまうだろう。
ここには「文学」を愛好する人たちが集まっているのだ。
それでも「文学フリマ東京」の熱気に比べると、札幌の会場はどこまでも静かで、どこまでも落ち着いている。
「北海道民はシャイだなあ」とつぶやいた、ある大物ミュージシャンのライブの記憶。
こんなときに、僕はいつでも思い出すのだ。
いつまで経っても、札幌は「大いなる田舎町」なんだなあと。
「文学フリマ」という世代間交流
出展者・来場者ともに、ここに集まっている人たちはどこまでも多様だ。
男性が多いわけでもないし、女性が多いわけでもない。
同じように、若い世代が多いわけでもないし、上の世代が多いわけでもない。
「老若男女」という言葉が最もふさわしいと思えるくらいに、多様な人たちの集まり。
いや、本当にそうだっただろうか。
僕が印象として感じたことは「ここには元気な大人たちが多い」ということだ。
もちろん、日ごろからSNSで見かけているような、若い作家の人たちの姿を多く見かけた。
一方で、自分なりの楽しみ方で「文学フリマ」を楽しんでいる大人世代の人たちとも、たくさん接することができた。
これが「世代間交流」というものなんだろうか?
ひとつ大切なことは、文学フリマを楽しむのに年齢は障害にはならない、ということだ。
傾向として、若い世代の人たちの仕事の方が丁寧であるということは確かだろう。
洗練された見せ方を、彼らは知っている。
それに比べて大人世代は、もっと自由に「文学フリマ」を楽しんでいるように感じた。
「型にはまらない大人たち」とでも言うのだろうか。
もっとも実際の売り上げは、きちんと整えられた若い世代の方で多かったかもしれないけれど。
ZINEと短歌と文学フリマ
世代が多様なら、扱っているジャンルが多様であることも、「文学フリマ」の大きな特徴となっている。
創作と言えば「小説」か「詩」が中心だった僕たちの時代とは異なり、今はあらゆるジャンルが「創作」の対象となっている。
そういう意味で興味深いのが「ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記」や「評論・研究」のエリアだった。
一般に「ZINE(ジン)」と呼ばれる小冊子が、様々な形で並べられている。
エッジの効いたテーマであるほど「ZINE」は楽しい。
他人とは異なる視点で、他人とは異なるポイントを、できるだけ深く追求する。
そこに「ZINE」というメディアが持つ、最高のポテンシャルがある。
ニッチな人たちが集まる文学フリマの中でも、とりわけ「ZINE」にはニッチな作品が多かった。
もうひとつ、個人的に注目しているものとして「短歌」がある。
今、短歌はかつての現代詩に替わって、若い世代の表現ツールになっている。
現代詩よりは不自由だけれど、俳句よりは自由。
そんな居心地の良さが、現代の短歌にはあるのかもしれない。
残念ながら(不自由すぎる)俳句は、少しばかりマニアックな表現ツールだったらしい。
中学生時代から俳句を続けている人間としては、ちょっと寂しい感じがしないでもない。
「俳句がブーム」という時代も、戦後には確かにあったんだけれどね。
まとめ│「文学フリマ札幌」の可能性
文学好きの人たちが集まる文学好きの聖地、それが「文学フリマ」である。
とりわけ「紙媒体」への熱いこだわりが、このイベントにはあった。
デジタルから紙媒体への逆流こそ、文学フリマというイベントが持つ未来の可能性だったと言っていい。
紙に印刷された文字だけを凝視しながら、僕は会場をまわった。
文学フリマは「言葉」と交流することのできる、最高の文化系イベントだった。
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