読書体験

国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用して古い雑誌の小説を読む

国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用して古い雑誌の小説を読む

古い雑誌に発表された作品を読むには、国立国会図書館の遠隔複写サービスが便利である。

今回は、国立国会図書館の遠隔複写サービスのやり方や支払方法などについて紹介したい。

申し込みから一週間で資料が到着

国立国会図書館の遠隔複写サービスとは、オンラインで複写を依頼して郵送で届けてもらうことのできるシステムである。

複写を依頼したい雑誌は、国立国会図書館の所蔵資料検索から行うことができる。

なお、遠隔複写サービスを利用するには、利用者登録が必要なので、まずは、利用者登録から始めよう。

国立国会図書館には、膨大な資料が保管されているから、古い雑誌も、ここの蔵書検索で見つかることが多い。

サービスの提供を受けるためには、複写する資料と複写箇所が正確に特定できていることが必要。

ただし、具体的な資料名が分からなくても、例えば、検索カテゴリを「雑誌」に指定して、「庄野潤三」と検索をかけると、庄野潤三の作品が掲載されている雑誌がたくさんヒットする。

国立国会図書館の素晴らしいところは、雑誌の掲載作品が、きちんとデータ化されていることで、これで古い雑誌に発表された庄野潤三の作品を、簡単に探すことができる。

僕の場合、庄野さんの古い作品を探すことが多いので、表示を「出版年:古い順」にしていることが多い。

気になる雑誌をクリックすると、目次が表示される。

目次には、作品名とページ数が掲載されているから、ここで、複写を依頼したい作品名と作者名とページ数を確認する。

あとは、「遠隔複写サービス」の申し込み画面に進んでいけば、あらかじめ登録済みの住所まで資料のコピーを送り届けてくれる。

庄野潤三の古い小説を2編、申し込みをしたときは、2日程度で発送準備が完了したというメールが届き、一週間後には、手元に資料が届いていた。

複写サービスを依頼する際には、雑誌の表紙と目次まで含めておくと、あとで資料を整理する際に混乱がないのでお勧め。

A4版の雑誌の場合、A4用紙一枚に見開き2ページがコピーされてくるが、申込件数には「30件」という上限があるので要注意。

論文・記事等の「複写箇所1か所」をもって「1件」と数えるとのことなので、1回に依頼できる複写サービスは、A4用紙30枚までということになる。

ページ数では60ページになるので、普通の短編小説なら十分に対応できるだろうか。

ページ数が多い場合は、面倒だが複数回に分けて申し込むしかない。

指定すればカラーカピーも可能。

国立国会図書館ではカラーコピーも可能国立国会図書館ではカラーコピーも可能

ただし、国立国会図書館では、資料保存のため白黒マイクロで撮影された画像を、改めてデジタル化したものを複写する場合があり、この場合はすべて白黒での提供となる。

カラーコピーを指定したものがカラーコピーできない場合、その旨問い合わせの連絡があるので注意しよう。

利用に当たっては「複写料金」「発送事務手数料」「送料」が必要となる。

コピー料金は、A4一枚「27.5円」だから割高に思えるかもしれないが、きれいなコピーを取ってもらう手数料だと考えると、全然高くない。

複写代金は後払いで、資料に同封されている払込票により、コンビニや郵便局などで支払うことができるので便利だ。

「時間のメリット」と「質のメリット」を手に入れる

ところで、古い雑誌というのは、意外と地元の図書館にも普通にあったりする。

カウンターで閲覧申し込みをして、自分でコピーを取れば、コピー料金だけで済むわけだ。

それでも、国立国会図書館の「遠隔複写サービス」は、自分の手を煩わす必要がないこと(時間のメリット)と、きれいな状態の複写を入手できること(質のメリット)という二点が、大きなメリットになるだろう。

単行本に収録されていない作品というのは、初出時の雑誌で読むより他に方法がない。

古い雑誌も、ネットで探し続けているうちに、意外と見つかるものだが、簡単には見つからないものも多い。

うまい具合に見つかっても、状態が良いとは限らないし、べらぼうな値付けがされているかもしれない。

大体、気になる作品数ページを読むために、いちいち雑誌を買っていくと、保管場所にも困るだろう。

そこへいくと、国立国会図書館の遠隔複写サービスは、実にリーズナブルな料金で、お手軽に古い時代の作品を読むことができる。

古い雑誌に発表された小説を読みたいと考えている人にお勧めだ。

ABOUT ME
みづほ
バブル世代の文化系ビジネスマン。札幌を拠点に、チープ&レトロなカルチャーライフを満喫しています。