たくぎんのテレビCMで、中島みゆきの曲が流れていました。
画面に登場しているのは、俳優の吉岡秀隆さん。
あの頃、たくぎんはまだ元気だったんですよね。
たくぎんのテレビCMに出演していた吉岡秀隆
昔、中島みゆきの「まつりばやし」という曲が、テレビCMに使われていたことがある。
たぶん、1992年頃(平成4年)のことだろうか。
まだ(かろうじて)元気だった時代の北海道拓殖銀行のテレビコマーシャル。
俳優の吉岡秀隆が出演していた、あのテレビCMだ。
「まつりばやし」は、1977年(昭和52年)に発売されたサード・アルバム『あ・り・が・と・う』に収録されている。
父親の死をモチーフした作品と言われていて、すごく良い曲だけど重くて暗い。
なんたって「声をかき消す/まつりの中/信じられない/おまえの最後を知る」だからね。
好きな曲だっただけに、テレビCMでこの曲を聴いたときは、ちょっと驚いた。
みゆき? まつりばやし? たくぎん?
もちろん、中島みゆきは、北海道出身のシンガーソングライターだ。
帯広柏葉高校を卒業して、藤女子大学に入り、ヤマハのポプコンを経てプロデビューした。
たくぎんのCMソングに使われたって、全然おかしくない。
というか、むしろ当然だったと思うけれど、「まつりばやし」という選曲が意外だと、当時は感じたのだ。
ちなみに、その頃の中島みゆきは、ヒット曲「空と君の間に」を歌う前で、大きなヒット曲はあまりなかった時代だったような気がする。
そもそも、倉本聰って、中島みゆきが好きなんだよね。
『北の国から』でも、しょっちゅう使われていたし。
で、CMに出演していたのは、俳優の吉岡秀隆さん。
テレビドラマ『北の国から』を誇りとする北海道の人たちは、彼のことを「(黒板)純君」と呼ぶ。
東京(柴又)の人だったら「(諏訪)満男」と呼ぶかもしれないが、多くの北海道民は「純君がたくぎんのCMに出ている」と受け止めていたのだ。
吉岡秀隆にはブルーカラーが似合う
CMの中で純君は、故郷に残って働く、一人の青年だった。
汗を流しながら「あの頃、僕の宝物は、都会(まち)に出て行った二歳年上の女の子だった」「今、僕の宝物は、、、」とつぶやく純君に、北海道の人たちは無言の共感を覚えたはずだ。
そして「あなたの物語、お預かりします」というたくぎんのキャッチフレーズにも。
まさか、あの「たくぎん」が、それからたった5年で消滅してしまうなんて、当時は誰も想像さえしていなかったんだろうな(拓銀は1997年に営業終了)。
どうでもいいけど、吉岡君には、ブルーカラーの役がよく似合う。
『北の国から』の純君は、ゴミ収集作業員から漁港労働者へ転職したし、『三丁目の夕日』の茶川さんは駄菓子屋のおじいさんだった。
『Dr.コトー診療所』のコトー先生とか、『男はつらいよ』の小説家とか、インテリ役も多いんだけど、北海道民としてはブルーカラーの吉岡秀隆を見たい。
似合わないなあと思ったのは『鉄道員(ぽっぽや)』に出てくるJR本社社員の役(笑)。
逆に、一番好きなのは『ラストソング』の天才ギターリスト稲葉一也だ。
傷つきやすい少年の役を、地でやってるようで、あの映画は本当に名作だと思う(未だにDVD化されていないのが残念)。
ちなみに、この頃『北の国から』は『’92 巣立ち』の時代だった。
ということで、すっかりと懐かしいお宝になってしまった、純君がCMやってた頃のたくぎんアイテム。
今からちょうど30年前のもので、中島みゆきと吉岡秀隆とたくぎんがコラボした、このアイテムも、ちょっとした北海道史のひとつなのではないだろうか。