音楽

ザ・フォーク・クルセダーズ「ライカはローリングストーン」は中高年の「お嫁賛歌」だった。

大人になって好きになった曲に「ライカはローリングストーン」というのがある。

「ライカはローリングストーン」は、2002年(平成14年)に発売されたアルバム『戦争と平和』に収録されている、ザ・フォーク・クルセダーズの曲だ。

どうして2002年(平成14年)にフォークルなのかというと、1968年(昭和43年)に解散したフォークルは、2002年(平成14年)になって期間限定で再結成しているからである。

このとき、オリジナルメンバーはしだのりひこの代わりに、坂崎幸之助が加入し、加藤和彦・北山修(きたやまおさむ)とチームを組んだ。

「ライカはローリングストーン」は、このときのアルバム『戦争と平和』に収録された、大人のための応援ソングである。

曲名は、もちろん、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」のパロディだが、歌詞はしみじみと深い。

GINZAあたりをうろつけば
粋なカメラが目にとまる
ブラック・ボディのレアーものが
ついに今日こそ僕のもの
ああ、あのあこがれの本当のライカだぜ
いつまでも苔むさず
ライカはボクのローリング・ストーン
ライカはボクのローリング・ストーン

憧れのライカを手に入れた男の喜びは、ギターを手に入れた坂崎幸之助の喜びへとつながっていく。

神田あたりをうろつけば
すごいギターが眼にとまる
45だの、42だの、28だの
ついに今日こそ僕のもの
ああ、あのあこがれの本当のギターだぜ
いつまでも苔むさず
マーチンはボクのローリング・ストーン
マーチンはボクのローリング・ストーン

坂崎さんが通っている神田のギター屋さんと言えば、カワセ楽器か、クロサワ楽器か。

いずれにしても、初めてマーチンを買ったときの感動が、この歌にはある。

なんていい歌なんだ。

そして、なぜか泉谷しげるが登場するカルティエの腕時計。

花の香りのPARISに行きゃ
粋なカルティエの腕時計
プラチナ・ケースのアンティーク
ついに今日こそ俺のもの
ああ、あのあこがれの本当のタンクだぜ
いつまでも苔むさず
カルティエはオレのローリング・ストーン
カルティエはオレのローリング・ストーン

まるで少年みたいに、欲しかったものを手に入れたときの喜び。

男って本当にいくつになっても幼稚なガキなんだなあと思うけれど、その感動を否定することは誰にもできない。

なぜなら、この少年の気持ちこそ、いくつになっても失ってはならない、永遠に大切なものなのだから。

だけど、この「ライカはローリングストーン」の本当に素晴らしいところは、最後4番目の歌詞だろう。

あこがれだったスタイルも
みんな本気で手に入れた
それを笑顔で見まもった
彼女もいまじゃAntique
ああ、あらためて、ありがとう
それがワイフのいいところ
あらためてありがとう
おまえがボクの宝もの
おまえはボクのローリング・ストーン

「♪あこがれだったスタイルも、みんな本気で手に入れた~」という言葉は、50歳を過ぎて分かる感慨かもしれない。

40代までは振り返る余裕さえなかったからだ。

もしかすると、50代でさえも、人生の先輩たちからは「この若造め!」と叱られるかもしれない。

きっと、本当に人生を振り返っていいのは、60歳を過ぎてからのことなんだろうな。

60歳を過ぎたとき、僕も「♪あこがれだったスタイルも、みんな本気で手に入れた~」と言えるようになっていたいと思う。

それは、後悔のない人生を端的に意味しているからだ。

坂崎さんみたいに、カメラもギターもアンティークも全部なんていうわけにはいかないにしても、一つの道くらいは究めてから死にたいと思う。

そして、そのためにこそ、人は、若いときから努力して、死に物狂いで働かなくちゃならいのだ。

最後に、「♪それを笑顔で見まもった、彼女もいまじゃAntique~」って、なんて素晴らしい夫婦なんだろう。

涙が出てくるくらいに感動。

この歌が、本当に伝えたかったこと、それはもちろん「♪おまえがボクの宝もの、おまえはボクのローリング・ストーン~」だ。

カメラとかギターとかカルティエとか、そんなの実は照れ隠しに過ぎなくて、この歌は、年老いた男の「お嫁賛歌」なのだ。

できれば、そんなふうにして、自分もトシを取ってみたいと思う。

もちろん、憧れだったスタイルも、みんな本気で手に入れてね。

こういう歌を聴くと、年を取ることが怖くなくなるから不思議だなあ。

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