最近、なぜか「ブラック・キャッツ」という古いバンドの音楽を聴いています。
1980年代前半に活躍した、1950年代的なロカビリーバンド。
80年代のレトロ・ブームのざわめきが聴こえるようです。
オールディーズが流行した1980年代
「BLACK CATS」(ブラック・キャッツ)は、1981年(昭和56年)から1986年(昭和61年)まで活動していた、日本のロカビリーバンドである。
考えてみると、1980年代というのは、1950年代のオールディーズ的な雰囲気が流行した時代だった。
音楽の世界でも、ザ・ヴィーナスの「キッスは目にして」(1981)や、シャネルズの「ランナウェイ」(1980)、横浜銀蝿の「ツッパリHigh School Rock’n Roll(登校編)」(1981)など、オールディーズ・テイストのものが、若い世代を中心に爆発的にヒットした。
ブラック・キャッツもまた、そんな強烈なオールディーズ・テイストを持った、1950年代(フィフティーズ)的なロカビリーバンドだった。
横浜銀蝿やシャネルズのように、ヒット・チャート界隈での大ブレイクはなかったとしても。
修学旅行で行った原宿「クリームソーダ」
ブラック・キャッツの特徴は、原宿のショップ店員によるバンドだったということだ。
原宿にあった「クリームソーダ」というロカビリーショップ。
1950年代的な雰囲気の洋服や雑貨を売る店で、中高生を中心に人気があった。
修学旅行の自由時間のとき、友だちと二人で原宿まで行った。
当時、クリームソーダの財布を持っているということは、それだけで人気者になれるということを意味していた。
もっとも、僕は純粋にオールディーズが好きで、アメリカン・レトロな雑貨を集めるのが趣味のようになっていたんだけれど。
クリームソーダの財布は、どちらかというとツッパリ的な少年たちに人気があったような気がする(なにしろ、誰もがリーゼントに憧れていた時代だ)。
昔、南3条通りにあった「クリームソーダ」(南3条西8丁目)は、その札幌店である。
最後のアルバム『第三倉庫 ワンナイトショー』
最近、聴いているのは、最後のアルバムとなった『第三倉庫 ワンナイトショー』(1985)。
当時、レコードで持っていたし、CDでも買い直した。
初期の明るいロカビリーポップとは違って、内省的でシリアスなロックンロールへと昇華した、最後のブラック・キャッツが、僕は好きだ。
『11PM』(イレブン・ピーエム)のオープニングだった「チェッ! チェッ! チェッ!」。
大好きだった「優しさの情景(シーン)」に、イケイケなビートが最高の「レイラ」。
シリアスな「昔の俺じゃない」や「1979年19歳」。
「チャイナブルーの夜」も好きだったなあ。
チェッカーズの「ジュリアの傷心」(1984)や、SALLYの「バージンブルー」(1984)に負けていない、センチメンタルなロックンロール・ナンバーたち。
今、聴いても、もっと流行ってもよかったのにと思う。
どの曲にもみんな、1980年代の思い出がある。
まとめ
ブラック・キャッツは、80年代の思い出であると同時に、80年代に流行したアメリカン・レトロの思い出でもある。
雑誌『ポパイ』や『オリーブ』でもたくさん紹介されていたアメリカン・カルチャーたち。
今や、その80年代さえも、遠いレトロな時代になった。