BUMP OF CHICKEN「天体観測」。
本作「天体観測」は、2001年(平成13年)3月に発表された3枚目のシングル曲である。
この年、藤原基央は22歳だった。
アルバムとしては、2002年(平成14年)2月に発表された『jupiter』に収録されている。
「天体観測」はラブソングの形を借りたメッセージソング
目標を見失ってどうしていいか分からないような瞬間って、きっと誰にでもある。
受験に失敗したとき。
希望の会社に就職できなかったとき。
ずっと好きだった女の子に告白して、見事に失恋したとき。
突然空中に放り出されたような無力感。
喪失感。
自分が世界中で一番ダメな人間に思えて、何をする気にもなれない。
そんなとき自分を励まして勇気を与えてくれる歌。
それが、BUMP OF CHICKENの「天体観測」。
「天体観測」はラブソングの形を借りたメッセージソングだ(と僕は思っている)。
とても情熱的で、とても前向き。
気が付けばいつだって
ひたすら何か探している
幸せの定義とか 哀しみの置き場とか
生まれたら死ぬまで ずっと探している
さぁ 始めようか 天体観測
ほうき星を探して
(BUMP OF CHICKEN「天体観測」)
「さぁ 始めようか 天体観測」は、再生に向けた魔法の言葉。
人生とは、望遠鏡を持って星を探し続ける天体観測のようなものだって気がついたときに、人は新しいスタートを切ることができるから。
2001年にこの曲を聴いたときから、いったいどのくらいこの曲に救われてきただろうか。
この22年間、暗闇の中で光を探すようにして、ひたすら望遠鏡を覗き続けてきたような気がする。
「二分後に君が来るかどうか」なんて分からないままで。
人生なんて予報外れの雨ばっかりだ
一番好きなのは、予報外れの雨に打たれているところ。
予報外れの雨に打たれて
泣きだしそうな君の震える手を
握れなかった あの日を
(BUMP OF CHICKEN「天体観測」)
人生って、そう簡単に思い通りにはいかない。
目標を見失うこともあれば、突然の雨に降られることもある。
それが人生。
むしろ、人生なんて予報外れの雨ばっかりだ。
そして、そんなトラブルをどうにか乗り越えて、みんな生きてる。
「泣きだしそうな君」は、自分自身。
あるいは、自分の大切な夢。
それとも、自分自身の勇気か。
震える手を握れなかったこともあるかもしれない。
でも、大切なことは、再び望遠鏡を担いで、夜空と向き合うことなんだと思う。
未来という大きな夜空と向き合うこと。
挫折体験っていうのは、決して無駄になることじゃないよ。
むしろ、無駄にしちゃいけない。
その痛みを抱えたまま生きていくことに、人生の価値はあるんじゃないだろうか。
そうして知った痛みを
未だに僕は覚えている
「イマ」という ほうき星
今も一人追いかけてる
(BUMP OF CHICKEN「天体観測)
この歌は、どこを切り取っても力強いメッセージに溢れている。
そして、決意表明のような歌詞を包み込む分厚いサウンドと疾走感あるビート。
まるで、歌そのものが走り続けているかのように。
時々、僕は思い出す。
「静寂と暗闇の帰り道」を駆け抜けながら、今も僕は「イマというほうき星」を追いかけ続けているんだっていうことを。
あの頃の古い望遠鏡をずっと担いだままで。
そして、おそらくは、これからも、ずっと。
曲名:天体観測
歌手:BUMP OF CHICKEN
作詞:藤原基央
作曲:藤原基央
編曲:BUMP OF CHICKEN
発売:2001年3月14日
会社:トイズファクトリー