生活体験

村上春樹に学ぶダッフルコート/札幌の冬はアイビー・ファッションで乗り切ろう

村上春樹に学ぶダッフルコート・ファッション/札幌の冬はアイビー・ファッションで乗り切ろう

札幌の冬にはダッフルコートが似合う。

寒い雪の日にも、ダッフルコートは活躍してくれる。

それに、ダッフルコートは、あの村上春樹さんのアイコニックなアイテムでもあるのだ。

村上春樹「ダッフルコートについて」

村上春樹「ダッフルコートについて」(『村上朝日堂』)村上春樹「ダッフルコートについて」(『村上朝日堂』)

村上春樹に「ダッフルコートについて」というエッセイがある(『村上朝日堂』所収)。

僕はダッフルコートというのが好きで、この十三年くらいずっと同じものを着ている。VANジャケット製のチャコール・グレイのもので、買った時は一万五千円だった。(村上春樹「ダッフルコートについて」)

このとき、安西水丸さんの描いたイラスト(ダッフルコートを着ている村上春樹)が、あまりにも本人そっくりだというので、「村上春樹=ダッフルコート」という印象は、あっという間に定着してしまった。

新潮文庫が「村上春樹デビュー40年ペーパーバックフェア」を行ったときも、ダッフルコートを着た村上春樹さんがアイコンとして登場している。

新潮文庫「村上春樹デビュー40年ペーパーバックフェア」新潮文庫「村上春樹デビュー40年ペーパーバックフェア」

せっかくだから、このイラストをピンバッジにして販売してほしかったな。

念のため、確認しておくと、村上さんのエッセイに登場するのは「VANジャケット製のチャコール・グレイのもの」であって、イラストのようにネイビー(ブルー?)ではない。

ちなみに、ネイビーブルーのダッフルコートを着た村上春樹は、新潮文庫版『村上朝日堂』(1988)の表紙に登場していたものである。

我が家のダッフルコート選手たち

別に、村上春樹の影響というわけではないと思うのだけれど、僕もダッフルコートが好きだ。

冬のアウターは、基本的にダッフルコート以外には着ない(ビジネスではステンカラーコートを着用しています、もちろん)。

それにしても、なぜ、僕は、ダッフルコートが好きなのか。

それは、おそらく、ダッフルコートの持つトラッドな印象と、ちょっとほわっとした温もりのある雰囲気が好きなのだ。

穂積和夫『絵本アイビーボーイ図鑑』(2003)穂積和夫『絵本アイビーボーイ図鑑』(2003)

穂積和夫『絵本アイビーボーイ図鑑』(2003)にも、ダッフルコートはちゃんと登場している。

一見カジュアル用のコートと考えられているこのダッフル・コート。セグメントの厳しいアイビー・ワードローブの中で、カジュアルにもドレスアップにも両方着られる唯一のコートなのです。(穂積和夫「絵本アイビーボーイ図鑑」)

やっぱり、アイビーのアウターと言えば、ダッフルコートだよね。

村上さんは、もちろん、アイビー・ファッションの流れの中で、VANヂャケットのダッフルコートを選んでいたのだ。

ヘビーなウール・メルトンのフード付きコートは、なにより、北の街・札幌にふさわしいコートと言える。

首回りが暖かいし、雪が降ってきたらフードを被ればいい。

メンズとレディースが関係ないというのもいい(どちらを上にしてもトグルは留められる)。

オシャレで実用的なものだから、ついつい、ダッフルコートばかり買うことになってしまう。

「J.PRESS」のダッフルコート(ネイビー)「J.PRESS」のダッフルコート(ネイビー)

我が家の定番は、かつて村上さんも広告用の文章を書いていたという「J.PRESS」のネイビー・ダッフル。

よく覚えていないけれど、10年以上は着続けているだろう、ベテラン選手だ。

札幌市内のデパートで購入(どこの「J.PRESS」だっただろうか?)

ライバル「ブルックス・ブラザーズ」では、福袋に、当時の流行りだったショート丈のダッフルコートが入っていたことがある(2014年)。

思えば、あれが、ブルックス最後の福袋だったんだよなあ。

「LONDON TRADITION」のダッフルコート(キャメル)「LONDON TRADITION」のダッフルコート(キャメル)

「ロンドントラディション」は、イギリスのダッフルコート。

落ちついたキャメルの色合いもいい。

札幌ステラプレイスのジャーナル・スタンダードで購入。

値段もかわいいので、普段使いにちょうどいい。

「BARK」のダッフルコート(ベージュ)「BARK」のダッフルコート(ベージュ)

変わったところでは「BARK」のダッフルコート。

一時期、流行した瞬間に、札幌ステラプレイスで買ったんだけど、お店の名前を忘れてしまった。

あっという間に流行りが終わって、すっかりと見かけなくなったけれど、ニットの好きな自分は、カーディガン感覚で、現在も愛用中。

ニットのダッフルコートといえば、「グローバーオール」のものをビームスで買ったことがある(やっぱり、キャメルだった)。

あまりにも好きすぎてヘビロテしているうちに、2シーズン目には毛玉ができて、あっという間に着れなくなってしまった。

その点、バークは、やはり優秀だと思う(当時は『Begin』でもかなり推していた)。

「マーガレット・ハウエル」のダッフルコート(キャメル)「マーガレット・ハウエル」のダッフルコート(キャメル)

現在のお気に入りは、「マーガレット・ハウエル」のダッフルコート。

微妙なキャメルの色合いと、アンドプレミアムな上質の生地感が癖になる(生地は「フォックス・ブラザーズ」)。

これだけは、一生、手放すことはないだろうなと思われる一生もの。

札幌ステラプレイスのマガハで購入。

「A.P.C.」のフード付きコート(ブラック)「A.P.C.」のフード付きコート(ブラック)

最後に、ダッフルコートではないけれど、「A.P.C.」のフード付きコート。

当時、『OCEANS』では、「ハリーポッター・コート」とか呼んで、グイグイ押していたような気がする。

「A.P.C.」でも、いろいろなコートを買ったけれど、おそらく、最も出番が多いレギュラー選手。

こうして並べてみると、村上さんの着ていたような「チャコール・グレイ」のものがない。

グレーのコートって、オシャレな感じが強くて、なかなか手が出なかったのかもしれない。

オレンジとかホワイトとか、明るいカラーに挑戦してみたいと思うことは、過去、何度もあったけれど、地味な文化系男子には、やはりネイビーが無難で、せいぜいキャメルがいいところ。

なにしろ、寒がりだから、お店にアウターの並ぶ季節になると、ついつい気持ちが惹かれてしまう。

真冬以外の季節には、ダッフルコート以外のアウターも愛用しています。

ABOUT ME
みづほ
バブル世代の文化系ビジネスマン。札幌を拠点に、チープ&レトロなカルチャーライフを満喫しています。