10月の札幌は、大学祭の季節である。
北海道教育大学、北海学園大学、北星学園大学、藤女子大学、武蔵女子大学など、多くの大学で学園祭が開催されている。
三連休の初日、北区にある藤女子大学の学園祭「藤陽祭」を訪ねた。
中島みゆきや氷室冴子の出身校
藤女子大といえば、中島みゆきの母校として知られているが、「たそがれマイ・ラブ」の大橋純子も、藤女子短大の卒業生である。
「タコが言うのよ」(サントリータコハイ)の田中裕子は、札幌西高校卒業後に藤女子短大に入るが、その後中退して明治大学へ入り直している。
小説家では、氷室冴子(岩見沢東高校→藤女子大)や藤堂志津子(札幌北高校→藤女子短大)、乾ルカ(札幌北稜高校→藤女子短大)も、ここの出身など、藤女子には文化系女子のイメージが強い。
開場の午前10時、大学に到着すると、受付に長い行列ができている。
柿原徹也(声優)のトークショーがお目当ての人たちだったらしい(整理券を配付していた)。
まずは、6階まで上がって「古本市」をチェックする。
最初から古本狙いの来場者も多いようで、朝イチから賑わっている。
井伏鱒二の単行本が大量に並んでいて、既に持っているものも多いはずと思いながら、値段の安さにとりあえず購入(1冊30円~50円だった)。
ちなみに、井伏鱒二に関しては、『井伏鱒二全集(全30巻)』と『井伏鱒二自選全集(全13巻)』を両方揃えているくらいには思い入れがある。
筑摩書房「現代日本文学大系」の『島崎藤村集』(2冊)と合わせて、合計320円なり。
いきなり、重い荷物を抱えての大学祭見物となってしまった(古本好きあるあるか)。
「玉ねぎ塔の校舎」として親しまれた「キノルド記念館」
講堂に行くと、熱いダンスステージが繰り広げられている。
女子大だから当たり前かもしれないけれど、観客も女子が多くて、割とおとなしい感じのダンスショーだった。
というか、藤女子の学園祭は、どこへ行っても上品で物静かな感じがして落ち着いている。
印象的だったのは、入り口にある「キノルド資料館」。
歴史的建造物だった「キノルド記念館」(旧藤高等女学校校舎)は、2001年(平成13年)に解体されて、残念な思いをした建築好きも多かったけれど、2003年(平成15年)に復元された「キノルド資料館」も、今やすっかりと藤女子大の風景として馴染んだらしい。
スイスの建築家ヒンデルの設計で、1924年(大正13年)に建てられた「旧藤高等女学校校舎」は、タマネギの形をした尖塔から「玉ねぎ塔の校舎」として親しまれていた。
歴史ある学校を散策するのも、秋にぴったりのメニューで、10月に学園祭が行われるのは、すごく良いことだと思う。
秋晴れの中、久しぶりに藤女子の雰囲気を楽しむことができた。
まあ、今日の収穫は、なんと言っても井伏鱒二の古本に尽きるけれど(重かったぜ)。