コロナ禍でおうち時間が増えてから、本を買うことが多くなった。
新刊書だけではなく、古本まで買うようになって、蔵書はどんどん増え続けている。
本を収納する上で、最も悩ましいのは「本の日焼け問題」だ。
新書では入手できない本は、どうしても古書で探すしかないが、古書には傷みの激しいものも少なくない。
中でも目立つのは、著しく日焼けしたような本で、どんなに稀少なものも、あまりに日焼けした本は、手に取る気になれない。
同時に、自分の持っている本が日焼けしないかどうかということが、やけに気になりだした。
「カビ」と「日焼け」は、蔵書にとって最大の敵である。
以下、今回は、大切な本を日焼けから守る方法について整理してみた。
ドアの付いた書棚に保管すること
本を日焼けから守る一番良い方法は、ドアの付いた書棚に保管することである。
ドアにはガラスがあっても良いが、ガラスは透明ガラスではなく、摺りガラスが望ましい。
この方法だと、本に直射日光が当たることはないから、蔵書が日焼けする心配はない。
我が家で使っているのは、大工だった僕の祖父が若い頃に製作したという木製の書棚である。
これは大きくて頑丈で摺りガラス製だから、非常に重宝している。
庄野潤三の書籍は、全集まで含めて全部、このガラス書棚の中に保管している。
ちなみに、僕の自慢は、庄野潤三の全著作を、すべて「初版・帯付き」で持っている、ということだ(笑)
カーテンで閉め切った部屋を書斎にする
もっとも、その他の書棚は、すべてドアのないオープンな造りのものばかりなので、日焼け防止には気を遣わなければいけない。
僕は、一部屋を「蔵書のための部屋(いわゆる書斎、というか保管庫)」と決めて、カーテンを閉めたままにしている。
この部屋にある本は、基本的に太陽光が当たることはないから安心だ(時々、カーテンと窓を開けて空気を入れ替えている)。
それでも本は収納しきれないから、次に書棚は狭い廊下に沿って並べてある。
居間と玄関を結ぶ廊下は、基本的には光が入らないけれど、居間のドアを開けたときに太陽の光が射し込むから、絶対に安全だとは思われない。
さらに、書棚は寝室と居間にもある。
寝室と居間には大きな窓があるから、太陽の光がたっぷりと入って明るい。
本の収納には、最悪の環境のような気がする、、、
本を一冊一冊グラシンペーパーで包み込む
そこで思いついたのが、ちゃんとした古本屋でやっているように、本を一冊一冊グラシンペーパーで包み込むことである。
グラシンペーパーというのは、半透明の薄い紙のことで、ブックカバーのように本を包んで保護することができる一方、半透明だから、本を包んでも背表紙を読むことができる(ここがポイント)。
本を汚れと日焼けから防止する方法として、古本屋では昔から普通に用いられている方法だ。
Amazonに行って「グラシンペーパー」で検索すると、商品がいくつもヒットする。
文庫や新書に使えるサイズのものだと、50枚でせいぜい1,000円も出せば買える。
安いものだと、100枚で1,000円というものもあるが、値段によって品質がどの程度違うのか分からない。
初めてなので、とりあえず、何種類か買って比較してみることにした。
グラシン紙で本を包む最も簡単な方法
本の包み方は、極めて簡単な方法である。
何千冊あるか分からない本全部に、グラシン紙をかけることは、おそらく現実的ではないような気がする。
大切な本から順番にグラシン紙を付けていくつもりだが、それにしても、時間はかかるだろう。
要は、日焼けを防ぐことができればいいのだから、包み方にはこだわらないことにした。
まずは、グラシン紙を一枚敷いた上に、本のカバーを裏返しにしておく。
ちなみに、今回、モデルに使っている本は、庄野潤三『ザボンの花』の角川文庫版。
古書市場でも、なかなか見つからない、貴重な文庫本である。
本にグラシン紙をかけるというが、「本のカバーをグラシン紙で包む」と言った方が正しい。
「本の日焼けを防止する」というのは、「本のカバーが日焼けすることを防止する」という意味なのだ。
カバーの日焼け防止が目的なので、背表紙と表表紙、裏表紙が入る大きさの紙であれば、大きさとしては十分である。
「文庫用」「新書用」「B6サイズ」などとして売られているものなら間違いない。
グラシン紙の上にブックカバーを置いたら、まずは、ブックカバーの下辺に合わせて、グラシン紙をしっかりと折る。
本を包み込むことが目的なので、多少曲がったりしても全然問題はない。
下辺をしっかりと折り込んだら、次に、ブックカバーの上辺に合わせて、グラシン紙をしっかりと折る。
このとき、グラシン紙の上下に隙間ができないように、しっかりとブックカバーに密着させるのがコツだ。
上下を折り込んだら、次に左右を同じように折り込んでいく。
僕は、最初に右側を折り込んで、次に左側を折り込むようにしているが、どちらが先でも問題はないだろう。
上下左右の四辺を折り込んだら完成で、これを文庫本にかけてやればいい。
文庫本は表紙が柔らかいので、最初に裏表紙をブックカバーとグラシン紙の間に挿し込んでから、次に、表表紙を同じようにブックカバーとグラシン紙の間に挿し込むようにしている。
この方法だと、文庫本が完全にグラシン紙に包み込まれるので、かなり安心感がある。
ただし、表紙の固い単行本などは、裏表紙のみブックカバーとグラシン紙の間に挿し込むようにして、表表紙は無理に挿し込むことはせず、ただ表紙にかけるだけにした方がいい。
貴重な蔵書を傷ませてしまっては本末転倒である。
今回、数種類のグラシン紙を使ってみたけれど、本のブックカバーとして用いるという分には、どの商品も大差なかったような気がする。
書籍の傷み防止という観点では、耐用年数などであるいは差が出てくるのかもしれないが、グラシン紙そのものに経年劣化が見られたら、そのときにグラシン紙を交換してやればいいだろう。
村上春樹と庄野潤三の初版コレクション
最後に、せっかくの機会なので、今回、グラシン紙で包んだ大切な蔵書の一部を紹介(自慢)しよう(笑)
といっても、別に稀覯本コレクターとかではないので、凄いものはない。
自分の敬愛する作家の本は「初版・帯付きで集めたい」という程度の趣味で、現在のところ、村上春樹と庄野潤三は、コレクションとして完成している。
特に、庄野潤三は、どちらかと言えばマイナーな作家なので、「初版・帯付き・美品」の収集には苦労した。
入手まで一番時間がかかったのが、庄野潤三の『夕べの雲』。
代表作と言われている割には、初版本がなかなか見つからない。
まして、「帯付き・美品」となると、かなり数は少ないものらしい。
これは<第三の新人>時代の仲間に宛てた献本を入手したものである。
次に、庄野潤三『ザボンの花』の初版本で、これも高名な文学者に宛てた献本である。
庄野さんには、サイン本が多いような気がする。
庄野潤三でもう一冊、『愛撫』の初版本。
庄野さん初めての作品集で、当時のチラシも一緒に挟まっていた。
ただし、古い本は、こういうチラシを入れたままにしておくと、書籍本体が変色してしまうので要注意だ。
続いて、もう一人の敬愛する作家・村上春樹から『1973年のピンボール』。
デビュー作『風の歌を聴け』に続く長編小説第二弾で、「鼠三部作」の中でもっとも印象の薄い作品だろう(それだけに好きだというファンも多い)。
最後に、村上春樹『羊をめぐる冒険』の初版本。
「鼠三部作」の完結編で、未だに評価の高い初期の名作である。
文庫版では上下巻の二冊分冊として刊行されているが、単行本では一冊だった(これは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』も同じ)。
初版本を入手すると、次に欲しくなるのが、作品初出の雑誌。
庄野さんの場合、古い時代から書いているうえに、単行本未収録のエッセイも多いので、全部集めることは現実的ではないだろうなあ。
まとめ
ということで、以上、今回は、大切な蔵書を日焼けから防止するグラシンペーパーについて、ご紹介しました。
次は、本棚が絶対的に不足しているという本棚問題と向き合わなくては、、、