北海道大学の構内で「北大金葉祭」が開催されている。
銀杏並木の黄葉見物に合わせて、古い建物を観て歩いた。
北13条いちょう並木の北大金葉祭
「北大金葉祭」は、10月26日(土)・27日(金)の二日間開催。
比較的新しいイベントだが、既に今年で13回目となるらしい。
クライマックスは、銀杏並木のライトアップで、18時から21時まで(最終日の日曜日は20時まで)。
昨年は、ライトアップのカウントダウンに合わせて出かけたが、今年は天気も良かったので、青空の銀杏並木を歩こうと、午前中のうちから出かけた。
観光スポットでもある「北13条いちょう並木」は、たくさんの観光客で賑わっている。
銀杏の黄葉はほぼ見頃で、来週からは散り始めるかもしれない(散り時も秋らしくていいが)。
北大金葉祭では、ライトアップ以外のイベントも多い(というか、本来のイベントは昼間がメインである)。
子ども縁日屋台とか飲食屋台とか、秋空の下で食べ物を味わうこともできる。
今日のように秋晴れの爽やかな日であれば、屋外での飲食も楽しいだろう。
さすがに大学のイベントなので、「みんなでつくる芸術の秋」とか「いちょうのしおり」とか、文化的なイベントも多い。
一般に、札幌市主催のイベントは文化度が低いので、大学関係のイベントは新鮮(大通公園のイベントは、とにかく商業度が高い)。
ちょっと参加したかったけど、子どもたちと一緒に並ぶのがためらわれた(笑)
ストリートピアノや野外ステージもある。
ステージには、北大医学部軽音楽部のバンドや北大ブルーグラス研究会などが登場。
北大金葉祭のマスコットキャラクター「こんちゃん」は、いちょうの妖精。
こんちゃんとの記念撮影は、家族連れに大人気だった。
観光客の合間を縫うようにして、北13条いちょう並木を抜けた後は、ゆっくりと北大構内を歩く。
観光客にも有名な「セイコーマート 北海道大学店」。
ガラス張りの外観がオシャレで、二階テラス席で自由に寛ぐこともできる。
屋内のイートインコーナーも充実していて、カフェスペースとしても有効活用したい(ホットシェフのお弁当も、ここで食べよう)。
北海道らしいお土産も充実。
「北大ドラ焼」やルピシアとコラボした「北海道大学オリジナルティー」など、北大オリジナルの商品も多い。
北大探訪のお土産は、セコマで揃えることができるだろう。
歴史的建造物が多い北大建築散歩
北大総合博物館(旧理学部)北側に「人工雪誕生の地」の記念碑がある。
常時低温研究室の中谷宇吉郎博士が、世界で初めて人工雪結晶の成長に成功したのは、1936年(昭和11年)3月12日のこと。
記念碑は、角板型雪結晶を形どった六角形となっている。
子どもたちにも人気の「北海道大学総合博物館」は、1929年(昭和4年)建築の旧理学部本館を転用したもの。
連続するアーチ窓に象徴されるロマネスク様式のデザインが印象的な建物だ。
設計者の北大営繕課長・萩原惇正は関西商工学部建築家出身で、昭和初期の鉄筋コンクリート造校舎を手がけた。(角幸博「札幌の建築探訪」)
ちなみに、北菓楼札幌本館(旧北海道庁立図書館)も、萩原惇正の仕事だった(1923年建築)。
北大物理学科2年生の絶対零子さんは、理学部物理学科の公式キャラクター。
北海道大学総合博物館ミュージアムショップ「ぽとろ」は、かなり充実している。
理科オタクだったら、何時間でも過ごせるかもしれない。
ここでしか買うことのできない北大アイテムも見つかるだろう。
同じく、萩原惇正の設計による北海道大学農学部本館(1935年建築)。
1936年(昭和11年)に行われた陸軍特別大演習の際は、昭和天皇も滞在した。
水平線を強調するデザインは、いかにも昭和モダンでクール。
旧昆虫学及養蚕学教室(1901年建築)は、なぜか、ワイン教育研究センターに転用されている(2023年から)。
北大構内でも貴重な、札幌農学校時代の歴史的建造物だ。
1902年(明治35年)建築の旧札幌農学校図書館書庫は、北海道大学図書刊行会として利用されている。
設計は旧昆虫学及養蚕学教室と同じく、文部省技師の中條精一郎だが、旧昆虫学及養蚕学教室に比べて、傷みが目立つようになってきている。
北海道大学古河記念講堂は、1909年(明治42年)、古河財閥の寄付金によって建てられた。
当時、古河財閥は、足尾鉱山鉱毒事件(田中正造で有名)によるイメージダウンが著しく、社会的信用の回復に一生懸命だったらしい。
北大構内のクラーク像の東に広がる中央ローン(芝生)を流れる小川は、かってのサクシュコトニ川の跡となっている(昭和初期までは鮭が遡上したとか)。
この川の跡は、工学部南側「大野池」、ポプラ並木、北の遺跡保存庭園通りを通った後、武蔵女子短大付近で琴似川に合流しているらしい。
2020年(令和2年)、北大構内のサクシュコトニ川で、サクラマスの遡上が確認された。
観光客が記念写真を撮っているのは、「ウィリアム.S.クラーク胸像」。
1926年(昭和元年)、創基50周年事業として建立され、太平洋戦争時の金属供出により一時期失われたが(銅像だったので)、終戦直後の1948年(昭和23年)に再建された。
羊が丘にある有名なクラーク像とは別物なので、旅行の際は注意が必要。
クラーク像から北上して、再び北13条通りの銀杏並木へ。
お昼近くになって、観光客もますます多くなってきたらしい。
北大の銀杏並木は、ここから一週間が見ごろ。
ピークは例年、11月3日(月・祝)の文化の日あたりなので、もうしばらくは、金色の銀杏並木を楽しむことができそうだ。
北大周辺には古書店が多いので、北海道大学は、お気に入りの散策コースにもなっている。
雪が積もるまで、あと少し、秋の札幌を堪能しよう。