夏はやっぱりシティポップ。
オシャレでアーバンな夏を楽しもう。
今年の夏は特に菊池桃子が良いのだ。
菊池桃子のウイスパーボーカルは最高
夏になると聴きたくなる音楽がシティポップ。
都会的な音楽は、なぜか夏に似合う。
やっぱり山下達郎の影響が大きいのか。
大瀧詠一とかユーミンの影響もあるかも。
てか、杉山清貴とか山本達彦とかブレッド&バターとか杏里とか、シティポップ界隈で名前の出てくる人たちって、やたら夏のイメージが強い。
アートワークも永井博とか鈴木英人とかだし。
日本のシティポップは、やっぱりアーバン&リゾートがマストなんだよね。
やたらにカタカナ語の多いシティポップ界隈だけど、今年の夏は菊池桃子推し。
いやー、初めてだ、こんなに菊池桃子ばかり聴いている夏なんて(秋も冬も春もないけど)。
ていうか、菊池桃子なんて『パンツの穴』の映画観に行った記憶しかない(友だちの付き合いで、吉川晃司の『すかんぴんウォーク』を観に行ったときの同時上映だった)。
で、菊池桃子の何が良いって、囁くように歌う独特のウィスパーボーカル。
最高。
あれ、アイドルじゃないよ。
もう、チェット・ベイカーでしょう。
あるいは、ジョアン・ジルベルト。
ボサノヴァ寄りのジャズボーカルと同じ次元。
「声量不足」とか「歌がイマイチ」とか、「は? 何言ってんの?」って感じ。
あの歌唱法が既に歌謡曲を超越している。
菊池桃子がボサノヴァ歌ったら、きっとどハマりだよ。
原田知世と良き勝負だよ、絶対。
ファーストアルバム『OCEAN SIDE』のジャケットはいいねー。
いきなり水着だよ。
アイドル歌手のデビューアルバムなのに。
均整の取れたプロポーションが健康的で、既にソフト&メロウ。
アイドル超えてオシャレなアートワークになっちゃってる。
サードアルバム『ADVENTURE』のジャケットも水着。
でも、全然扇情的じゃない。
川島なお美のレコードとは、やっぱり違う。
少年の制欲を、むしろ鎮めてしまうような神々しさがある。
インテリアとして部屋に飾ってもオシャレ。
永井博や鈴木英人のイラストと水着で戦えるアーチストなんて、他にいないでしょ、きっと。
お気に入りはヒット曲「SUMMER EYES(サマー・アイズ)」と「夏色片想い」。
シティポップ界隈の人たちって、ヒット曲より隠れた名曲を重視しがち。
だけど、たくさん売れた曲には、それなりの理由があるはず。
この2曲はどっちも良い曲だよ、やっぱり。
そして、2枚ともレコード・ジャケットがかわいい。
ずるいよね、かわいいシティポップ・アーチストなんて。
特に「夏色片想い」のジャケ画は好みすぎる。
で、こういうヒット曲聴いてからアルバムの中の隠れた名曲に入っていくわけ。
林哲司だとかAORだとかブラコンだとか、最初から理屈で音楽聴いても面白くないっしょ。
そもそも菊池桃子の武器はアイドルだっていうこと。
つまり、ビジュアルの時点で誰よりも高いポテンシャル持ってるんだから。
アイドルのシティポップはアイドルらしく楽しめばいいんじゃないのかなー。
うーん、ファーストアルバム『OCEAN SIDE』のクオリティがやばい。
A面「OCEAN SIDE」、B面「YOUR SIDE」っていう構成が、アイドルっぽくない。
「Ocean Side」「Shadow Surfer」「Blind Curve」と続く流れ。
どれも、今でも通用するな、これって感じ。
ちなみに、当時の菊池桃子は杉山清貴&オメガトライブと同じ事務所(トライアングルプロダクション)。
サウンドが同じすぎて笑った(オメガサウンドとかトライアングルサウンドと呼ばれる)。
菊池桃子&オメガトライブでもありだったんじゃないかな(笑)
去年よく 夕闇の中 Twilight time
「Aqua City」 聴きながら Driving
友達と週末 海へ行くあなたを
A few to the time 淋しく
All the time ひとりでみてた
(菊池桃子「Ocean Side )
ドライブで聴いていた「Aqua City」は、杉山清貴&オメガトライブのファーストアルバム。
みんな、繋がっていたんだね。
シティポップにおける菊池桃子再評価の歴史
それにしても、80年代の菊池桃子に対する再評価は凄まじい。
予兆は、まず、2018年。
『レコード・コレクターズ』の特集「シティ・ポップ(アイドル/俳優編)」を読んだとき。
名盤選でアルバム『OCEAN SIDE』がセレクトされていた。
続いて、2020年。
同じく『レコード・コレクターズ』の特集「シティ・ポップの名曲ベスト100」。
シングル「ガラスの草原」が69位にランクインしている。
今にして思うと、「え、そんなもん?」って感じなんだけど(笑)。
正統派のミュージシャンに混じって、この順位、実は凄い。
アイドルでは、上に松田聖子、下に薬師丸ひろ子しかいないんだから。
ちなみに、2020年には、サードアルバム『ADVENTURE』とラ・ムーの『Thanks Giving』のCDが再発売されている。
ニーズが高まりつつあったのかな。
2020年12月には、インドネシアのRainych(レイニッチ)が、ファーストアルバム『OCEAN SIDE』収録の「Blind Curve」をカバー。
これで、菊池桃子の注目度が、かなり上がった。
なにしろレイニッチといえば、松原みきの「真夜中のドア〜Stay With Me」をカバーした人。
日本の80年代シティポップを、国際的な再評価に繋げたアーチストだからねー。
さらに、2021年夏、プロデューサーでDJのNight Tempo(ナイト・テンポ)が、昭和の菊池桃子を令和バージョンへリエディット。
これで、シティポップとしての菊池桃子ブームが決定的になったような気がする。
そして、2022年夏、ついに、菊池桃子本人が、林哲司との共同制作で、新曲を含むコンセプトアルバム『Shadow』を発表。
シティ・ポップの観点で、往年の隠れた名曲をリ・マスタリングしている。
「シティポップの桃子」を強烈にアピールしたってところだね、2022年は。
同じく2022年、『レコード・コレクターズ』の特集「シティ・ポップの再定義」。
とうとうシティ・ポップの概念を再構築した『レココレ』が、サードアルバム『ADVENTURE』にフォーカス(やっとだよ)。
年末にはとうとう『週刊朝日』の表紙にもなっちゃった(『週刊朝日』は今年の5月に休刊)。
で、今年(2023年)春、『Shadow』のLPバージョンを販売。
同時に、80’sシティポップを代表する4作品『OCEAN SIDE』『TROPIC of CAPRICORN ~南回帰線~』『ADVENTURE』『ESCAPE FROM DIMENSION』のカラーヴァイナル盤まで発売しちゃった。
普通に凄いでしょ。
昔のアルバムをLPレコードで再発売するとか、山下達郎みたい。
もしかすると、今一番熱い80年代アイドルが、もしかして菊池桃子なのか?
まとめ
一言で言うと、菊池桃子のシティポップは爽やかかつオシャレ。
その上、健康的。
ビジュアル的に夏の青い海が似合うシティポップアーチストなんて、滅多にいないよ。
そして、あのウイスパーボイス。
夏の歌だからって、菊池桃子の夏歌は熱くなりすぎない。
大人のサマーソング。
今、菊池桃子を聴く理由って、たぶん、そんなところにあるんじゃないかな。