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『酒のほそ道』連載開始の1994年(平成6年)という時代

コメディ系の酒コミックとして人気の『酒のほそ道』は、1994年(平成6年)に連載が開始された長寿コミックです。

連載開始当時の日本は、どのような時代だったのでしょうか。

Contents

『酒のほそ道』とは?

『酒のほそ道』は、作者<ラズウェル細木>の酒コミックです。

掲載誌は『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、連載開始は1994年(平成6年)。

第1話の発表から約30年が経とうとしている長寿漫画なんですね。

連載開始当時、日本の世の中はどんな感じだったのでしょうか?

1994年(平成6年)という時代

1991年(平成3年)3月、バブル景気が崩壊した日本では、長い不況の時代が始まりました。

後に「失われた10年」と呼ばれることになる、悪夢のような1990年代の到来です。

とりわけ、この時期に就職活動を行った世代は「就職氷河期」と呼ばれ、厳しい時代の象徴となりました。

『酒のほそ道』がスタートした1994年は、そんな暗い時代の、いわば「序章」に位置していたように思われます。

好景気の時代を背景に「究極のメニュー」を追求する『美味しんぼ』のようなグルメ漫画ではなく、あくまでも庶民感覚に寄り添ったお酒マンガ。

それが『酒のほそ道』の原点だったのではないでしょうか。

ちなみに、1994年の流行語は「同情するならカネをくれ」(テレビドラマ『家なき子』)や「すったもんだがありました」(TaKaRaCANチューハイすりおろしりんご)など。

ヒット曲には、小沢健二「今夜はブギー・バック」、SMAP「がんばりましょう」などがありました。

SMAPの「がんばりましょう」なんて、いかにも暗い時代の応援歌っていう感じがしますね。

出典:Usplash出典:Usplash

『酒のほそ道』コミック第1巻

それでは、連載当初の『酒のほそ道』は、どんな雰囲気だったのでしょうか?

コミックス第1巻を読んでみましょう。

第1話「雪夜」

連載第1話、主人公<岩間宗達(いわま・そうたつ)>登場。

岩間さんは29歳の会社員で、趣味は俳句でした。

ラストに俳句が入る形は、第1話から定着しています。

ちなみに、このときの俳句「軒下や盛り塩がわりの雪だるま」は、『酒のほそ道』史上、最も好きな俳句の一つです。

第2話 隠れ家

人事異動で新しい課長がやってきた──。

レギュラーメンバー<前田課長>初登場です(ただし、名前はまだない)。

第3話 二軒目

新入社員の歓迎会の二次会。

レギュラメンバー<三浦かすみ>と思われる新入社員の女性が登場しています(名前はまだない)。

第4話 天気晴朗

野外ピクニック。

レギュラーメンバー<斎藤>っぽい人が登場しています。

第5話 草野球

草野球の後のビール。

第6話 アウトドア仙人

夏休みに友人たちとキャンプ。

岩間さんは、イワナ釣りに挑戦しています。

第4話に登場した斎藤さんっぽい人が登場しています(ただし、黒メガネ)。

第7話 道連れは…

各駅列車の呑み鉄一人旅。

ひたすらに列車の中で飲むだけ。

こういう旅、好きです。

第8話 茄子の里

旅先でゆきずりのおばあさんと。

第9話 やき鳥の極意

かすみちゃんと二人でサシ飲み。

頑固な焼き鳥屋の主人にキレた、かすみちゃんがいい。

第10話 秋刀魚の心

秋刀魚の塩焼き。

最近は、サンマもすっかり高くなりましたね~。

第11話 天ヌキ

蕎麦屋呑み。

第12話 呑兵衛おせち

お正月のおせち。

<おじさん>と<おばさん>が初登場。

第13話 雪見酒

友人たちと雪国に旅行。

斎藤さんが斉藤さんっぽくなってきています。

第14話 おでん屋台

おでん屋台で、課長とサシ飲み。

第15話 古美術な酒場

『開運!なんでも鑑定団』の中島誠之助さんがモデルのマスターが登場。

ちなみに、『開運!なんでも鑑定団』は、『酒のほそ道』と同じく1994年(平成6年)放送開始。

第16話 日本酒地図

かすみちゃんとサシ呑み。

というか、そろそろカップル飲み(デート)の雰囲気に近くなっていますが、、、

第17話 本日のおすすめ

職場の仲間飲み。

前田課長の他はモブキャラ。

第18話 野草天ぷら

休日にかすみちゃんとアウトドアデート。

これって、つきあってるんじゃ、、、

第19話 立ち飲み酒

酒屋の立ち飲み。

第20話 夏の夜を楽しむ方

七夕飲み。

第21話 天上天下唯我独尊?

斎藤・竹股と登山飲み。

竹股(たけのまた)さんは、何気にこれが初登場でした。

第22話 知らず知らずの…

会社の仲間とビアホール。

第23話 異国の屋台(前編)

タイのバンコクで出張飲み。

後編へ続く。

第24話 異国の屋台(後編)

バンコクでメコンウイスキー。

第25話 磯の味

浜辺でサザエの密漁に遭遇。

第26話 風流風呂

斎藤・竹股と温泉飲み。

二人はすっかり気の置けない親友として登場しています。

大人になって、こういう飲み友達がいるのっていいですよね。

岩間さんは、飲み友達が多くて幸せだと思います。

第27話 湯気立つ河原

竹股の故郷・山形で芋煮会。

ご当地ネタ、日本ではこれが初めて。

第28話 福を呼ぶもの

酉の市。

ちなみに、コミックス第1巻の「あとがき」は、ミュージシャンのなぎら健壱が寄せています。

出典:Usplash出典:Usplash

まとめ

いかがでしたか?

僕は酒マンガとか酒文学とかが好きなんですが、中でも『酒のほそ道』はお気に入りの作品です。

主人公・岩間さんのブレまくるキャラが庶民的で好感が持てるし、何より罪のないストーリーが好きです。

難しい社会的メッセージとかないし。

岩間さんの主張も、あくまで、酒場で隣合ったオッサンのたわごとって感じで、聞き流せちゃいます。

面倒くさいウンチクが入っても、読み流してしまうので、自分的には教養コミックとしての位置付けではありません。

晩酌と同じで、あくまで息抜き。

酒コミックなんて、そのくらいでいいと思うのですが。

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3代目アコード
バブル世代のビジネスマン。ヤンエグにはなれなかったけどね。