音楽体験

浜田省吾「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」感じることが難しくなってきたときには80年代を思い出すんだ。

浜田省吾「THE LITTLE ROCKER'S MEDLEY」感じることが難しくなってきたときには80年代を思い出すんだ。

今回の青春ベストバイは、浜田省吾さんのライブ音源「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」です。

浜田省吾って、こんなにとんがってたのか!とびっくりしますよ、きっと。

12インチのシングルレコードもいいけれど、7インチCDも懐かしいなあ。

「DANCE」のB面だった「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」

通勤バスの中、すごく久しぶりに「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」を聴いた。

「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」というのは、浜田省吾のライブ音源で、1984年8月に発売された12インチシングル「DANCE」のカップリング曲だった。

当時、僕は高校2年生で、おそらく浜田省吾熱が最も激しかった頃だと思う。

当然、発売日に入手した12インチシングルは、A面曲「DANCE」よりも、B面の「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」の方がずっとカッコいいと思った。

「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」は、全3曲で構成されたメドレーナンバーで、『君が人生の時…』収録曲の「今夜はごきげん」から始まる。

ラストダンスは おれと踊らないか
昔のメロディ 口づさみながら
あの頃のロックンロール 今とはちょっと違う
朝までつき合うぜ 君がその気なら……

浜田省吾「今夜はごきげん」

でも、本当にすごいのは2曲目の「HIGH SCHOOL ROCK & ROLL」から。

久しぶりに聴いて、浜省ってこんなにぶっ飛んでたんだって、正直思った。

「HIGH SCHOOL ROCK & ROLL」は、デビューアルバム『生まれたところを遠く離れて』収録曲で、矢沢永吉の前座でも歌ったと言われる、ある意味で伝説のロックンロールナンバー。

750c.c. 高速飛ばして 警官(マッポ)に追い回され
夢見た気ままな暮しも ただのままごと
親父の望みは ひたすら 一人息子の出世だけ
oh mom… これ以上 おいら我慢出来ねぇ

クラスの奴等は 誰もが まだ鼻たればかりで
毎日 ディスコか女か くだらねぇ喧嘩
学校のやることは 決まった ひとつ覚えの退学
oh mom… これ以上 おいら我慢出来ねぇ

2年でインチキ学校 勝手にやめちまい
今は バイトでデパートの荷物運び
昨日 いきなり “明日からもう来なくてもいい” だと
oh mom… これ以上 おいら我慢出来ねぇ

浜田省吾「HIGH SCHOOL ROCK & ROLL」

原曲の「お母ぁ(おっかあ)」が「オー、ママ」になっているのはいいとして、とにかくとんがりまくっている。

よっぽど、ストレス溜まってたんだろうなあ、当時の若者たちって。

感じることが難しくなったときは、ロックンロールを思い出せ

あの頃のロックンロールっていうやつを。

そして、3曲目の「あばずれセブンティ-ン」は、「ジョニー・B・グッド」のメロディに乗せて歌われるライブオリジナル。

アルバム『Home Bound』に収録された「あばずれセブンティ-ン」は、甲斐よしひろもソロアルバム『翼あるもの』で歌った名曲だけど、「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」バージョンのは、本当に疾走感がある。

父さん万年係長
母さん汗かき太っちょ
兄さん女たらしで
姉さんバージンですまし屋
そして 頭はからっぽ
あたいは あばずれセブンティ-ン

お酒も 煙草も クスリも
なんでも かんでも 試した
愛した男はいたよ
憎んだ男の数だけ
そして 心はからっぽ
あたいは あばずれセブンティーン

浜田省吾「あばずれセブンティーン」

とにかく全身からフラストレーションが噴き出しまくってくるような叫びとビート。

自分自身、高校2年生だったからこそ、あんなにも夢中になれたんだろうなあ。

この「THE LITTLE ROCKER’S MEDLEY」は、1983年の渋谷公会堂で録音されたライブ音源で、演奏の中の語りもいい。

「今日ティーンエイジャーはいるかい? 俺が20歳の頃、こんな言葉が流行っていた。ドント・トラスト・オーバーサーティ。30以上のやつを信用するなということなんだけれど、ところが、俺もとうとう30になってしまった。だけど、ステージの上に上がってロックンロールやってるときは、今も変わらずティーンエイジャーだ!」

久しぶりに聴いたけれど、浜省の一言一言が、ちゃんと頭の中に刷り込まれている。

懐かしいぜ、ドント・トラスト・オーバーサーティ!

「やがて、誰もが20歳になり、30になり、40になり、50になる。そして感じることがだんだん難しくなってくる。そのときは思い出してほしい。それが何か分かるかい? ロックンロール!」

いったい何十回「ロックンロール」っていう言葉が出てきたか数え切れないくらい、この歌の中で浜田省吾は、何度も何度も「ロックンロール!」と叫んでいる。

熱すぎるよ、80年代の浜田省吾。

そして、あれから40年経った今、半ば呆れながらも、この曲を聴いて、あの頃の浜省と一緒に盛り上がることのできる自分は、まだまだ若いなーと正直思った。

そう、年老いて感じることがだんだん難しくなってきたときには、思い出さなくちゃいけないんだ。

あの頃のロックンロールっていうやつを。

恥ずかしいから、妻や娘には聴かせられないけれど、このくらいの秘密はあっていいよね。

それにしても、自分はずいぶんいい時代に高校生だったんだなあ。

ABOUT ME
みづほ
バブル世代の文化系ビジネスマン。札幌を拠点に、チープ&レトロなカルチャーライフを満喫しています。