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自分だけの写真を撮るトイカメラ「LOMO LC-A+」取扱説明書

LOMO LC-Aの再生産バージョン。ロモボーイがカッコイイ。

スマホで撮る写真も悪くないけれど、もっと個性的な写真を撮ってみたい。

そんな方におすすめなのが、ロシア製フィルムカメラ「LOMO LC-A+」です。

今回は、初心者向けに「LOMO LC-A+」の使い方をまとめてみました。

LOMO LC-Aって何?

「LOMO LC-A(ロモ・エルシーエー)」は、ロシア製のフィルムカメラです。

あくまで普通のカメラなんですが、予想しないエモい写真が撮れるということで、マニアックな人気があるんです。

最初に、ちょっと「LOMO LC-A」の歴史を振り返ってみましょう。

出典:Unsplash出典:Unsplash

LOMO LC-Aの歴史

「LOMO LC-A」は、1983年にロシアで誕生したフィルムカメラです。

生産ブランドは「レニングラード光学機器公社」(通称ロモ社)で、当初は、高性能な日本製カメラ「コシナCX-2」みたいなカメラを目指していたと言われています。

完成したLC-Aは、コシナには及ばないものの、広角で明るい「MINITAR1」と呼ばれるオリジナルレンズにより、鮮やかな発色と独特の描写を生み出すカメラとして、共産圏で人気を博しました。

しかし、1991年のソ連崩壊とともに、安くて優秀な海外製品が流入したことで、LC-Aの人気は下火となり、ロモ社は全てのカメラ製品の製造を終了してしまいます。

ということで、初期の「LC-A」は、1983年から1991年までに生産された幻のカメラだったんですね。

ところが、オーストリアの二人の青年が、LC-Aの魅力に気づき、1992年にLC-Aの販売とイベントを行う「ロモグラフィック・ソサエティ」を発足させます。

ロモグラフィック・ソサエティの活動は、ヨーロッパ中へと広がりを見せ、1993年、「LOMO LC-A PACK」の再生産が開始されます。

1995年には、インターネットの発展を背景に、公式ウェブサイトが開設され、1996年から1997年にかけて、日本国内でも「LC-A」人気が高まります。

「Lomography Japan」の公式ウェブサイトが開設された1999年には、「ロモグラフィック・ソサエティ」が初めて来日するなど、マニアックなファンの間で「LOMO LC-A」が一気にバズりました。

「LOMO LC-A」の生産は、2005年に終了しますが、2006年には「LC-A」の進化系である「LC-A+」(エルシーエープラス)が誕生

人気のカメラ雑誌『カメラ日和』が、2007年1月号で「Lomo LC-A+発売記念特別号 エブリディ・Lomo LC-A+」を特集したことなどもあって、新型「LC-A+」は、日本国内でも圧倒的な人気を獲得しました。

LOMO LC-Aの魅力

「LOMO LC-A」は決して完全なカメラではありません。

緻密な計算をして思い通りの写真を撮るというよりは、あらかじめ予期しない出来上がりの写真を楽しむというところが、「LC-A」最大の魅力と言えるでしょう。

1990年代から2000年代にかけては、「スローライフ」という言葉に代表される「ゆるやかな暮らし」が人気だった時代で、そんな時代背景と「LOMO LC-A」の持ち味とが、うまくマッチしたこともあって、大きなムーブメントになったような気もします。

もちろん、初心者が気軽に写真撮影を楽しめる構造だったことも、「LOMO LC-A」の人気の理由の一つでしょう。

個人的には、小さくて持ち運びが容易なこと、金属ボディが意外と丈夫で、多少ラフに扱っても心配のないことも、「LC-A」を愛用した理由でした。

当時は、コートのポケットにカメラを入れておいて、気の向くままにストリートスナップを撮っていたので、微妙な調整の必要のない「LC-A」は、とても使いやすいカメラだったのです。

とは言え、独特の鮮やかな発色や、「トンネル効果」と呼ばれる激しい周辺減光は、やはり「LC-A」の大きな魅力でした。

当時はトイカメラがブームということもあって、鮮やかな発色が「LC-A」にぴったりというフィルムなども、日本国内で簡単に手に入れることができました。

トイカメラのフィルム現像を専門に手掛ける写真屋さんが登場するなど、ゆるいカメラライフを楽しみたい人たちには、一番良かった時代だったのかもしれませんね。

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我が家の「LOMO LC-A」

自分が使っているのは初代「LOMO LC-A」です。

ただし、ファインダーカバーに「ロモボーイ」と呼ばれる少年の顔がプリントされた、1990年代の再生産アイテムです。

LOMO LC-Aの再生産バージョン。ロモボーイがカッコイイ。LOMO LC-Aの再生産バージョン。ロモボーイがカッコイイ。

個人的に、このロモボーイが大好き。

いかにもロモっぽくてカッコいいんですよね~!

ヤフオクで中古の安いやつ(ただし美品)を探して、1万円くらいで購入しました。

「LC-A+」からはなくなった「露出制御用レバー」が付いています(カメラに向かってレンズの右側)。

なお、再生産前の元祖「LC-A」にはロモボーイがありません(なので「ブラックロモ」と呼ばれています)。

出典:Unsplash出典:Unsplash

LOMO LC-A+の簡単な使い方

「Lomo LC-A+ 35mm Film Camera」は、現在も、ロモグラフィーの公式サイトで購入することができます。

お値段は34,800円(高い、、、)。

メリカリやヤフオクで探すと、10,000円前後で購入できることもあるようなので、こだわらない人は中古で購入するのもアリかと。

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Lomography (ロモグラフィー)

写真撮影の準備

「LC-A+」で写真撮影をする前に、準備が3つあります。

一つは、電池を入れること。

「LC-A+」では「LR44型」電池を3本使用するので、撮影前に電池が入っているか、必ず確認しましょう(特に中古で購入した場合は注意)。

電池切れの場合、シャッターが切れません。

電池は、底面にある電池室の矢印のカバーを動かして入れます。

次に、カメラの中にフィルムを入れます。

「LC-A+」はフィルムカメラなので、フィルムを入れて撮影します。

裏蓋を開けて、フィルムをしっかりと装填したら、蓋を締めて、フィルムの巻き戻しレバーが止まるまで、フィルムを巻き上げます。

何度か空シャッターを切って、フィルムカウンターの目盛りが「1」になるまで、フィルムを巻き上げましょう。

最後に、フィルム感度を設定します。

正面右側の一番上に「ASA」と書かれた目盛りがあります。

ここがフィルム感度の設定場所で、目盛りダイヤルを回して、カメラに入れたフィルムのISO感度に合わせます。

ISO100のフィルムなら「100」に、ISO400のフィルムなら「400」という具合に。

自分は高感度フィルムを使うことが多いので、感度設定は「400」に固定している場合がほとんどですが、たまにISO100のフィルムを入れたときに、感度設定を忘れて「400」のままで撮影することがあります。

ネガカラーフィルムの場合、現像とプリントでいくらでもフォローできるので、現実的には、設定が間違っていても、あまり問題にはならないのですが。

そもそも、「LC-A+」の機能として「感度設定が適切なのか?」っていう疑問も拭いきれません、、、(笑)

さて、ここまでできたら用意は完成。

レンズの下にあるレバーをスライドさせて、レンズカバーを開きましょう。

ロモボーイが隠れて、レンズが現れたら、撮影準備完了。

いよいよ写真撮影です。

出典:Unsplash出典:Unsplash

実際の写真撮影の手順

「LC-A+」の撮影は、すっごく簡単です。

まず、被写体(写真撮影の対象)との距離を、何となく目測で測ります。

そして、カメラ正面右側にある「ピントレバー」(ゾーンフォーカスになっています)を、大体の距離に合わせます。

あくまでゾーンフォーカスなので、正確なピント合わせは必要ありませんが、最短距離が「0.8m(80cm)」なので、近くのモノを接写すると思いきりピンボケになります。

片手を伸ばして、手が届かないくらい離れていれば、撮影オッケーです。

ちなみに、被写体との距離が近いほど(ゾーンでは「0.8」)、背景がボケた写真を撮ることができます。

このとき、背景の色が濃いほど、周辺が暗くなるトンネル効果が強く現れます。

自分の場合、トンネル効果を出したいときは、青空を背景にすることが多いです(このとき、太陽は自分の背中側にあること!)。

次に、ファインダーを覗いて構図を決めます。

「LC-A+」はゆるいトイカメラなので、撮りたいモノがファインダーの中に入っていれば、大体でオッケーです。

自分の場合、めんどいときや時間のないときは、ファインダーを覗かずにシャッターを切ることもあります。

「LC-A+」の35mmレンズは、意外と広角(ワイド)なので、大抵の場合は撮りたいモノがファインダー内に収まっていると思います。

構図に納得がいったら、上部中央右にあるシャッターボタンをポチッと押します。

これでシャッターが切れて撮影完了。

めっちゃ簡単ですよね。

シャッターを切ったら、右端のフィルムレバーを止まるまで巻きましょう。

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故障かな?と思ったら

「LOMO LC-A+」は海外生産のカメラですが、意外と丈夫で、あまり故障しません。

自分の場合、初代「LC-A」で、シャッターボタンが切れなく(押せなく)なってしまったので、泣く泣く2代目「LC-A」に買い替えたという事情はあるのですが、、、(現在使っているのは2代目LC-Aです)。

参考までに「LC-A+」あるあるのトラブルをまとめておきますので、困ったときには参考にしてみてください。

シャッターが切れない(押せない)

レンズカバーは、ちゃんと開いていますか?

しっかりとレンズカバーを開いておかないと、シャッターは切れません。

次に、疑うのは電池切れ。

新しい電池を入れてもシャッターが押せない場合、カメラの故障が疑われます(自分の場合はこれだった)。

カメラ屋さんに持ち込んで、詳しく調べてもらいましょう。

シャッターボタンを半押しして赤いランプが付かなかったら、電池交換のタイミングですよ。

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「LOMO LC-A」の豆知識

「LOMO LC-A」は、シンプルだけど、個性的な写真を撮ることのできる、とても魅力的なフィルムカメラです。

知られざる「LOMO LC-A」の秘密を知っておくと、「LC-A」ライフがもっと楽しくなりますよ。

ロモボーイは『人』の象徴

1993年の再生産バージョンから登場した「ロモボーイ」は、『人』を表しています。

これは、ロモグラフィーの「大切なのはLC-Aを使う、それぞれの人である」という哲学に従っています。

誰もが自分だけの写真を撮ることができる──

それが「LOMO LC-A」というカメラの基本的な精神なんですね。

「LOMO LC-A」の最盛期は1988年

共産圏で大ベストセラーとなった「LOMO LC-A」の最盛期は1988年。

25,000人の人が組立作業にあたり、毎月15,000台が出荷されていたそうです。

1987年に建設された豪華な新工場「Filiale」も、きっとフル稼働していたんでしょうね。

幻の後継機種「LOMO LC-M」

最盛期の1980年代後半には、「LC-A」の後継機種として「LOMO LC-M」の開発が進められていたそうです。

ケーブルレリーズや感度800への対応など、進化を遂げた「LC-M」ですが、1,000個を生産時点でストップがかかり、幻のカメラとなってしまいました。

ケーブルレリーズ使用可能なシャッターボタンは、現在の「LC-A+」へと受け継がれています。

中国生産レンズは黄色

「LOMO LC-A」の最大の特徴である「MINITAR 1」レンズは、もともとロシア製造のものでしたが、現在では、中国でも製造されるようになっています。

オリジナルであるロシア産「MINITAR 1 レンズ」は、紫っぽい青色のコーティングが特徴ですが、中国産のは黄色っぽいコーティングのレンズとなっています。

同じレンズなのに、なぜ?(謎だ、、、)

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もっと「LOMO LC-A」を知るための参考書

「LOMO LC-A」は「LC-A+」の発売された2000年代後半に、雑誌なのでいろいろな特集がありました。

当時の雑誌には、「LC-A+」の詳しい情報が掲載されているほか、ロモブームの熱気を感じることができるので、ロモが好きだという方にはおすすめですよ。

カメラ日和 Vol.10 2007/1月号

2000年代のカメラブームを牽引した『カメラ日和』も、Lomo LC-A+発売記念特別号と称して「エブリディ・Lomo LC-A+」という特集を組みました。

「LC-A」の歴史や「LC-A+」の詳しい使い方、ロモグラファー(ロモ愛好家)の写真の紹介など、すごく充実した内容となっています。

「長嶺輝明さんのカメラ講座」とか「mixi コミュニティ LOMO LC-A」とか、懐かしい!

スナップ! VOL.1 WINTER 2007

2007年の冬に創刊されたカメラ雑誌『snap!』創刊号の特集は「いつでもLOMOと一緒」でした。

表紙デザインからして、完全にカメラ女子をターゲットにしています。

当時のカメラ人気を支えてくれる、充実のニューフェイスでした。

スナップ! VOL.1 WINTER 2007スナップ! VOL.1 WINTER 2007

スナップ!VOL.6 SUMMER 2009

遅れてきたカメラ雑誌『snap!』は、2009年にも「祝!LOMO LC-A 25周年」という特集を組んでいます。

「完全保存版 LOMO LC-Aのすべて!」が掲載されるなど、ロモグラファー必読の特集でした。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、簡単にオシャレでエモい写真を撮ることができるトイカメラ「LOMO LC-A+」の魅力をご紹介しました。

便利なスマホのカメラにも、ちょっと物足りなくなってきたという方は、ロモの世界にちょっと踏み込んでみませんか。

抜け出せない「ロモ沼」が待っているかもしれませんよ(笑)

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みづほ
バブル世代の文化系ビジネスマン。札幌を拠点に、チープ&レトロなカルチャーライフを満喫しています。